2020年02月11日 17:50 掲載

交通安全・防災 子どもの交通事故が春先に増加する。最多の「魔の7歳」、その理由とは?

歩行中の交通事故において、死傷者数が際立って多いのは7歳児だという調査結果が交通事故総合分析センターの調査によって指摘されている。「魔の7歳」ともいわれる子どもたちは、なぜ交通事故に遭いやすいのだろうか。

JAF メディアワークス IT Media部 会田 香菜子

突出して多い7歳児の歩行中交通事故。

警察庁の調査によると、小学生の歩行中交通事故は4月~6月に増加傾向がある。(2014年~2018年調べ)

出典:警察庁交通局「歩行中児童の交通事故の特徴等について(2019年3月28日)」

 交通事故総合分析センター(以下ITARDA)が、2016年に発表した「交通事故分析レポート No.116」によると、2015年の交通事故死傷者数の中で最も多い年齢層は5歳~9歳で4,853人にものぼり、さらに1歳刻みにした統計では7歳が約1,400人と際立って多いという。 "魔の7歳" ともいわれるこの年齢の子どもたちの交通事故は、なぜ突出して多いのだろうか。

 警察庁の調査によると、2014年~2018年の「小学生歩行中の発生月別死者・重傷者数」では、春先から初夏にかけた46月、10月に増加傾向にある。7歳児が在籍する小学1年生~2年生は、いずれの月でもほぼ半数を占めている。
 中でも特に5月は1年生が全体の約3割を占め、最も多いという結果となった。就学前は幼稚園や保育園への送り迎えなど大人と一緒に行動することが多いが、小学生になって子どもだけで登下校や遊びに出かける機会が増えることが理由のひとつだと考えられる。

警察庁:「小学生歩行中の通行目的別 死者・重傷者数(2014年~2018年合計)」

出典:警察庁交通局「歩行中児童の交通事故の特徴等について(2019年3月28日)」

 実際、警察庁の調査によると、「小学生歩行中の通行目的別 死者・重傷者数(2014年~2018年)」では、「下校中」が21.8%と最多で、次に「遊戯」が20.5%と僅差で続いた。「登校中」も10%であった。
 さらにITARDAの調査から交通事故発生時刻を見てみると、全体的には日中、薄暮時、夜間と大きな差はない。しかし7歳児の場合は、73%が日中に発生しており、薄暮時も含めるとその割合は93%にものぼる。5月は入学から少し時間が経ち、子どもたちの気持ちにも慣れと油断が生じる。その時期こそが、最も交通事故に遭いやすいということもあるだろう。

男児の死傷者数は女児の約2倍。

ITARDAによると、7歳男児の死傷者数は女児の約2倍となっている。(2015年調べ)

出典:ITARDA INFOMATION 交通事故分析レポート No.116「子供の歩行中の事故」

 次に死傷者数の男女比率について、ITARDAによると7歳男児の死傷者数(2015年)は女児の約2倍となっている。通行目的別で見ても、「登下校」「遊戯・訪問」「買い物・散歩・観光・ドライブ」など、いずれも女児に対して男児が約2倍、特に「遊戯・訪問」では2.5倍と最も比率が高い。理由として、「遊戯・訪問」については女児に比べ男児は外で遊ぶ機会が多いことも考えられるが、「登下校」については機会は同じなので、女児よりも男児の方が危険な行動を取ってしまいがちなのかもしれないという(※1)。男児を持つ親は、さらに注意が必要だろう。

※1 出典:交通事故分析レポート No.116「子供の歩行中の事故」

警察庁:「小学生歩行中(第1・第2当事者)の法令違反別死者・重傷者数(2014年~2018年合計)」

出典:警察庁交通局「歩行中児童の交通事故の特徴等について(2019年3月28日)」

 小学生歩行中の法令違反別死者・重傷者数(2014年~2018年)については、警察庁のデータからご紹介しよう。最も多い原因は「飛び出し」の38.9%となっている。学年別で見ても、1年生が356人で全体の3割近くを占めていた。
 次いで「横断違反」も2割を超えて最も多いのが1年生であった。子どもの飛び出しによる交通事故は、ニュースなどでも何かと話題に上がりやすい。特に小学校入学直後の子どもたちは、まだ交通ルールへの認識が薄いこともあるだろう。小学校入学前から、家庭での交通安全教育を十分に行うことが、交通事故を防ぐことにつながるはずだ。

子どもの目線で安全確認を。

子ども目線で一緒に歩いて、交通ルールを教えてあげたい。

©hakase420 - stock.adobe.com

 JAF Mate Parkの実証実験によると、大人の視野は150度なのに対して子どもの視野は90度に留まるのだという。さらに同実験結果では、大人の感覚では少し首を振るだけで確認できる距離のクルマが、子どもの視野にはまるで入っていないことが分かった。親が子どもに左右の安全確認について教える際には、しっかりとクルマの方に顔を向けるように、と伝えることが大切だとこの実験から知ることができた。

 また、学校保健統計調査(2019年度)によると、小学1年生の平均身長は115cm~116cmほどである。これはクルマのドアミラーくらいの高さで、もしクルマのすぐ横を子どもが歩いていたとしたらドライバーからは確認ができない高さだ。通学路や住宅街など、子どもがいる場所を走行する時には姿が見えないからといっても油断せずに注意深く運転することが必要といえよう。
 しかし、ドライバーから子どもの姿を確認できたとしても、子どもの視野にはクルマの存在がまったく入っていない可能性が高いことも忘れてはならない。しっかりと互いの視線が合うくらいになって、ようやく子どもが車に気づいていると思うべきである。安全に気を付けている子どもは、ドライバーの顔をしっかり見てから横断するようにしていると感じる時はないだろうか。互いの存在をしっかり認識し合うことが、事故防止の第一歩になるのだろう。

 大人の目線では安全を確認できる場合でも、子どもの目線では見通すことができない場合があることが分かった。就学前などには、子どもと一緒に通学路を「子ども目線」で一緒に歩いて、交通ルールを教えてあげることが必要だといえよう。

 ドライバーの立場では安全運転を心がけているようでも、不意に道を横切る子どもの姿に慌てて急ブレーキを踏んだ経験がある人もいると思う。痛ましい交通事故を防ぐためにも、子どもを見かけた時にはドライバー側が速度を落として走行したり、一時停止するなどの配慮をしてあげたい。