2019年12月25日 13:40 掲載

次世代技術 空飛ぶクルマのスタートアップ企業が、資材運搬用ドローンを開発

「空飛ぶクルマ」の開発を行っているスタートアップ企業SkyDriveが、30kgの運搬能力を持つ産業用ドローン「カーゴドローン」の実証実験に着手、予約販売を開始した。実証実験では、ドローンで資材を運搬することにより、建設工事の生産性向上や危険作業のリスク低減に対する効果を検証することになる。

JAFメディアワークス IT Media部 小林 祐史

地方自治体と協力協定を結ぶスタートアップ企業

 SkyDriveは、豊田市、福島県、三重県と協力協定を結び、空飛ぶクルマの実現に向けた開発・製造を行っているスタートアップ企業だ。その過程で培った航空機開発の技術を転用して、今回の重量物運搬に特化した産業用ドローン「カーゴドローン」を開発した。

 予約販売と同時にSkyDriveは、大林組ほか数社の建設事業者と、カーゴドローンによって、建設工事の生産性向上や危険作業のリスク低減を検証する実証実験も開始している。

SkyDriveのカーゴドローン

SkyDriveのカーゴドローンは、電動によるオクタコプター(プロペラが8個あるヘリコプターのこと)タイプ。1つの支柱に2つのプロペラを装備した理由は、機体サイズをコンパクトにするため。一般的なオクタコプターは機体から8本の支柱が伸びている。操縦は人による無線操縦と、航路をプログラミングした自動操縦の両方が可能。飛行時間は積み荷のない状態で15分。最大積載である30kgの荷物を積んでいると、約5分の飛行が可能。最大積載状態での航続距離は約6kmとなる。価格はオープン価格。
全長1.3m 全幅1.7m 全高1.0m 推奨ペイロード30kg 飛行速度40km/h 飛行時間15

SkyDriveのカーゴドローンで、20kgの一斗缶を運搬する実証実験。動画提供:SkyDrive

地形に制約がある工事での資材運搬

 クルマが乗り入れられないような斜面、山間、高所といった地形の工事で、資材運搬役を担っていたのは人だ。大規模な工事となれば、運搬車が乗り入れるための索道や、トロッコのような工事専用軌道(鉄道)などを建設することもある。しかし規模の大きい工事でないと、索道や軌道の建設費用を捻出することはできない。

 また山間部や高所などで工事員が資材を運搬することは危険作業で、滑落や落下というリスクもありうる。

 そのような工事で資材運搬の課題を解決するのがカーゴドローンだ。空輸するため地形に関係なく、効率的に資材を運べる。さらに工事員が資材運搬を行わないので、危険作業のリスクを低減できる。

カーゴドローンで運搬することが可能な資材カーゴドローンは、写真のような一斗缶やポリタンク、発電機、セメント、木材、発電機、土のうなどといった資材を30kgまで運搬することが可能。荷物はランディングギアの間にある青いコンテナに積む。

セメント袋をカーゴドローンに積むところ

カゴのような形をしたコンテナにセメント袋を積んでいるところ。

 資材の積み下ろしをする場所に関しても、ドローンは離着陸が垂直に行えるので、索道や軌道を設置するための開拓スペースをより小さく抑えることができる。さらに、SkyDriveのカーゴドローンは荷物を昇降させることが可能なウインチ機構も装備しており、機体をホバリングさせながら荷物を下ろすことができるのだ。このように複雑な地形での荷物運搬方法として、規模の小さな工事でもカーゴドローンには大きなメリットがある。

 操縦は人による無線操縦と、プログラミングされた航路による自動操縦の2通りが可能。山は森林に覆われているケースが多く、木々を避けるなどの技量が操縦者に求められるうえ、操縦ミスのリスクも内在する。しかしプログラムによる自動操縦なら、操縦者の技量は不問となり、操縦ミスの発生率低減も期待できる。

カーゴドローンで実証実験を行うSkyDriveスタッフ

カーゴドローンの飛行試験をSkyDriveスタッフが行っているところ。機体上部にGPS電波を受信する機器が備えられている。自動操縦は、あらかじめ飛行ルートを緯度経度で指定するなどのプログラムを準備することで可能となる。ほかにも機体にはIMU(慣性計測装置)や障害物センサー、機体監視カメラなどの機器が装備されており、それらによって安全な自動操縦を実現している。

 SkyDriveでは、今後、積載量を100kgまで引き上げたカーゴドローンの開発も検討しているそうだ。積載量が増加すれば、さらに工事の生産性向上につながるだろう。

農業や災害時にカーゴドローンを活用

 こうした資材運搬用途でのドローン開発以外にも、SkyDriveでは農業や災害時などへの活用も提案している。

 農業では、田畑で収穫した農作物をまとめて運ぶという活用もあるが、地形に制約のある山間部で採取した山菜などの収穫物の運搬にも有効だろう。人力で収穫できる以上の量を何度も運搬できるからだ。平地よりも労働負担の軽減の効果は大きいはずだ。

 また自然災害などで道路が分断されて、孤立した地域へ物資運搬という活用も提案している。積載量の増加や飛行時間が延長されれば、有人ヘリコプターが不足した際などに活躍するだろう。

 積載量や飛行時間などといった機体の性能向上や、無人操縦の安全確立などといった課題はあるが、これらをクリアーすればドローンで物資を運搬することが一般化することは間違いないだろう。