旧車 戦前生まれの「ブガッティT43」は、高貴かつハイテクなスーパーカー!【自動車カメラマンの、旅のしおり】

 「RALLY KARUIZAWA 2019」に参加した宝物のような61台の中で、最も古いモデルが1926年製の「ブガッティT43」でした。1926年の我が国といえば大正時代が終わりを告げた年であり、現在のトヨタ自動車の母体である豊田自動織機製作所が設立されたのもこの年です。

2019年07月03日 01:37 掲載

碓氷峠を走る「ブガッティT43」。明治時代から使われていたレンガ造りのアーチ橋と大正末期に造られたブガッティがとてもマッチしていました。これで道路が土だったり石畳だったら、もうタイムトリップしてしまいそうです。

「ブガッティT34」は、スーパーチャージャー付き直列8気筒!

大正末期の1926年に生産された「ブガッティT43」

 大正末期の1926年に生産されたブガッティT34ですが、エンジンフードの中を覗くと、その先進性に驚かされます。工芸品のような金属表面加工が施された奥に見える箱がエンジン。そうとは見えない箱の中は、8つものシリンダーが並べられた直列8気筒エンジン。なんと機械式のスーパーチャージャーで加給されているそうです。ターボエンジンが登場する前からスーパーチャージャーってあったのですね。

「ブガッティT43」のエンジンフード内を覗いた様子。

「ブガッティT43」のエンジンフード内を覗いた様子。

 21世紀の今、自動車は長らく続いたガソリンエンジン中心の時代から、電気自動車(EV)へ少しずつシフトしています。量産のEVもすでに街を走っていますが、驚くことにEVの誕生はガソリン自動車よりも早かったそうです。昔生まれたテクノロジーが現代の技術で蘇り、庶民が手にできる商品になって一般化する例は、自動車の世界以外にも色々とあるのでしょう。そんな歴史を知るきっかけが、会場いっぱいに溢れているのも「クラシックカーラリー」の魅力のひとつです。

「ブガッティT34」のドアは助手席側だけ

「ブガッティT34」のドアは助手席のみ。

ドアは助手席のみで、運転席側のサイドパネルには、スペアタイヤが設置されていています。

「ブガッティT34」のドアは助手席のみ。

「ドアのない運転席にはこうやって乗り越えて乗るんだよ」と気さくなオーナーさんが乗り方を見せてくれました。

 「ブガッティT34」のドアは助手席のみ。運転席側のサイドパネルには、スペアタイヤが設置されていていますが、今回参加されたオーナーの方はそれを乗り越えて乗車しているそうです。ベンチシートなのでもちろん助手席から乗っても大丈夫。パワーユニットの先進性とパーツごとの実用性のアンバランスさも、この時代ならでは。見ているだけで楽しいものです。

「ブガッティT43」のリーフスプリング

リーフスプリングも現代の商用車やトラックに今でも使われている技術ですね。

八ヶ岳をバックに走る「ブガッティT43」

八ヶ岳をバックに走る「ブガッティT43」

八ヶ岳をバックに清里・清泉寮付近を走る「ブガッティT43」。

 新緑が美しい清里・清泉寮付近を走るブガッティT43。後方に見える八ヶ岳の荒々しさとのコントラストも魅力的です。

今なお継承されるブガッティのエンブレム

「ブガッティT43」のエンブレム

「ブガッティT43」のエンブレム。ロゴの上に馬蹄形のデザインが施されています。

 現在のブガッティは戦前のブガッティとは違う会社ですが、商標を受け継ぎ存在しています。最新モデルとなるブガッティ・シロンのフロントにもT43と同じような馬蹄形のデザインを見ることができます。

 その時代の最高のテクノロジーが支える1500馬力を誇る強心臓。そして、誰もが手にできるわけではない3億円オーバーという価格を見る限り、フロントのデザインアイコンとともに、時代とともに最大級の贅を尽くしたブガッティのスタンスを今なお継承していると言えそうです。

最新のブガッティ「ブガッティ・シロン」

最新のブガッティ「ブガッティ・シロン」(2016年~)。エンブレムのデザインは「T43]と同じことがわかります。

2019年7月3日(自動車カメラマン・高橋学)

高橋学(たかはしまなぶ):フォトグラファー。1966年北海道生まれ。スタジオに引きこもって創作活動にいそしむべくこの世界に入るが、なぜか今ではニューモデル、クラシックカー、レーシングカーなど自動車の撮影を中心に活動中。日本レース写真家協会(JRPA)会員。

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