2019年11月13日 09:10 掲載

次世代技術 ワイパーで天気予報? コネクテッドカーで実証実験、サイトも公開!

トヨタとウェザーニューズは、コネクテッドカーから得られるさまざまな車両情報と気象データを組み合わせることで、より精度の高い気象予測を目指す共同実証実験を行い、その成果をもとにWebサイト「ワイパー天気予報」を公開した。

JAFメディアワークス IT Media部 小林 祐史

 コネクテッドカーとはインターネットにつながる車のことで、町を走る車の情報をインターネットで吸い上げることができる。コネクティッドカーが収集した車両情報と気象データを比較し、気象予報に役立てる研究をトヨタ自動車とウェザーニューズは行ってきたが、その成果として、トヨタはWebサイト「ワイパー天気予報」を11月1日に開設した。

コネクティッドカーでワイパー天気予報

トヨタの「ワイパー天気予報」は、車のワイパー稼働状況と気象データを結び付け、気象データと実際の降雨量を同時に表現したWebサイトだ。 © Sashkin - stock.adobe.com

 従来の気象予報で用いる観測機器に加えて、リアルタイムで詳細な気象を検知・予測する方法として、コネクテッドカーに着目したという両社。今回の実証実験では、街を走る車の「ワイパーの稼働状況」データを活用している。

 ワイパーデータを活用するにあたり、その精度の確かめ算をウェザーニューズの保有する気象データと照らし合わせて行われた。ウェザーニューズには利用者から寄せられる多数の降雨報告データがある。その降雨報告と照らし合わせ、ワイパーデータとおおよそ対応していたことがわかった。そこでトヨタは、ワイパーの稼働状況と気象データをマッチングさせる実証実験を、東京都、大阪府、愛知県で2019年11月末まで行うこととし、その結果を「ワイパー天気予報」として11月1日に公開した。

コネクテッドカーのワイパー稼働状況が「見える化」

  「ワイパー天気予報」では、ワイパーの稼働状況を間欠・弱・強の3段階で表示。それに雨雲の状況を重ねたものが地図上で見られるようになっている。

 収集したワイパーデータは、気象データとの関係が詳細に分析される。それを正確な降水エリアの把握や、降水強度などの予測に活用することが今回の狙いだ。

トヨタ 臨時サイト ワイパー天気予報 画面

「ワイパー天気予報」のサンプル画面。コネクテッドカーによって送られてきたワイパーの稼働状況を地図上に表示。画面左上の「ワイパー間欠」「雨雲」などのタブをクリックすると表示/非表示が選べる。図:トヨタ

もう1つの実証実験では「冠水」を検知

 また、両社は、冠水状況をリアルタイムで検知するための実験も行っている。

 従来の冠水観測は、道路上にセンサーを設置するしか方法がなかったし、すべての道路に設置されているわけでもない。網羅的かつリアルタイムな道路の冠水状況を把握する方法はほぼ存在しなかった。

 そこでコネクテッドカーの出番である。道路の冠水状況は、アクセルの踏み込み量に対して車速が低い車両を、「冠水によって水量の多い道路を走行している」として抽出。そのような車が多い地域と気象データをAIアルゴリズムで分析し、冠水状況をリアルタイムで検知しようというものだ。

ウェザーニューズの冠水検知実証実験概念図

ウェザーニューズの実証実験概念図。コネクテッドカーから得られる車両情報と気象データという2つのビッグデータを、AIアルゴリズムで解析。それによって冠水検知を行う。図:ウェザーニューズ

 この実証実験では、「冠水検知実証実験」というWebサイトで10月末に実際のデータを公開。

冠水検知実証実験の降雨量と冠水の画面

丸い水色のアイコンが冠水を検知した箇所。アイコンをクリックすると、降水量との冠水の検知を時系列で表示。赤い棒グラフが降雨量。その中にある、黄色と水色の菱形アイコンが冠水検知を知らせている。図:ウェザーニューズ

 なお10月25日の大雨では、東京都と愛知県で冠水箇所を表示したそうだ。周辺で冠水している道路がどこかがわかれば、ドライバーは迂回や引き返すなどの判断ができる。

移動する測定機器である車×IoT技術

 このように気象の「見える化」や「検知」が可能になったのは、コネクテッドカーのIoT技術にある。アクセルと車速というような車両情報が収集できるようになったからだ。そもそも車は走るためにさまざまな計測機器を備えている。コネクテッドカーから集められたデータを利活用する実証実験は、今後もさまざまなものが行われていくだろう。