交通安全・防災 バイクにも先進運転支援システム搭載? ボッシュが公道試験を開始。

国土交通省が「衝突被害軽減ブレーキ」の認定制度を開始し、2020年には新車搭載率90%以上を目指すなど、乗用車ではすっかり市民権を獲得したといえる「先進運転支援システム(ADAS)」。その潮流はバイクにも波及し始めた。大手サプライヤーがスタートさせたバイク向けADASの公道試験について紹介しよう。

2019年05月09日 15:55 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 大槻 祐士

 ボッシュ株式会社は4月22日、日本国内では初となるバイク向けADASの公道試験を3月から開始したことを発表した。ボッシュといえば、横滑り防止装置「ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)」などの先進技術の普及促進に最も力を入れていたサプライヤーのひとつ。1995年にバイク用ABS(※1)を導入して以降、20年以上にわたりバイク向けの先進技術を開発・研究。2013年にはバイク向けESC「MSC(※2)」の量産をスタートさせた。

 ※1 ABS(アンチロック・ブレーキ・システム):急ブレーキ時や低摩擦の道路でタイヤがロックされることを防ぎ、進行方向への安定性を保つ機能。

 ※2 MSC(モーターサイクル・スタビリティ・コントロール):バイク向けの横滑り防止装置。車体の傾斜角などのパラメーターを計測し、走行状況に合わせて加減速を行う。

サラウンドセンシングとは

BOSH|ボッシュ|先進運転支援システム|ARAS

BOSCHの「アドバンスト ライダー アシスタンス システム(ARAS)」の実証実験用車両。

 今回の公道試験は、サラウンドセンシング技術を活用したバイク向けの先進安全支援システム「アドバンスト ライダー アシスタンス システム(ARAS)」の実証実験。日本の道路環境に対応したシステム開発をするために、東京都、神奈川県、栃木県の高速道路において実施されている。

 サラウンドセンシング技術とは、近距離用超音波センサー(最大4m/120度)、中距離ミリ波レーダー(最長80m/10度・近距離では150度)、長距離ミリ波レーダー(最長250m/12度)、多目的ステレオビデオカメラ(最長250m、3次元認識は50m/50度)、近距離カメラ(最長25m/190度)などで構成されたセンサーシステムのこと。それぞれのセンサーの苦手な部分を補完し合い全周360°を正確に検知できるという。自動車用に開発された同技術をバイクに応用することでバイク事故の14%を防ぐことができる見込みだという。(※)

 ※出典:ボッシュ 事故調査報告(2018)

アドバンスト・ライダー・アシスタンス・システム(ARAS)

BOSH|ボッシュ|先進運転支援システム|ACC

アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)のイメージ図。

 同社のARASには、以下のような機能が搭載される。

アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
 前走車との安全な車間距離を維持するために、センサーで車間距離を検知し、必要な加減速を自動で行うシステム。

衝突予知警報
 前走車との距離が危険域に接近した時、ライダーが何も対処していないことを検知すると、聴覚的、または視覚的な信号を通じてライダーに警告するシステム。追突事故のリスク低減、二次衝突の被害軽減に効果がある。

死角検知
 車両の周囲をモニターし、ライダーが安全に車線を変更できるように支援するシステム。ライダーから見えづらい位置にある対象物を確認し、ライダーの死角に車両が来た際には、ミラーに視覚信号などを表示し警告する。

 同社によると、日本国内における自動車ドライバーの死亡事故率とバイクライダーの死亡事故率を比較すると、後者の方が約13倍(※)も死亡する確率が高いという。

 また日本特有の道路環境として、道幅が狭い、トンネルやカーブが多い、レーダーの検知に影響を及ぼす可能性がある遮音壁やガードレールなどが多い、といった特徴があるという。こうした環境に対応したシステムを開発することで、日本のみならず全世界の環境に対応可能になるそうだ。

 今回の公道試験では、そうした日本特有の環境でも安全に動作することを確認したうえで、同社のARASは2020年から量産され、最初にDucati(イタリア)とKTM(オーストリア)のバイクに搭載される予定だ。

※警察庁「平成22年警察白書」および総務省統計より、二輪車および四輪車における走行距離1億kmあたりの致命傷を負うリスクを同社が算出。