2019年07月10日 02:52 掲載

交通安全・防災 クルマの車内温度を徹底研究。これだけは知っておきたい車内の猛烈な暑さ攻略法!

夏。クルマのドアを開けた瞬間、猛烈な熱気に襲われます。イヤなものですね。ここでは、過去に実施された「JAFユーザーテスト」で証明された、夏の車内温度対策に役立つ情報をピックアップして紹介します。

JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一

夏の車内温度、いったいどんな暑さなの?

 炎天下に駐車していたクルマに乗り込もうとして、猛烈な熱気に襲われたことはありませんか。その暑さに耐えながらクルマに乗り込んだときのハンドルやシートベルトの金具のなんと熱いことか! こんな状況では運転するのも嫌になってしまいそうです。

 「JAFユーザーテスト」では、これまで車内の暑さに関するさまざまなテストを行ってきました。そこで証明された結果をもとに、夏の車内におけるベストな暑さ対策を見ていきましょう。

 まず、夏の車内は、当然ながら信じられないぐらいに温度が上がっています。外気温が35℃の環境下で行ったテストでは、それまでエアコンが効いていて25℃程度だった車内温度が、エンジンを切って駐車し始めると1時間経たずに50℃をオーバー。直射日光が当たりやすいダッシュボードの温度は70℃を超えました。

 この環境下では、ダッシュボードに置いてあったクレヨンは80分ほどで溶けて流れ出し、生卵は2時間で固まり、100円ライターは亀裂が入りガスが抜け、スマートフォンは使用不能になってしまいました。

 こうした温度環境の過酷さを物語るテストも実施しています。車内温度40℃の世界を成人男性5名が体験してみました。このとき車内温度は48℃でしたが、被験者が車内に乗り込むとドアの開閉などもあり40℃に低下し、その後も36℃~44℃で推移。ですが、クルマに乗り込んだ被験者は10分もしないうちに全身から汗が噴き出しあごからぽたぽた落ちるほどに。20分後、安全対策として持っていたペットボトルの水500ccを飲み切り、30分後には全員限界に達しテスト終了。水分補給をしていた成人男性でもどうにか我慢できたのが30分だったのです。これが乳幼児だったらと考えるとぞっとします。

 乳幼児の場合、短時間でも危険性が高いといいます。乳幼児は大人と比べて体温調整機能が未発達で、高温化では短時間で体温が上昇し死に至ることがあるからです。また、この体温調整機能は加齢にともなって低下するので、高齢者も同様に危険です。外気温が低いと感じてもクルマに子どもやお年寄りを残すのはやめましょう。

 なお、このテストは、被験者の体調を慎重にチェックしながら行いました。危険ですので、絶対にテストの真似や、我慢大会はしないでくださいね。

車内温度の上昇を防ぐ方法

 このテスト車両は黒のミニバンでしたが、同型の白のミニバンではおよそ5℃低かったことから、車体色が温度に与える影響は大きいといえそうです。夏の暑さ対策のためだけに、クルマの色を選ぶというのも現実的ではありません。ではどうしたら温度が上がりすぎるのを防げるのでしょうか。

 フロントガラスにサンシェードを置いて駐車しているクルマをよく見かけます。先ほどのテストでは、白いミニバンのフロントガラスにシェードを置いて車内温度を計測しています。効果は確かにありました。上の写真のように少なくとも80分ほどは温度を低めに抑える傾向があることが分かったのです。

 ですが、2時間を過ぎるころには、サンシェードをしていないクルマとほとんど変わらない温度まで上昇しました。

 一方、窓を開けていたらどうでしょうか。3cmほど窓を開けていた白いミニバンの場合、窓を閉め切っていた場合に比べて常時5℃ほど低い車内温度でした。

 とはいえ、急な雨の吹込みや防犯の観点から、窓を開けっぱなしにして長時間駐車するのは心配です。温度を上げない工夫としては、やはり、屋根や木の下のような陰の濃い場所など、駐車する場所自体を工夫する必要がありそうです。JAFの実験データによると、日陰に駐車すれば車内温度上昇を一定程度抑えることができるとなっています。ただし、それでも車内は非常に暑いので子どもを置き去りにしてはいせません。

高温の車内を高速冷房するテクニック

 ただ、目的地に都合よく陰があるとは限りません。そんな場合は、乗り込んだタイミングで高温になっている車内温度を一刻も早く下げたいものです。

 早く温度を下げる方法を検証したテストでは、ドアの開閉や冷却スプレーなどさまざまな方法で温度を下げようと試みました。結果は、エアコンを入れ窓を全開にして走行するのが一番早く温度を下げることができました。

 詳しくはこうです。まず窓を全開にしますが、このときエアコンは外気導入です。車内温度よりも外気温の方がまだ涼しいからです。この状態で走り出すことで、いち早く熱気を車外へ排出します。車外の熱気が排出されたように感じたら、窓を閉めてエアコンを内気循環に切り替えるというものです。ドアの開閉やエアコン作動だけでは思ったほど短時間では下がりませんでしたが、この方法であれば5分ほどで外気温と同じくらいまで下げることができました。

 暑さをちょっと我慢して走り出した方が結果的には早く温度を下げられるうえ、アイドリング状態を長く続けたことによる燃料消費が抑えられるので、環境的なメリットもありそうです。ただし、車内温度が下がっても、ハンドルやダッシュボードに熱が蓄積していてあまり温度が下がっていない場所があります。高温になったチャイルドシートやベルトの金具でヤケドを負う危険性も考えられるので十分注意が必要です。

走行中はエアコンの設定で燃費が変わる

 上のテスト結果では、早く走り出した方が燃費にもよいという話でしたが、エアコンのモード設定で燃費は変わるのでしょうか。結論からいうと、燃費に影響します。

 外気温が31℃~35℃のなか、高速道路を走行して検証したテストでは、エアコンが「オート(AUTO)モード」の設定で16.6km/L走るクルマが、「マニュアル操作で風量を弱」にした場合で15.7km/Lに、「マニュアル操作で風量を強」にすると14.6km/Lにまで落ち込みました。

 オートモードでは、自動的に風量を抑えるなど、細かい制御をエアコンが行うため快適度も高く、ドライバーが運転に集中できるといったメリットもあります。このことから、高温状態になったクルマの場合、車内温度をいったん下げた後は、エアコンをオートモードにして走行したほうがよいといえそうです。

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