鉄道他 ホンダNC750シリーズの仕様充実化に思う、二輪ETCの利便性

最近バイクでもETC車載器を標準装備する車種が増えてきた。ETCの利便性を、かつてETCがなかった時代のライダーの切ない努力とともに紹介。

2018年11月24日 16:32 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一

 ホンダは11月19日、「NC750X」(写真下)の仕様を充実させるとともに、NC750Xと「NC750S」にETC2.0車載器を標準装備にすると発表した。

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 NCシリーズは、「扱いやすくて低価格な大型バイクをライダーに提供する」という狙いで2011年に登場したシリーズだ。シリーズはネイキッドの「S」、クロスオーバータイプの「X」、スクータータイプの「インテグラ」によって構成される。バイクとしては珍しく低回転型エンジンで、高回転側を切り捨てる代わりに常用域での扱いやすさを重視した。

 登場時は排気量が700ccだったが、その後のモデルチェンジで排気量を拡大され、現在の排気量は750ccとなっている。SとXでは燃料タンクがシート下に配置され、従来のタンク位置にはヘルメットが入る収納スペースになっている。モデルチェンジ後でも低価格という美点は継承され、今回の「仕様充実」モデルでも、Sで74万5200円(税込)~となっている。これは、3分の1の排気量のホンダ「CBR250RR」よりも安い価格だ。
(CBR250RRの記事はコチラ

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 最近、S(写真上)は教習車に採用されるようになってきたので、若いライダーの中にはこのバイクが人生初の大型バイクという読者もいるのではないだろうか。

バイクのETCは絶対に必要!と言い切れるわけとは?

 今回の仕様変更で標準装備化されたETCだが、四輪車よりも二輪車のほうがETCの恩恵が大きい。ETCがなかったころは、料金所横でバイクを止め料金を支払った。ライダーにとっては、それが明らかに面倒くさいのだ。

 まずバイクを止めるのだが、特に足つきの悪いバイクのライダーは転倒防止のためスタンドを出す。ヘルメットのバイザーを上げ(停止していると曇りやすい)、金を探す。この金だが、走行風で飛んでいかないように、普段はフタの閉まるところに入れておかなければいけない。ジャケットに入れてもいいのだが、チャックやボタンで閉められるポケットに入れるのが鉄則。だが、グローブ(大抵厚手)を取らないとチャックの開閉もままならない。そこで、グローブを外してチャックを開けやっとお金を取り出して支払うのだが、問題はお釣りだ。大抵小銭が混ざるのだが、紙幣と小銭を分けて仕舞う暇などないから、タイトなジャケットのポケットにぐちゃっと詰め込む。小心者の筆者などはこの辺りで、後方のドライバーのイライラ視線を感じて焦り出したものだった。だがここで焦ってしまうとロクなことがない。例えば、慌てすぎてポケットから小銭を落としそうになる。すかさず手を伸ばすと、タンク上に置いたグローブに肘が当たってグローブ落下。おまけに小銭も落下。最後はバランスを崩して転倒。......とまでは滅多になかったが、とにかくライダーにとっては料金所が地獄だったのである。この"料金支払い地獄"がいやで出発前に「最初の料金所では右胸ポケットの金、次の支払いは左胸ポケット」......という具合に、少しでもスムーズに支払いができるよう準備していた。バイクは自由の象徴というが、出かける前にここまで予定を段取りしていると、全然自由な気がしなかった。

 そこへ来てETCである。初めて利用した際、いつもは止まってチケットを受け取る入り口を停止せずに抜けた瞬間、やっと自由の翼を手に入れた!ぐらいの開放感を味わった。出口では無事に通過できるか少しどきどきしながら走り抜けたのを覚えている。

 そもそも二輪はバランスしながら走行するので止まれば倒れる。停止とはすなわち転倒のリスクがあるのである。だからそのリスクが減っただけでも相当ありがたいものだ。そんな訳で、車以上にバイクのETC車載器の標準装備化は賛成である。

 ホンダではこの他、今回の仕様変更で、XにHSTC(スリップダウンを抑制する装備)やABS、グリップヒーターを標準装備にした。なお、ホンダによると同仕様車両は11月22日から発売するとしている。