鉄道他 全高3m超・車重7.6トン! 「レンジャー」ダカール仕様、タイヤを鳴らしてお台場を激走!!【モータースポーツジャパン2019】

4月6日(土)・7日(日)にお台場で開催されたイベント「モータースポーツジャパン2019 フェスティバル・イン・お台場」。首都圏で開催されるモータースポーツ系のイベントでは最大級を誇る。数多くのレーシングカーやラリーカーがデモランを行ったが、中でも迫力があったのが、国内のモータースポーツ競技車両で最大・最重量の日野チームスガワラの「レンジャー ダカールラリー参戦車両」だ。

2019年04月16日 11:00 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

日野 レンジャー ダカールラリー参戦車両 2018年仕様|hino ranger dakar rally type 2018 model

モータースポーツジャパン2019の会場内に設けられたデモ走行エリアで、来場者を乗せて同乗試乗体験を行う日野チームスガワラの「レンジャー ダカールラリー 参戦車両」2018年式。ルーフ上の吹き流しは、トレードマークの鯉のぼりだ。

 ダカールラリーは、複数の国を舞台に何千キロという距離を何日もかけて走り抜く、過酷なクロスカントリーラリー競技だ。そんなダカールラリーに、1991年から参戦しているのが日野だ。国内の大型商用車メーカーとして同ラリーに初めて参戦し、2019年大会まで28回連続完走を達成している。

 そして1992年からドライバーを務めるのが菅原義正選手で、なんと今年で78歳。同ラリーの連続参戦記録を毎年更新しており、1月に開催された2019年大会で36回となった。現役の競技ドライバーとして最高齢の"鉄人"であり、世界中からリスペクトされているのだ。これまでカミオン部門の6回の総合準優勝、7回の排気量10L未満クラスの優勝を果たしている。

 2005年からは2台体制となり、ドライバーとして新たに参加したのが義正選手の次男である照仁選手だ。今やエースの座を受け継いでおり、照仁選手は2010~2019年でクラス優勝10連覇を達成した(2019年のカミオン部門総合順位は9位)。

中型トラック「レンジャー」を"リトルモンスター"に大改造!

日野 レンジャー ダカールラリー参戦車両 2018年仕様|hino ranger dakar rally type 2018 model

「レンジャー ダカールラリー参戦車」2018年式2号車。全長6370×全幅2500×全高3150mm、ホイールベース3970mm。車両総重量7600kg。排気量8866cc・4サイクル直列6気筒ディーゼルターボエンジン「A09C-TI」(インタークーラー付き)、最高出力514kW(700ps)/2400rpm、最大トルク2314.4N・m(236kg-m)/1200rpm。フルタイム4WD、前進6速・後退1速(Hi-Loレンジ切り替え付き)。タイヤXZL+14.00R20。燃料タンク700L。

 両選手が乗るダカールラリー参戦用の「レンジャー」は、日野の同名の中型トラックがベースだ。シャシーやサスペンションなどに徹底的な改良強化が加えられている。そして、そこに搭載されているのが、同社の大型トラック「プロフィア」用の「A09C」をベースにチューニングしたエンジン。排気量8866ccの直列6気筒エンジンの市販用は最大出力380馬力だが、それを700馬力に。最大トルクも1765N・mのところ、2314.4N・mまでアップさせている。

 しかし、それでもダカールラリーのカミオン部門では排気量は小さい方。上位勢は1万数千~2万ccの大排気量トラックばかりなのだ。そうした強敵ばかりの中、軽量であることを武器にあえて小排気量で果敢に戦い続けており、ライバルからは"リトルモンスター"として賞賛されているのである。

日野 レンジャー|hino ranger

ベースとなった日野の市販中型トラック「レンジャー」。市販「レンジャー」には、5123ccの直列4気筒ディーゼルエンジン「A05C」が搭載されている。東京オートサロン2019の日野ブースにて撮影。

日野 A09Cエンジン

「レンジャー ダカールラリー参戦車」のエンジンのベースとなった、日野の直列6気筒ディーゼルエンジン「A09C」。本来は同社の大型トラック「プロフィア」用で、低圧時と高圧時用の2段過給式のターボを備えているのが特徴だ。最高出力279kW(380ps)/1700rpm、最高出力1765N・m/1100-1400rpm。人とくるまのテクノロジー展2017の日野ブースにて撮影。

7.6トンの巨体が走る様子は迫力満点!

 今回のデモ走行に参加したのは、2018年仕様の2号車(カーナンバー511)だ。同年の大会で照仁選手が駆ってクラス優勝を果たしたマシンである。全長は6.2m強、全幅は2.5m、全高は3.1m強、そして車両総重量7.6トンというスペックを誇る。

 メジャーなモータースポーツに参戦している国内で開発された競技車両のうち、ほかに並ぶものがいないといっていい巨体であり、重量も桁違い。その走る様子はちょっとした山が動いているようなイメージだ。

 しかも、2300N・m以上ものビッグトルクを絞り出すエンジンにより猛烈にダッシュするので、速度は思った以上に出ていた。あとでデモ走行を担当した照仁選手に話をきいてみたところ、「時速80kmぐらいしか出してないですよ」と余裕のコメント。

 照仁選手にとっては軽く流しているレベルのようだが、外から見るとその迫力は別。そんな速度で、たまたま自分に向かってくるような角度で走ってきたときは、あまりの迫力に逃げ出したくなったほどである。

日野 レンジャー ダカールラリー参戦車両 2018年仕様|hino ranger dakar rally type 2018 model

「レンジャー ダカールラリー参戦車」はデモ走行に加え、来場者を乗せての同乗試乗も行われた。上写真はそのスタート直後をとらえたところ。サスペンションが柔らかい設定のため、リアが大きく沈み込み、ウィリーしそうな勢いでフロントが大きく伸び上がっている。

 さらに注目してほしいのがコーナリング。内輪を浮かせながらタイヤを鳴らして走る様子は強烈だ。目に見えてタイヤスモークなどを上げるわけではないが、タイヤも滑ってドリフトしているようだ。サスペンションが柔らかめにセッティングしてあるのでロールも激しく、片輪走行しそうな勢いでコーナリングしていく。

日野 レンジャー ダカールラリー参戦車両 2018年仕様|hino ranger dakar rally type 2018 model

サイドビュー。

リアビュー。

荷台の中。今回はスペアタイヤがひとつ固定されていた。その奥に見えるのが、排気量8866ccの4サイクル直列6気筒ディーゼルターボエンジン「A09C-TI」。

 デモ走行が終わったあとに照仁選手に話をきいたところ、実際のダカールラリーなどで砂漠を走っているときは、7トン強のマシンが限界走行しているため、ドリフトすることは普通だという。それも100m程度は簡単に滑ってしまうそうで、ときには300mも滑るようなこともあるというから想像がつかない。

 モータースポーツの競技車両としては、国内ではほかに例を見ないサイズと重量を持つ「レンジャー ダカールラリー参戦車両」。野太いエンジン音と共に加速していく様子や、片輪走行しそうなコーナリングなど、リトルモンスターどころかビッグモンスター級の迫力をぜひ動画で堪能してほしい。

「レンジャー」のデモ走行動画。トータル時間2分38秒。

 日野チームスガワラの「レンジャー ダカールラリー参戦車両」の2014年式については、別記事『2014年ダカールラリー・クラス優勝車 日野「レンジャーGT・518号車」(チーム・スガワラ2号車)』で紹介。併せてご覧いただきたい。

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