懐かしの旧車 今年で30周年! 世界で愛される「ロードスター」の歴史を追いかけてみた【オートモビルカウンシル2019】マツダ編

今年で生誕30周年を迎えたマツダ「ロードスター」。現行の4代目まで、2018年12月末時点で累計約110万台を生産しており、世界中で愛されている名車だ。ここでは、4月5日から7日まで開催された「オートモビルカウンシル2019」(幕張メッセ)での展示車両をもとに、その歴史を振り返ってみる。

2019年05月13日 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

マツダ ロードスター 初代|mazda roadster 1st

初代の前期モデルであるNA6CE型「ユーノス・ロードスター」1989年式。ユーノスとはかつて存在したマツダのブランド名だ。初代は1989年9月に登場し、1993年7月にマイナーチェンジ。エンジンを1597ccの直列4気筒「B6-ZE[RS]」型から1839ccの直列4気筒「BP-ZE[RS]」型に換装し、車両型式はNA8C型となった。「オートサロン2019」マツダブースにて撮影した。

 マツダの今年の出展テーマは、「ロードスター ~30年の物語、そして今~」。30年にわたる歴史を有するライトウェイトスポーツ「ロードスター」の歴史に触れられる内容だった。初代NA型から現行4代目ND型までの市販「ロードスター」と、その可動プロトタイプ、そして初代をベースにしたコンセプトカー「クラブレーサー」の6台が展示された。

 ライトウェイトスポーツとは、軽量で走りが軽快なスポーツカーのことで、英国車を中心にして1960年代に世界で一大ブームを起こした。しかし70年代に入ると排気ガス規制に対応できなかったことなどから、数々の名車が消え、そしてメーカーそのものも姿を消していった。そんな"古き良きライトウェイトスポーツ"を復活させたのがマツダであり、「ロードスター」である。

"サンタバーバラの冒険"で「手応えを感じた」可動プロトタイプ

 マツダは1983年11月に、当時の最新技術でライトウェイトスポーツを開発するプロジェクトを立ち上げる。プロジェクトを立ち上げて2年に満たない1985年9月に完成したのが、自走可能なプロトタイプだ。

マツダ ロードスター プロトタイプ|mazda Roadster puroto type

1985年9月に完成した可動プロトタイプ。初代と比較して、フロント部分のデザインが異なるほか、全体的なプロポーションも微妙に違う。デザインはこの時点ではまだ試行錯誤している段階で、この後も何段階かの変遷を経て、初代にたどり着く。

 プロトタイプの基本シャシーは、英国の自動車エンジニアリング企業であるインターナショナル・オートモーティブ・デザインがマツダからの依頼を受けて開発。そしてエンジンとトランスミッションは4代目「ファミリア」から、サスペンションは初代「RX-7」からと、主要コンポーネントは当時のマツダ車から流用して製作された。

 こうしてできあがったプロトタイプは、その正体を隠して米カリフォルニア州サンタバーバラの街において試走を行った。ドライバーは街をゆく人々に多くの質問を受け、時には子どもたちに囲まれるほど大好評だったという。このときの試走は、"サンタバーバラの冒険"と呼ばれており、「ロードスター」誕生までの大きなトピックとして歴史に刻まれている。

マツダ ロードスター プロトタイプ|mazda Roadster puroto type

可動プロトタイプ「ロードスター」のリアビュー。リアのデザインは初代とはかなり異なる。

「人馬一体」のコンセプトを実現した初代は1989年2月にワールドプレミア

 サンタバーバラの冒険から3年半後の1989年2月、米シカゴオートショーにて「MX-5ミアータ」としてワールドプレミアした初代。日本国内では、当時存在したユーノスブランドから「ユーノス・ロードスター」として同年9月に発売された。1983年11月のプロジェクト立ち上げから5年強。新時代のライトウェイトスポーツ「ロードスター」がいよいよデビューを果たしたのであった。

マツダ ロードスター 初代 1989年式|mazda roadster 1989model

初代「ユーノス・ロードスター」E-NA6CE型1989年式のサイドビュー。全長3970×全幅1675×全高1235mm、ホイールベース2265mm、トレッド前1405/後1420mm。車重(5速MT車)940/(4速AT車)1000kg。排気量1597cc・直列4気筒DOHCエンジン「B6-ZE[RS]」型、(5速MT車)最高出力120ps/6500rpm、最大トルク14.0kg-m/5500rpm、(4速AT車)最高出力110ps/5500rpm、最大トルク14.0kg-m/4500rpm。サスペンション前後共にダブルウィッシュボーン式。ブレーキ前・ベンチレーテッドディスク/後・ディスク。

 初代の開発コンセプトは、ドライバーとクルマが一体となって走る楽しさを感じられる「人馬一体」である。マツダの考える「人馬一体」とは、「走る」、「曲がる」、「止まる」というクルマの基本3要素と、「視る」、「聴く」、「さわる」の人の五感の3要素を突き詰め、そして高次元でバランスさせることで実現するものである。この「人馬一体」はその後も揺らぐことなく継承され、現行の4代目ND型にも受け継がれている。

 開発過程では人の感性を中骨とし、クルマの各部品を小骨とした特性要因図「フィッシュボーンチャート」が作成された。クルマ全体の「感性」のバランスを見るのに活用したという。フィッシュボーンチャートの活用などにより、FR駆動、オープン2シーターボディ、タイトなコックピット空間、前後重量配分50:50、ダブルウィッシュボーンサスペンションといった、マツダの考えるライトウェイトスポーツを実現するための要素が固められていったのである。

 初代は1997年12月まで生産され、帰ってきたライトウェイトスポーツとして世界中で歓迎され、グローバル生産台数は43万1506台を記録。マツダはこれ以降、初代を指標として、「走る歓び(よろこび)」を目指すクルマ作りを掲げるのであった。

マツダ ロードスター 1989年式|mazda roadster 1989model

初代のリアビュー。全体的に角の取れた丸みのあるデザインが特徴だ。数多くのトライ&エラーののちに、このデザインにたどり着いた。

日本初公開! 初代がベースのコンセプトカー「クラブレーサー」

 1989年2月の米シカゴオートショーで市販「MX-5ミアータ」が世界初公開されたとき、同時に展示されたコンセプトカー(ショーモデル)が「クラブレーサー」だ。マツダノースアメリカのデザインスタジオが手がけた。

マツダ ロードスター 初代 クラブレーサー|mazda roadster 1st clubracer

初代をベースにしたコンセプトカーである「クラブレーサー」。ヘッドランプが、リトラクタブル方式から樹脂製カバーに覆われた固定式に変更されている。

 市販車と大きく異なるのはヘッドランプ。市販車ではリトラクタブル式だが、樹脂製カバーに覆われた固定式に変更された。そしてリアは、6インチの大型リアスポイラーが装着されている。機構面では、走行パフォーマンス向上を目的に、ショックアブソーバーを独ビルシュタイン製に変更されている。

 ボディカラーのブライトイエローは、今回合わせて展示された4代目ND型の「30周年記念車」(ソフトトップモデル)のレーシングオレンジにインスピレーションを与えたという。

マツダ ロードスター 初代 クラブレーサー|mazda roadster 1st clubracer

「クラブレーサー」のリアビュー。6インチの大型スポイラーとフューエルリッドが目を引く。

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続いては2代目から4代目を紹介!