なんでも乗り物 「救出救助車」に「排煙高発泡車」!? 日本最強の装備を誇る東京消防庁の消防車に迫ってみた! その1

日本で最も装備と人員が充実した消防組織が東京消防庁だ。さまざまな状況の火災に対応すべく、陸海空の数々の消防装備を揃えており、消防車だけを見ても実に多種多様。ここでは、そうした数々の消防車を紹介する。

2019年04月08日 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

2019年1月6日の出初め式の消防演技(デモンストレーション)の終盤の様子。隣接する東京ビッグサイト第7・第8ホールでは、数多くの消防車の展示が行われた。

 東京消防庁は1948年3月7日に発足し、島しょ地域と稲城市を除く東京都のほぼ全域の消防防災業務を担う組織で、約1万8400人(うち、消防士は1万8000人弱)の職員が所属している。本部は東京都千代田区にあり、管轄区域を10の方面に分けており、消防署は81署、消防分署は3署、消防出張所は208所ある。人員は日本最大、その装備の充実ぶりも日本随一といえよう。

 消防・救急車両は2018年4月1日現在、1977台を配備。その主な内訳は以下の通りだ。

 ポンプ車:489台
 はしご車:86台
 化学車:48台
 救助車:29台
 指揮隊車:93台
 救急車:251台
 そのほか多数

 車両の中には、無人走行放水設備の「デュアルファイター」(無人走行放水車「ドラゴン」と障害物除去車「セーバー」の2種類でワンセット)、救出ロボット「ロボキュー」などのロボット系(無人機)の消防・救助車両も含まれる。ほかにも10艇の消防艇、8機の消防ヘリコプター(1機は総務省消防庁からの運行受託)を擁し、さらに近年はドローンも配備されており、2019年の出初め式では観客席の安全のための監視に用いられた。

東京消防庁 双腕重機 アスタコ

出初め式の消防演技に参加した日立建機製「アスタコ」ベースの「双腕重機」(道路啓開用重機)。第六方面消防救助機動部隊に配備されている。細長いガレキなどのように、1か所をつかむだけだとバランスが悪くて運びにくいものでも、2か所をつかむことでより短時間で撤去できるようになる。

 ここでは東京消防庁に配備されているさまざまな消防車を紹介する。撮影は、2019年1月6日に東京ビッグサイトで行われた出初め式の一環として実施された車両広報展示にて行った。

最大地上高約22mの屈折アームを装備した「屈折放水塔車」

東京消防庁 屈折放水塔車

「屈折放水塔車」。全長約1万100×全幅約2490×全高約3510mm、ホイールベース5380mm。総重量1万5510kg。乗車定員6人。排気量8866cc・直列6気筒直噴ディーゼルターボエンジン「A09C」、最高出力235kW/1800rpm、最大トルク1569N・m/1100rpm。第八方面本部所属。ベース車両・日野「プロフィア」2010年式。

 「屈折放水塔車」ははしご車に分類されている、高所火災などに対応した放水車。伸ばすと最大地上高が22mにもなる屈折式の二節ブーム(アーム)を備えており、高所火災に加えて化学火災などの消防隊が容易には近づけない現場において、高所から放水したり、化学火災用の泡を放射したりすることが可能だ。最大放水量は毎分3800L、最大泡放射量は毎分3400L。

東京消防庁 屈折放水塔車

消防演技の「NBC災害救助・危険物火災消火演技」の1場面。屈折放水塔車、大型化学車、無人走行放水車「ドラゴン」による泡消火が始まったところ。泡の放射が始まったばかりなので、あまり勢いはないが、この後猛烈な勢いとなり、タンクは鎮火。

30m級、40m級、先端屈折式と、東京消防庁の「はしご車」は大別して3種類

東京消防庁 30m級はしご車

「30m級はしご車」。全長約1万200×全幅約2500×全高約3300mm、ホイールベース5300mm。総重量1万6430kg。乗車定員6人。排気量8866cc・直列6気筒直噴ディーゼルターボエンジン「A09C」、最高出力235kW/1700rpm、最大トルク1569N・m/1100rpm。第6方面西新井消防署所属。車両メーカー・日野「プロフィア」2016年式。

 今回展示されていたのは、全油圧駆動4連はしごを備えたバスケット方式の「30m級はしご車」。より高所で作業を行うための40m級はしご車に対し、30m級はより離れた建物での救出などを行えるよう設計されている。30m級の中には、セットバックしている建物に対応するための「先端屈折式はしご車」もある。

東京消防庁 先端屈折式はしご車

消防演技の「高層建物救助演技」の1場面。左側が先端屈折式はしご車で、先端から3mの部分で屈折してバケットを下側に下ろす形になる。セットバックした建物や、このように屋上へのアクセスもしやすい。先端のバケットには車いすも載せられ、このあとに実際に車いす利用者を救出し、バケットに載せて降りてきた。

東京消防庁 はしご車

はしご車が並んではしごを伸ばし、消防演技の最後を締めたところ。バケットに乗って30m、40mの高さまで上がるのは足がすくむ。出初め式終了後は、抽選で一般来場者がゴンドラに乗って最上部まで行ける催しも実施されていた。

通常装備では接近できない被災地にも向かえる頑丈さが特徴の「救出救助車」

東京消防庁 救出救助車

「救出救助車」。全長約8910×全幅約2480×全高約3740mm。ホイールベース前軸~前側の後軸約3800mm/前軸~後ろ側の後軸約5200mm。総重量1万4680kg。乗車定員6人。排気量7790cc・直列6気筒ディーゼルターボ「6HK1-TCN」、最高出力191kW/2400rpm、最大トルク761N・m/1450rpm。第六方面本部所属。ベース車両・いすゞ「フォワード」2014年式。

 続いては、救助車系を紹介。「救出救助車」は、大規模震災など、通常装備では消防隊が接近できない被災地に人員や装備を輸送するための車両だ。過酷な被災地に一番乗りできるよう、走破性を高めるための工夫がなされている。6輪駆動を採用し、パンクしにくくするための細いタイヤを装着(太いタイヤの方が接地面積が広いのでパンクする確率が高い)、車高もベース車両より大幅に高くしている。その車高の高さを利用し、浸水した地域での人が乗ったままの車両の救出も行える。

 さらに、耐衝撃加工が施された金属製アンダーガードを備え、フロントウインドウも防護用の金網が覆う。カーゴ部分には水上バイクなどを積載するための昇降装置を備え、火災から車両を保護することを目的とした自衛用噴霧装置も装備している。どんな被災地でも救助に来てもらえそうな、頼もしさを有した1台である。

東京消防庁 救出救助車

水上バイクなどの重量のある特殊装備も搭載して、浸水地などへ急行できるのが「救出救助車」。重量物の積載のための昇降装置を備え、フロアは耐衝撃用の加工が施された金属製。噴霧装置はルーフに搭載している。

東京消防庁 救出救助車

「救出救助車」を側面から。車高が上げられていることが見て取れる。また側面のラダーを上るとルーフ上に出られ、そこでの作業も行える。

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続いては「水難救助車」や「特殊災害対策車」など!