交通安全・防災 見た目はまるで雷おこし? 雨でも快適に走れる道路にする技術。排水性・透水性舗装とは?

 排水性・透水性舗装とは、いわゆる水はけの良い道路にするための舗装技術のこと。高速道路を中心に幹線道路などでも採用されるようになり、雨の日も快適に走行できるようになっている。本記事では、そんな排水性・透水性舗装について紹介していきたい。

2019年06月11日 15:45 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典

 雨の日の運転で気になることの一つに「道路の水はけ」が挙げられる。水はけが悪い道路を走行していると、前を走る車から霧のような水しぶきを浴びてしまったり、逆に自分の車が他者に水しぶきを浴びせてしまうこともある。また、高速道路などでスピードを出して走行する際などは、水膜でタイヤが浮き上がり、ハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象が生じることもある。

 そんな雨の日の水はけを解消してくれるのが排水性・透水性舗装。通常の舗装とどのように異なり、どういった機能があるのかを大成ロテック株式会社の技術営業部にうかがい、話を聞いてきた。

通常のアスファルトとどう違うの?

 まずは通常のアスファルト舗装のサンプルと、排水性・透水性舗装アスファルトのサンプルの違いを見てもらいたい。こうして間近で比較すると、大きな違いがあることがよくわかる。通常の舗装に比べ、排水性・透水性舗装アスファルトはかなり目が粗い。近くで見るとまるで雷おこしのようだ。

写真左は通常のアスファルト舗装のサンプル。右が排水性・透水性舗装アスファルトのサンプル。こうして見ると、排水性・透水性舗装アスファルトが、通常のアスファルト舗装に比べてどれだけ目が粗いかがよくわかる。協力:大成ロテック株式会社

排水性舗装と透水性舗装の違いって?

 排水性・透水性舗装は「排水性舗装」と「透水性舗装」の2種類に大きく分けられる。ここでは、従来型の「密粒舗装」を含めこれら3つの違いを図で見てみよう。

左が雨水を吸収しない従来型の「密粒舗装」。中央の「排水性舗装」は、最初の一層のみで雨水を浸透させて排水する。右の「透水性舗装」は雨水を路床、つまり地面まで吸収させるようになっている。画像提供:大成ロテック株式会社


【密粒舗装】従来の一般的な舗装
 雨水は浸透せず、アスファルト表面で排水される。道路の凹凸や轍などに水たまりができてしまうことも。

【排水性舗装】表層のみ雨水が浸透
 表層部分のアスファルトのみ雨水が浸透するが、二層目の不透水層でブロックし排水される。

【透水性舗装】雨水はそのまま地面へ浸透
 不透水層を設けないことで雨水はそのまま路床(下の地面)まで浸透する。


 上の図を見てわかるように、排水性・透水性舗装はいずれも道路の表面に雨水を残さない舗装技術となっている。だが、上記の違いを踏まえた上で、いくつか疑問点が出てきたのでそれらについてうかがって以下にまとめてみた。

「排水される」とは、どういったイメージ?
 道路は断面で見るとかまぼこ状になっていて、センターライン付近の中央が最も高く、両端の路肩側が低くなっているため、雨水を吸収しない密粒舗装の場合でもアスファルト表層の雨水は路肩に流れ排水されるようになっている。また、排水性舗装でも一層目を通り抜けた雨水は、両端の路肩に流れるよう排水されるという仕組みだ。

排水性舗装と透水性舗装の使い分けについて
 排水性舗装は、路床に雨水を吸収させることができない高速道路や高架線などで採用されている。舗装の下の地面にまで雨水を浸透させる透水性舗装の場合、水を含ませてしまった地盤が緩む恐れがあるため、大型車が多く走行するような道路には向いておらず、歩道などに採用されることが多い。

将来的にはすべての道路が排水性・透水性舗装になる?
 一般道の舗装は、各自治体などの計画に沿って施工されるが、交通量の少ない山奥の道路など、大きな需要のない場所では引き続き密粒舗装が採用されることも多い。つまり、今後すべての道路が排水性・透水性舗装になるとは限らない。

車の往来がさほど頻繁でない山間部などでは、これまで通りの密粒舗装が採用されるケースも多いそうだ。

もうひとつのメリットは「静音性」

 排水性・透水性舗装にはもうひとつ大きなメリットがある。それは騒音の低減効果だ。自動車が走行する際には、タイヤと路面の間に空気が入り、この空気が圧縮・膨張することで騒音が発生する。排水性・透水性舗装は、目の粗いアスファルトが空気を吸収してくれるのだ。また密粒舗装と比べ、騒音を3dB程度低減する効果があるという。3dBの低減効果とは、およそ交通量が半減した場合と同程度にあたる。その効果は決して小さなものではない。

排水性・透水性舗装のもうひとつのメリットは走行時の騒音を低減させること。水はねと騒音を抑制するため、まさに一石二鳥の技術となっている。

意外と古い歴史を持つ排水性・透水性舗装

 排水性・透水性舗装の歴史は意外と古く、前出の大成ロテックによると、技術自体が登場したのがおよそ30年ほど前。これらが高速道路や自動車専用道路で、どのように採用されていったかを首都高速道路とNEXCO東日本の広報担当に聞いてみた。

 首都高速道路では90年代後半から導入がスタート。2000年代には大部分が高機能舗装に切り替えられている。また首都高速道路では2015年以降、さらに騒音が抑制される低騒音型の舗装が導入されているという。

 NEXCO東日本では、早くも1989年から導入が開始され、1998年頃には標準化。それ以降の新設路線や既設路線の補修などで全社的に採用されてるようになり、今ではトンネル内などを除くほとんどの場所で実装されている。また、高機能舗装を採用したことにより湿潤路面時の事故件数が多かった箇所で、約8割もの事故が減少した例もあるということだ。

 このように高速道路や自動車専用道路では、今や排水性・透水性舗装がかなりの確率で採用されている。とはいえ、雨の日は晴天時より事故の可能性が高まるため、運転には注意が必要。NEXCO東日本では「路面が濡れているときは、普段の約2倍の車間距離を確保する」「道路状況にあった安全速度で走行する」といった注意を促しており、悪天候で200m先が見えない場合は「昼間でもライトを点灯し、自分の車の存在を他の車両に知らせる」ことを推奨している。