2019年10月10日 10:30 掲載

交通安全・防災 菰田潔の、愛車「時短ケア」が安全運転につながる。その極意とワケを徹底解説

私は、クルマに乗っていてちょっとした空き時間があると「時短ケア」をします。「時短ケア」とは、例えばドライブの休憩中に、同乗者がトイレに行っているような短い時間の、5~10分ほどでできるクルマのケア術のことです。不思議なことに、これを習慣付けることで、ぐっと安全運転になるのです。「時短ケア」を習慣付けるためのポイントは、「楽にできる部分を、楽にできる時間で」です。

 では、具体的には何をするのか。まずは基本「拭き」ます。ここで一番大事なことは、クルマ全体を一気に拭こうとしないこと。

・前後横の窓ガラスの外側、内側を拭く

 窓の外と内側、これは前面のガラスだけではなく、後ろも横もです。特に後ろ窓の内側は、ほとんどのクルマが汚いままです。これをまずはきれいにします。ただし、後ろ窓の内側を拭くときには注意が必要です。曇り防止のための熱線がプリントされているので、それを断線しないように優しく拭かなくてはいけません。まず濡れたウェスで軽く拭いて湿らせ、その後に乾いた布で線と同じ方向に軽く水滴を拭き取ると良いでしょう。

フロントガラスをきれいな濡れたタオルで拭く

いつでもちょっとした時間に拭けるように、ウェスやタオルを備えておくとよい。

 こうして窓ガラスをきれいにすると、言わずもがな、視界がクリアになります。目視による見え方がクリアになるというだけでなく、ルームミラーからの後方の見え方もかなりクリアになりますし、逆光のなか走る場面や、反対に逆行をミラーで見返すという場合でも見やすくなります。

リアウインドーをきれいな濡れたタオルで拭く

リアガラスをきれいにするとルームミラーでの見え方がクリアになる。

 窓ガラスを拭くのは、視界をクリアにするためだけではありません。特にフロントガラスのコンディションは、先進機能を搭載したクルマの場合、より重要になっています。それはADAS(先進運転支援システム)の機能を損なわないようにするためです。ADASは先行車を追尾したり道路の状況を認識したりするために、カメラを備えていることが多いのですが、このカメラがフロントガラス越しに前方を捉える位置に設置されていることが多いのです。

前方を監視するADASのカメラ

フロントガラス越しのADAS用カメラ

 これらシステムは、レーダーやカメラを使って前方の障害物などを見ているのですが、フロントガラスが汚れていると性能を発揮できない可能性があります。安全性という意味では、人間も機械もきちんと見える状態にしておかなくてはいけないのです。

・ワイパーブレードも拭く

ワイパーをきれいな濡れたタオルで拭く フロントガラスを拭いたときに、ワイパーブレード(黒いゴムの部分)も一緒に拭くとよいでしょう。ブレードは四角い刃のようになっています。その刃の角で水を平滑にならすことでクリアな視界を確保しています。そのときにブレードにゴミがついていると、その分だけ水の膜がでこぼこになって筋が残る状態になる。ですから、なるべくゴミを取り除いておきたいところです。

 拭き方ですが、水で濡らしたきれいなウェスやタオルで、あまり力を入れずに、かつ、しっかりゴミが取れる程度の圧力で拭くのがポイントです。

・フロアマットをきれいに

 フロアマットは取り合えず外して車外でポンポンと払ってあげるだけできれいなります。このときに砂とか石ころとかを除去できます。たかが石ころと思いますが、馬鹿にできません。アクセルワークやブレーキング時に影響します。かかとの下に石ころがあると正確な操作が難しくなるからです。(完全に蛇足ですが)マットの下から10円玉とか100円玉など小銭が出てくることもあって、もしかしたら得ができるかもしれません。すべてのマットを一気にやるのは大変なので、一回に1,2枚でよいでしょう。

・灯火類も拭いておく

ヘッドライトを拭いて視認性アップ

 ヘッドライトやウインカー、ブレーキランプなど灯火類全般もきれいにしておくことをおすすめします。これも言わずもがな安全性の面からです。視認性と被視認性が向上します。

・ホイールはきれいにするメリット大

ホイールを捨ててもいい布で拭く

ホイールはいらなくなったウェスやタオルで拭こう

 ホイールを拭くのもおすすめです。ホイールをきれいにすると不思議とクルマ全体がきれいに見えるようになります。ホイールには、砂埃や泥などの他に、ブレーキダストが付着しています。ブレーキパッドが削れることで出てくるのですが、これがやっかいです。

ホイールを拭くときエアバルブもきれいにすると後々便利

エアバルブも一緒に拭くのがおすすめ

 ブレーキダストを拭くとタオルが真っ黒になります。新しいタオルも一発でダメになります。一生懸命洗ってもそのタオルはなかなかきれいになりません。このため使い古しのタオルを使って、拭き終わったらそのタオルは捨てる、というのがいいでしょう。水で濡らして拭けばそこそこ落ちますので、一本拭いたらタオルの別の面を使って拭くのがよいです。このとき、エアバルブとそのキャップも一緒にきれいにしておくと、次に空気圧調整をするときに手をあまり汚さずに済みます。

なぜきれいにすることが安全運転につながるのか

 時短ケアで拭くべき部分を解説してきました。繰り返しになりますが、短い時間ですべてをきれいにしようとすると大変です。ガラスなら1~2枚、ランプなら前部分だけと、分割して拭くのがポイントです。隙間時間を使って暇つぶし程度にするのがよいでしょう。

 クルマの内外をきれいにするということは、気分がすっきりして安全運転につながるという効果あります。これは、実は馬鹿にできません。きれいなクルマは事故が少ないというデータがあるのです。なぜか。きれいなクルマに乗っている人は、例えば道の横に草が生えていたり、砂が溜まっているところがあると、汚れるのが嫌という心理が働きそのそばを走りません。結果的に危険を未然に回避しているとも言えます。逆にクルマの汚れに無頓着な人は、草むらとかガードレールとかに寄って走っても気にならない。だから、その分余計な危険を増やすという理屈です。

 汚れだけではありません。例えばホイールをきれいにしている人は縁石に寄りすぎないようにマージンを取って走ります。一方で無頓着な人は、縁石に寄りすぎてちょっとこすったぐらいの傷をつけることにも平気になってきます。それがさらに進んで、軽くぶつけることが平気になってくると、もっと大きく傷つけることにもさほど抵抗がなくなる。結果、重大事故につながりやすい、ということなんです。

ミラー類もきれいな濡れたタオルで拭く これは、クルマが古くなっても大事にきれいにしておけば、汚したくない、傷つけたくないという心理が働くので、クルマの新旧には関係ありません。さらにいうと、外側だけでなく車内をきれいにする理由にもなります。なぜなら、運転しているときは中しか見えないわけで、きれいにしているという意識を保つためにも車内もきれいにした方がいいというわけなんです。

「時短ケア」はこれでおしまい?

 「さあ、全部拭いたし、これで時短ケアも終わりかな」。いえいえそんなことはありません。まだまだあるのでぜひ参考にしてください。待ち時間などの暇つぶしにもぴったりです。

・トランクの整理

トランクやラゲッジルームも整理しよう 何年か車に乗っていると、トランクとかラゲッジスペースには、なぜかいらないものが溜まってしまいます。新車の時はきれいに、それこそまるでカタログのようにすっきりしているのですが、年月が経つと色んなものを載せっぱなしになりやすいものです。

 例えば使わない靴とか破れたビーチサンダルとか壊れた傘などのゴミが、なぜか載っている人多いのではないでしょうか。そういうゴミを出かけた先でのちょっとした空き時間でまとめておいて、家に帰ったら捨てるというのも一案です。

・トリセツを読んでみる

トリセツも読んでみよう

 取扱説明書とかオーナーズハンドブックとか、メーカーによっていろいろ呼び名がありますが、いわゆる"トリセツ"です。これをほとんどの人が読んでいないんです。ですが、ぜひ読んでおいたほうがいいですよ。「こんな機能があったのか」と新しい発見があるはずです。そして、使っていない機能がないか、確認していただきたい。それに一回読んでみると、実はけっこうおもしろいし、もっと自分の車が好きになるかもしれません。

 ちなみに私はトリセツが大好きです。クルマに限らず家電でもなんでもトリセツを熟読します。機能を使いきれないのが嫌だということもありますが、その製品を作った人がどういう風に使ってほしいのかという意見の表明がそこにあるからなんです。作った人の狙いとは異なる自分流の勝手な使い方をして、その製品を活かしきれないということがもったいない。トリセツは技術者の意見書でもあるんですね。

・タイヤの残溝のチェック

タイヤの溝をチャック 残溝は、特に内側の溝をチェックしましょう。最近のクルマはネガティブキャンバーが多いので、内側(車体側)が減りやすくなっています。だから外側だけ見て減ってないなと思っても、内側が限界にきていることがありえます。見えにくい内側のチェック方法は、まず外側の溝に指を入れてみて、次に内側の溝に手を入れてみると、その差で大体見当がつきます。指で触って溝と分かればいいですが、触ったときに溝かどうかわからない状態であればタイヤの使用限界にきていると思ってよいです。

 タイヤは新品の状態では8mm程度ありますが、4mm(5分山)くらいになると溝の存在が指で確認しにくくなってきます。4mm以下になると高速道路でハイドロプレーンが起きやすくなります。法令では1.6mmのスリップサインが使用限界としていますが、5分山を切ったらハイドロプレーンの可能性を考え、交換の検討を始めるといいと思います。

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