2019年06月06日 16:00 掲載

交通安全・防災 【JNCAP2018】予防安全性能評価試験、前期10車種11グレード+後期11車種、総合得点ランキング


JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

第16位:eKスペース/eKスペースカスタム(三菱)、デイズ ルークス/デイズ ルークス ハイウェイスター(日産)

合計:93.2点(74.0点) ASV+++

対歩行者:44.2点(日中:24.9点/夜間:19.3点) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:8.0点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:1.2点

試験に用いられた車種・グレード:eKスペースカスタム G Safety Package(B11A型) 軽自動車
センサー方式:カメラ、超音波
予防安全システム名:三菱e-Assist(日産側ではトータルのシステム名は使われていない)

三菱 ekスペースカスタム 2018年式|mitsubishi ek space custom 2018 model year

三菱「eKスペース」/「eKスペースカスタム」と日産「デイズ ルークス」/「デイズ ルークス ハイウェイスター」は、日産と三菱が共同開発したトールワゴンタイプの軽自動車。2014年2月に発表された。「eKスペース」と「デイズ ルークス」が通常モデルで、「eKスペースカスタム」と「デイズ ルークス ハイウェイスター」が、上級モデルだ。前期では7位だった。JNCAP2018前期発表会で行われた、夜間における対歩行者・被害軽減ブレーキのデモンストレーションにおいて撮影した「eKスペースカスタム」。

 この4車は発売当初、安全運転支援システムは搭載しておらず、衝突被害軽減ブレーキが2014年12月のマイナーチェンジから搭載グレードが用意され、ほかのグレードではメーカーオプション設定となった。2015年4月には、日産の「デイズ ルークス」/「デイズ ルークス ハイウェイスター」のみ「エマージェンシーブレーキ」と「踏み間違い衝突防止アシスト」を全グレード標準装備とした。

 2018年5月には、4車共に安全支援運転システムの機能向上が実施された。衝突被害軽減ブレーキは、従来のレーザーレーダー方式からカメラ方式に変更。誤発進抑制機能も従来のレーザーレーダー方式からソナー(前後4か所)およびカメラ方式に変更された。今回の21車種22グレードのうち、ASV+++を獲得したのはここまでで、全16車種。

 

第17位:カムリ(トヨタ)

合計:75.6点(60.0点) ASV++

対歩行者:18.2点(日中:18.2点/夜間:-) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:16点満点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:2点満点

試験に用いられた車種・グレード:カムリ G(AXVH70型)
センサー方式:ミリ波レーダー、カメラ、超音波
予防安全システム名:Toyota Safety Sense
※OEM車にダイハツ「アルティス」あり

トヨタ カムリ|toyota camry

トヨタのグローバルミッドサイズセダン「カムリ」。その10代目は2017年7月に登場した。上画像は、2018年8月に追加設定された新グレードAXVH70型「カムリ WS」をベースに、パノラマルーフなどのメーカーオプションを多数設定した1台(試験を受けたグレードとは異なる)。2018年度前期の試験では8位だった。2018年度JNCAP後期評価結果発表会にて撮影。

 発売当初「カムリ」に搭載されていたのは、2種類あったトヨタの第1世代予防安全パッケージのうち、中・高級車向けの「Toyota Safty Sense P」だった。単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたシステムである。現在のトヨタ車の予防安全パッケージは、その発展型である第2世代の「Toyota Safety Sense」となり、こちらへの移行が進む。

 「カムリ」も現在では「Toyota Safety Sense」を搭載車種となっているが、夜間の歩行者にはまだ対応しておらず、実質的には「Toyota Safty Sense P」のままだ。「Toyota Safety Sense」には、衝突被害軽減ブレーキ、ステアリング制御機能付き車線逸脱警報、オートマチックハイビーム、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールなどの機能がある。また2018年8月のマイナーチェンジでは、一部グレードを除いてインテリジェントクリアランスソナーが標準装備に。それにより、踏み間違い加速抑制機能「パーキングサポートブレーキ(静止物)」が搭載された。

 

第18位:クロスビー(スズキ)

合計:63.9点(50.7点) ASV++

対歩行者:14.9点(日中:14.9点/夜間:-) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:8.0点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:0.6点

試験に用いられたグレード:HYBRID MX(MN71S型)
センサー方式:レーザーレーダー、カメラ、超音波
予防安全システム名:スズキ セーフティ サポート

スズキ クロスビー|suzuki xbee

小型クロスオーバーワゴン初代・MN71S型「クロスビー」は2017年12月に発売。スズキの最も新しい完全新型車である。2018年度JNCAP後期評価結果発表会にて撮影。

 「クロスビー」は、スズキの安全運転支援システム「スズキ セーフティ サポート」を搭載。2種類あるグレードのうち、上級の「HYBRID MZ」は同システムを標準装備しており、普及グレードの「HYBRID MX」はメーカーオプション設定となっている。衝突被害軽減ブレーキは「デュアルセンサーブレーキサポート」に加え、スズキの小型車としては初搭載となる「後退時ブレーキサポート」も搭載した。そのほか、前後方誤発進抑制、車線逸脱警報、ふらつき警報、ハイ/ロー自動切替のハイビームアシスト、先行車発進お知らせなどの機能も備えている。

 スズキは車種によって搭載センサーの種類を変えており、「クロスビー」は「ソリオ/ソリオ バンディット」とは異なり、デュアルセンサー方式を採用。単眼カメラとレーザーレーダーを併用する方式となっている。

 

第19位:エクリプス クロス(三菱)

合計:63.5点(50.4点) ASV++

対歩行者:14.9点(日中:14.9点/夜間:-) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:8.0点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:1.2点

試験に用いられたグレード:G(GK1W型)
センサー方式:レーザーレーダー、カメラ、超音波
予防安全システム名:三菱e-Assist

三菱 エクリプス クロス|mitsubishi eclipse cross

2018年3月に初代が登場したクロスオーバーSUV・GK1W型「エクリプス クロス」。2018年度前期に評価試験を受けており、そのときは10位だった。2018年度JNCAP後期評価結果発表会にて撮影。

 三菱の新型のコンパクト・クロスオーバーSUV「エクリプス クロス」が搭載する安全運転支援システムは「三菱e-Assist」。衝突被害軽減ブレーキ「FCM」、前後進誤発進抑制、車線逸脱警報「LDW(Lane Departure Warning)」、ハイ/ロー自動切替型の「AHB(Automatic High Beam)」などを全車標準装備している。

 「G Plus Package」などの一部グレードに標準装備されているのが、定速走行・車間距離制御機能(レーダークルーズコントロール)、後退時車両検知警報システム「RCTA(Rear Cross Traffic Alert)」などの機能だ。

 

第20位:オデッセイ(ホンダ)

合計:62.7点(49.8点) ASV++

対歩行者:8.5点(日中:点/夜間:-) 対車両:31.6点 車線逸脱抑制:16点満点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:- 踏み間違い加速抑制:0.6点

試験に用いられたグレード:HYBRID ABSOLUTE・Honda SENSING EXパッケージ(RC4型)
センサー方式:ミリ波レーダー、カメラ
予防安全システム名:Honda SENSING

ホンダ オデッセイ|honda odyssey

2013年11月に5代目が発売を開始したホンダのミニバン「オデッセイ」。上写真は上級モデルのRC4型「オデッセイ HYBRID ABSOLUTE EX Honda SENSING」。試験を受けた車種と同一のものだ。2018年度前期の評価試験では、11位。2018年度JNCAP後期評価結果発表会にて撮影。

 5代目「オデッセイ」は発売当初から、誤発進抑制機能を搭載した衝突被害軽減ブレーキ「CMBS」などの安全運転支援系の機能を搭載していた。予防安全システム「Honda SENSING」が登場したのはその後で、2015年1月のマイナーチェンジで初めて上級モデル「オデッセイ ABSOLUTE」などの一部グレードにが標準装備された(そのほかはメーカーオプション)。さらに2017年11月のマイナーチェンジで、「Honda SENSING」が全モデル・全グレードに標準装備となった。

 同じホンダ車でも、2018年から発売を開始した第6位の「インサイト」から第9位の「CR-V」と比較してしまうと、大きな点差がつく結果となった。夜間の歩行者に対応していないこと、高機能前照灯を採用していないことなど、いくつか要因があるが、同じ「Honda SENSING」であっても年式によって性能差があることも大きいようだ。「オデッセイ」は「Honda SENSING」を後付けしていることにより、チューニングが完璧でないことも考えられるだろう。安全運転支援システムは、まさに日進月歩の世界なのである。

 

第21位:ジムニー(スズキ)

合計:61.3点(48.7点) ASV++

対歩行者:13.3点(日中:13.3点/夜間:-) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:8.0点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:0.6点

試験に用いられたグレード:XC(JB64W型) 軽自動車 ※後期に試験を受けた車種
センサー方式:レーザーレーダー、カメラ
予防安全システム名:スズキ セーフティ サポート

スズキ ジムニー|suzuki jimny

2018年に20年ぶりにフルモデルチェンジして3代目が登場した軽4WD「ジムニー」。上写真はJB64W型「ジムニー XC」。「人とくるまのテクノロジー展2019」にて撮影した。

 2018年度の予防安全性能評価試験を受けた3車種のスズキ車のうち、唯一後期に試験を受けたのが「ジムニー」だ。最上位グレード「XC」には、予防安全システム「スズキ セーフティ サポート」が標準装備されている(そのほかの2グレードはメーカーオプション)。

 ただし、同じ「スズキ セーフティ サポート」とはいっても、搭載されている安全運転支援機能は異なる。「ジムニー」に装備されているのは、衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」、誤発進抑制、車線逸脱警報、ふらつき警報、ハイ/ロー切替の「ハイビームアシスト」、先行車発進お知らせ、標識認識となっている。「デュアルセンサーブレーキサポート」は「クロスビー」と同じ方式で、単眼カメラとレーザーレーダーを併用する方式だ。ただし、夜間の歩行者に対応していない。

 

第22位:ミラ トコット(ダイハツ)

合計:60.6点(48.1点) ASV++

対歩行者:12.0点(日中:12.0点/夜間:-) 対車両:32点満点 車線逸脱抑制:8.0点
後方視界情報:6点満点 高機能前照灯:1.4点 踏み間違い加速抑制:1.2点

試験に用いられたグレード:G"SA III"(LA5550S型)  軽自動車 ※後期に試験を受けた車種
センサー方式:ステレオカメラ、超音波
予防安全システム名:スマートアシストIII

ダイハツ ミラ トコット|daihatsu mira tocot

2018年6月に初代が登場した軽自動車「ミラ トコット」。「ミラ」の名を冠してはいるが、直接的な後継モデルではなく、新規開発の車両である。「モータースポーツジャパン2019」にて撮影。

 「ミラ トコット」は、2018年度の予防安全性能評価試験を受けた唯一のダイハツ車だ。搭載している安全運転支援システムは、ダイハツの安全運転支援システムの最新版「スマートアシストIII」。「"SAIII"」とグレード名にある車種にはすべて装備されている。その機能は、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、前後方誤発進抑制制御、先行車発進お知らせ、ハイ/ローの自動切替型「オートハイビーム」などとなっている。

 「スマートアシストIII」のセンサーには、世界最小クラスのステレオカメラが採用されていることが特徴だ。左右のレンズ間隔が80mmで、「スマートアシストIII」を発表した2016年11月30日の時点では、ダイハツの調べによれば世界最小のステレオカメラとしている。コンパクト化がもたらすメリットは、より小型の軽自動車への搭載も可能となること。実際にその後、ダイハツは次々とコンパクトな軽自動車にも搭載していき、「ミラ トコット」にも搭載された。


 今回の予防安全性能評価は、合計得点が126点となったため、二極化がより目立つようになった。課題は、低価格帯のクルマだ。高性能な安全運転支援システムを搭載した結果、車両価格が大幅に上がってしまうのは、ユーザーもメーカーも望まないだろう。しかし、性能的に「ないよりはマシ」的なシステムではあまり意味がないのも事実。メーカーとしてはさらなる努力が必要となるが、予防安全は人の命を守る技術であり、技術革新やコストダウンなどを進めていってほしいところである。

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