2019年10月04日 17:40 掲載

交通安全・防災 暗くなってからでは遅すぎる。意外と知らないヘッドライトの点灯タイミング。

1日のうちで最も交通死亡事故が多い時間帯は17~19時台。つまり夕暮れ時はドライバーにとって最も注意すべき時間帯ともいえる。夕暮れ時の事故を防ぐために、ぜひ実践してほしいのが早めのヘッドライト点灯だ。

JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典

夕暮れ時の事故を防ぐために有効なのが、早めのヘッドライト点灯。ドライバーの方は、ぜひ意識して早めのライトオンを心がけてほしい。

夕暮れ時は大きな事故が多いって本当?

 一般的に、夕暮れ時には重大な交通事故が多く発生しやすいと言われている。本当に重大事故は夕方に多いのか、交通事故データを元に詳しく見てみよう。

平成25~29年の時間帯別・死亡事故件数。
出典:警察庁ウェブサイト https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

 上は平成25年(2013年)から平成29年(2017年)までの5年分の死亡事故の発生件数をグラフにしたものだ。17時台、18時台、19時台の事故件数が突出しているのがわかる。

 季節や地域によって差はあるものの、この時間帯は日没前後にあたる夕暮れ時。子どもたちをはじめ多くの人々の帰宅時間でもあることから、日中に比べて交通量が多くなる。また、ドライバーにとっては1日の疲れが出て注意力が低下しやすい時間帯でもあるため、特に気をつけるべき時間帯だと言えそうだ。

日没が早まる10~12月は特に注意!

 続いて日没前後の1時間に発生した死亡事故の件数を月別でまとめたデータを見てみたい。

平成25~29年の「薄暮時間帯」における月別・死亡事故件数。「薄暮時間帯」とは日没時刻の前後1時間のこと。日没時刻は、各日の各都道府県の都道府県県庁所在地(北海道は各方面本部所在地を含む)の国立天文情報センター暦計算室の算出した日の入り時刻。
出典:警察庁ウェブサイト https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

 このグラフを見ると、10~12月に死亡事故の件数が増えていることがわかる。10~12月は日没が早まる時期と一致。同じ夕方の時間帯でも、暗くなる時間が早まることで事故が増加していることがわかる。

夕暮れ時は「自動車対歩行者」の事故が多く、ほとんどが「横断中」に発生

 日没前後の1時間は「薄暮時間帯」と呼ばれるが、この時間帯は「自動車対歩行者」の死亡事故が飛び抜けて多い。昼間の「自動車対歩行者」の時間あたり事故件数は全体の約20%にとどまっているものの、薄暮時間帯にはその割合が半数を超えていることがわかる。

当事者別の時間あたり死亡事故件数(平成25年~平成29年)

【昼間】(薄暮時間帯を除く)計843.8件

【薄暮時間帯】計1285.0件

件数は平成25年~29年の累計で、薄暮時間帯は2時間として算出。「その他当事者同士」とは、二輪車×二輪車、自転車×自転車などの死亡事故を指す。
出典:警察庁ウェブサイト https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

 さらに、次のグラフを見ると「自動車対歩行者」事故の多くは「道路の横断中」に発生していることも明らかになっている。

薄暮時間帯における「自動車対歩行者」の事故類型別死亡事故件数(平成25年~29年)

出典:警察庁ウェブサイト https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

 「薄暮時間帯」と呼ばれる日没前後の1時間は「自動車対歩行者」の事故が多発する。さらに、その8割以上が「道路の横断中」に発生している。

 つまり「薄暮時間帯」は、ドライバーにとって特に注意が必要な時間であり、中でも「道路を横断しようとしている歩行者」を意識しながら走行することが求められる。

 また「薄暮時間帯」に「道路の横断中」の事故が多いということは、この時間帯は歩行者からも走行中のクルマの動きが見えづらくなっているということでもある。これを防ぐために効果的なのが、早めのヘッドライト点灯。ドライバーが早めのヘッドライト点灯を心掛けることで、歩行者に走行中のクルマの存在を認知してもらいやすくなるのだ。

ヘッドライト点灯でクルマの見え方はこう変わる。

 早めのヘッドライト点灯はどの程度効果があるものだろうか。薄暮時間帯にヘッドライト点灯を行うことで、どのくらいクルマの見え方が変わるのかを実際の路上で調べてみた。

9月26日の17時03分に東京都港区芝大門周辺の道路で撮影。この日の日没は17時33分だったので、ちょうど日没30分前の様子となる。早めにヘッドライトを点灯している車両の方が、目につきやすくなっている。

 この写真は日没30分前の様子だ。空は明るさが残っており、まださほど暗くはない状況だが、ヘッドライトを点灯していないクルマより、ヘッドライトを点灯しているクルマの方が存在感があるのがわかるだろう。天候などでも異なるが、南中時は10万ルクスを超える天空照度が、日没の30分前になると1000ルクス程度まで落ちる。さほど周囲が暗く感じられなくても、歩行者からは走行中のクルマが景色に溶け込んで見えづらくなっているのだ。

 ヘッドライト点灯が推奨されるのは、まさにこの「日没30分前」。道路交通法では「日没時間」を基準としてライトの点灯を義務化しているが、JAF(日本自動車連盟)ではより安全な運転を考えて、それよりも早めのタイミングでの点灯を推奨している。

前のクルマのテールランプや信号の点灯が気になり出したらライトオン!

 インターネットなどで日没時間を調べ、それより30分早い時間を点灯時間の目安にすることもできるが、日没30分前を日々意識するのは難しい。また、天候によっても太陽光の照度は大きく異なる。そこで、ここでは簡単にヘッドライト点灯の目安となるタイミングがわかる方法を紹介しよう。

 まずは、こちらの写真をご覧いただきたい。

空はまだ明るくても、前を走るクルマのテールランプが目につき始めたらヘッドライト点灯のタイミングだ。

 空はまだ十分明るく、路上もそれほど暗くは感じられない。だが、走行中のクルマのテールランプはどうだろうか。日中よりだいぶ目につきやすくなっているのがわかる。まずは、これをヘッドライト点灯の目安として覚えておいてほしい。

 この写真を撮影したのも、まさに日没30分前。ライトオンが推奨されるタイミングだ。一見、まだまだ明るいと感じられても、前のクルマのテールランプや信号、もしくは看板類といった発光体の輝度が気になるようになったら日中に比べ天空照度が下がっているサイン。クルマの動きも風景に溶け込んで見づらくなってきているため、歩行者にクルマの存在を認識してもらうためにもヘッドライトをONにしておこう。

 また、車内のメーター周りが見づらくなってきたら、やはりそれも「周囲が暗くなってきた」証拠。自車の存在が歩行者から見えづらくなっていると認識し、すぐにヘッドライトを点灯するようにしたい。