2019年06月11日 15:43 掲載

交通安全・防災 雨天の運転で危険を回避するための4つのポイント

雨に濡れずに移動できることがクルマの大きなメリットの一つ。でも、雨の日の運転に苦手意識を持つドライバーが多いのも事実です。ここでは、過去に実施された「JAFユーザーテスト」のなかから雨天時に役立つ情報をピックアップして紹介します。

JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一

 「雨の日の運転は苦手」と感じているドライバーは多いのではないでしょうか。なぜ苦手に感じるのか。ただでさえ雨粒によって狭くなった視界が、曇りやすくなったウインドーによってさらに見えにくくなります。ハンドルが妙に軽くなったり、ブレーキの効きが甘くなったように感じるドライバーもいるかもしれません。走行音に雨を跳ね上げる音が加わり、車内が騒々しくて運転に集中できないというドライバーもいます。晴れている日とは運転感覚が異なる状況になるため、不安に思う=苦手と感じるのかもしれません。

 こうした不安感のような、いつもと違う状況を感じ取る能力は、安全運転をする上で欠かせないものです。とはいえ、気を付けるべきポイントを押さえて運転すれば、いたずらに不安になる必要もありません。そこで、雨天時の運転でどんなことに気を付ければよいのか紹介します。

豪雨や濃霧で視界不良になった場合

 まず、雨天時の"見えない恐怖"についてはどうなのでしょうか。

 豪雨や濃霧のとき、車や歩行者はどう見えるのか検証しています。その結果によると、気象庁の用語で「激しい雨」(雨量30mm/h)の状態で、昼夜問わず無灯火の車両が際立って見えづらかったという結果でした。

 また、対象が人の場合はさらに確認が難しく、夜間で自車のライトが下向きの場合、黒い衣服の人は極めて発見しにくかったそうです。

 雨がちな日が続くと、濃霧が発生しやすくなりますがこれも視界を奪います(上写真)。豪雨時と同様かそれ以上に視認しにくくなり、こちらもやはり黒い衣服の人は見えにくくなっています。

 テストドライバーによると「テストとわかっていても、無灯火車両はなかなか認識できず、衝突する危険を感じました」としています。

 このことから、悪天候時は周囲の車から見落とされないように昼間でも必ずライトを点灯し、速度を十分落とすことが必要だと分かります。また、雨や霧がひどい場合は無理に走らず、駐車場など安全な場所に車を止めて天候の回復を待つことも大切です。一方、自分が歩行者の場合は、雨や霧の中ではドライバーから見落とされる危険性を考えて、不用意に道路を横断するようなことがないように注意しましょう。

タイヤの溝がまず大事

 では次に、雨の日のタイヤのグリップ性能を見てみましょう。新品のタイヤは溝が9mmほどあり、法令では溝が1.6mmになるまで使用できます。

 新品のタイヤと5分山タイヤ、2分山タイヤ、5分山スタッドレスタイヤで制動距離を計測。濡れた路面で新品タイヤの場合47.6mで止まれるクルマが、5分山タイヤの場合は50.8mかかって止まりました。2分山タイヤでは70.5m、5分山のスタッドレスタイヤで72.2mとさらに大きな差がつきました。

 モータージャーナリストの菰田潔氏は、「溝が浅いと、タイヤが路面から浮き上がるハイドロプレーン現象の心配がでてきます。ハイドロプレーン状態ではクルマのコントロールができなくなるので、溝が浅いクルマで高速道路を走る場合は速度を抑えましょう」と指摘しています。

 タイヤは使用環境などによってゴムが硬化してグリップ力が低下してしまいます。残りの溝だけでなく、硬化やひび割れにも注意し、気になったらディーラーやタイヤ専門店に相談しましょう。

冠水路に入ってしまった場合

 雨天走行中、前方に大きな水たまりを発見した場合、水深が分からないのに加えて、濁った水の中がどうなっているかも不明なので、安易に進入せず安全な道に迂回することを考えたほうがいいでしょう。

 うっかり冠水した道に進入してしまった場合、戻れる状況であれば戻ったほうが良いと思われます。先まで進んでしまい、気付いた時には水深がとても深くなっていたような状況では、いつエンジンが止まってもおかしくありません。

 テストでは、水深30cm程度の場所では走り切りましたが(写真上)、水深60cm程度では走行できなくなるクルマがありました。エンジンには空気を取り入れる場所がありますが、ここから水が機関内部に入ってエンジンが止まります。こうして止まったエンジンは、水が引いても始動不能になっていることも珍しくありません。ですから、アンダーパスや低地の道路など豪雨時に冠水しやすい場所はあらかじめ迂回するのが賢明です。

・自転車の乗車中はカッパに注意?

 雨天時でも通勤や通学で自転車に乗る人は多いことでしょう。傘をさして自転車に乗ることは道路交通法違反となります。違反かどうか以前に、そもそも視界が悪く、かつ不安定な傘さし自転車は危険です。

 そうしたこともあり、最近はレインコートやカッパなどの雨具を着て自転車に乗る人を多く見かけるようになりました。このときに気をつけたいのが、雨具を着ると、後方から来るクルマの接近に気づきにくくなるということです。JAFユーザーテストでは、フードに当たる雨の音でクルマのエンジン音がかき消されるとともに、フード自体の遮音効果でクルマの接近に気づきにくくなるということが分かりました。

 またテストでは、雨具のフードが視界を遮る危険も指摘しています。フードの調整(ひもやベルクロなどで絞る)機能を使わないと、視界が遮られ、目視での安全確認がしにくいというものです。ここで調整機能を使えば、フードが顔に密着するので、視界が遮られません。雨具によっては、フードの一部が透明になっていて視界を確保できるようになっているものもあります。

 雨天時に、自転車に乗る場合こうした特性に気をつけたいものです。一方でクルマのドライバーは、雨具を着た人が乗る自転車を見たら、クルマの存在に気づいていない可能性を考えて、自転車を追い越す際などは間隔を空けて通過するなど配慮しましょう。