読者プレゼント & 展覧会情報 夏を先取り!大滝詠一の名作「A LONG VACATION」をドライブのBGMに

2018年04月26日 12:35 掲載

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 初夏の気配が感じられる昨今、幌を外したクルマが街を駆け抜ける開放感が気持ちいい。ゴールデンウィークにバカンスに出かける人もいると思うが、それにもぴったり。今回のドライブミュージックは、夏に向けてクルマのBGMに流したいアルバム、大滝詠一の名作「A LONG VACATION」を紹介したい。

 大滝詠一(1948~2013)は1969年、細野晴臣、松本隆、鈴木茂と共に伝説的バンド「はっぴいえんど」に参加した。1972年のバンド解散後は、ソロの他に、CMソングの制作、楽曲提供、プロデュース、エンジニア、独自レーベル「ナイアガラ・レーベル」の創立など裏方の活動を行い、1981年にソロ・アルバム「A LONG VACATION」をリリース。圧倒的な売り上げを記録した。略して「ロンバケ」と言われるこの作品は、大滝詠一というアーティストの名前と才能を知らしめただけでなく、今世紀に入ってもCMなどで使われるなど、世代を超えて聴き継がれる色あせないロングセラーとなっている。

音楽的実験が盛り込まれたナイアガラ・サウンド

 A LONG VACATIONがなぜこれほどまでに愛されるのか? ひとつに、このアルバムは音の魔術師ともスタジオ・ワークの偏執王とも呼ばれた大滝詠一が、音作りに本気に取り組んだ作品であるということにあるのではないか。 
 「サウンドに命をかけて、できたときには、もうこれでいいんだっていうくらいで。ひとつ完結してるんですよ」と大滝は、当時の音楽誌でのインタビューで述べている。彼のバックグランドは50~60年代アメリカのロックやポップスであり、他にもクレイジー・キャッツなどコメディー作品にも影響を受けた。そんな大滝詠一の音楽エッセンスが、多彩に盛り込まれたサウンドは凝りに凝った作りで、「ナイアガラ・サウンド」と呼ばれる音が万華鏡のごとく反響しあう。

 メロディやアレンジのあちこちに、オールディーズから自身がプロデュースした松田聖子の楽曲まで、さまざまな要素が隠されており、「あれ、これなんの曲だっけ?」と思っている間に大滝節とも言える独自の展開をする。聞けば聞くほど、大滝が手がけた他の作品との関連性が見えてきたり、彼の音楽ルーツを辿るように拡がりを見せる。その関連性を確かめたくて他の楽曲を聞くと、また大滝の曲を聴きたくなる。これはすでに大滝ワールドの術中はまった証拠である。

リゾート感覚あふれる松本隆の詞の世界

 夏の濃い情景を切り取ったリゾート感覚あふれるジャケットは、永井博の作品だ。イラスト世界そのままのバケイションでの男女の風景を表現する松本隆の詞の世界がまた素晴らしい。「君は天然色」の駆け上がるような疾走感はドライブにうってつけだが、シングルカットされた失恋ソングの名曲「恋するカレン」、恋人たちの声にならない想いを漫画の吹き出しで表現した「スピーチ・バルーン」、旅立つ彼女に思いを伝えられない「さらばシベリア鉄道」(太田裕美が先行してシングルを発表)など、実はほとんどの曲が失恋のせつなさを歌っている。多彩な詞の世界やサウンドを背景に、ファルセット交じりの大滝詠一のボーカルが、夏の空のごとく抜けるように耳に届く。

 ジャケットワーク、松本隆の透明感のある抒情世界、大滝詠一のメロディーメーカーとしての才能とスタジオワークの手腕が相乗して至高の音楽を作り上げたA LONG VACATIONを、夏へと向かうドライブのお供としてお楽しみあれ。

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