2019年09月06日 15:40 掲載

次世代技術 ポルシェ初の電気自動車「タイカン」が登場。これまでのEVとは一体何が違うのか?


文・大谷達也

電気自動車になっても、ポルシェらしさは健在?

 このようなEVの先駆けはテスラで、ジャガーIペイス、アウディe-tron、メルセデス・ベンツEQC、そして今回発表されたタイカンなども同じカテゴリーに分類できます。私は、大容量バッテリーを搭載したこの種のEVのことを"第2世代EV"と呼び、それ以前のEVと区別しています。

 こうした様々なライバルが存在する長距離型EVのジャンルにポルシェは挑戦するわけですが、通常のガソリン・エンジンやディーゼル・エンジン(この種のエンジンのことを内燃機関と呼びます)を積む既存の自動車と異なり、EVではメーカーごとの特色が出しにくいともいえます。

 たとえば、ポルシェの代表的モデルである911は伝統的に水平対向6気筒という他にほとんどない形式のエンジンを用いていますが、前輪と後輪にそれぞれ1基、合計で2基のモーターを搭載するタイカンの駆動系レイアウトはテスラ(一部モデルを除く)、Iペイス、e-tron、EQCと共通です。

 タイカンに搭載されるモーターは、ポルシェが独自の改良を施した永久磁石シンクロナスモーターと呼ばれるもので、小型・軽量、高出力、高効率、高い性能安定性などを誇りますが、だからといって従来のエンジンのように「モーターの回り方がポルシェだけは違う」ということは起こりにくいと想像されます。つまり、EVはそれだけメーカーの独自性が打ち出しにくいのです。

 そこでポルシェは自分たちの伝統に徹底的にこだわったクルマ作りでタイカンを開発しました。停止状態から200km/hまでの加速を連続で26回行っても過熱などによる性能劣化がほとんど見られない点は、いかにもポルシェらしいといえます。公道を走るために作られた一般的な量産車は、サーキットを数周全開走行しただけで冷却が間に合わなくなり、性能低下を引き起こすケースが少なくありませんが、ポルシェの作るスポーツカーは何周走ってもあまり性能に変化が見られない強靱さが売り物です。それと同様の価値を、ポルシェはEVでも実現したといえるでしょう。

 ちなみにタイカンの0-200km/h加速タイムは10秒以下で、これ自体も驚くべき性能ですが、26回でこの発進加速を繰り返しても性能の低下は1秒以下の範囲だったそうです。ポルシェの首脳陣は「2、3回全開加速を行えばすぐに性能が低下する他社のEVとは大きく異なる」と自慢げに語っていました。