2019年06月05日 01:30 掲載

次世代技術 排気ガスで発電! HKS、排気回生システム「ターボジェネレーター」を開発中【人とくるまのテクノロジー展2019】ターボ編

5月22日から24日まで開催の、エンジニアのための自動車技術専門展「人とくるまのテクノロジー展」。クルマのさらなる熱効率を向上させるため、さまざまな技術が開発されているが、HKSはターボチャージャーのように排気ガスを利用して発電する「ターボジェネレーター」を開発中だ。

JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

HKS ターボジェネレーター

HKSが参考出展した「ターボジェネレーター」。

 HKSといえば、アフターパーツの大手として知られており、チューニングカーのイメージが強い人も多いはずだ。実際には、エンジンに関する次世代技術の独自開発なども進めており、今年は排気ガスのさらなる有効活用を目的とした排気回生システム「ターボジェネレーター」を参考出展した。

 エンジン車において、ガソリンなどの燃料が持つエネルギーが、駆動力として路面までどの程度伝わっているかというと、残念なことに実走行ではわずか10~20パーセント台といわれている。せっかくの爆発の威力も、排気ガスから熱として逃げたり、ラジエーターで冷やされたりでどんどん逃げていく。機械の動力伝達における摩擦もあるし、ありとあらゆるところでエネルギーの損失があるため、燃料の持つエネルギーは、タイヤを回すまでの間に、その多くが捨てられてしまうのである。

ターボチャージャーと同じ仕組みを用いて発電するから「ターボジェネレーター」

 そうした中、排気ガスを利用することで、それまでは失われるだけだった熱エネルギーの一部を有効活用するようにしたのがターボチャージャーだ。今回の「ターボジェネレーター」はこのターボチャージャーと同様の仕組みで排気ガスからエネルギーを取り出している。排気ガスが流れる勢いでタービンを回し、それでモーターを回して発電。バッテリーに電力を蓄え、補機類などの駆動をまかなうのである。現代のクルマは電力消費量が増えており、「ターボジェネレーター」でエネルギーを電気として回収しようという狙いだ。

 またエンジンの熱効率に関しては、10%のプラスを目標として掲げる。現在、最新のエンジンでも熱効率は40%を超えたばかり。そこに「ターボジェネレーター」を組み合わせることで、排気ガスのさらなる有効活用を実現し、熱効率50%超えを目指しているのだ。

 今回出展された「ターボジェネレーター」はターボチャージャーとは併載できないタイプだったが、併載可能なタイプも研究中であり、エンジンの熱効率のさらなる向上が目指されている。

プロトタイプの第3世代として確実に性能が向上中

 今回出展された「ターボジェネレーター」は開発プロジェクトにおいて第3世代だそうで、最高回転数は7万rpm、最大出力は10kW、電圧は300Vというスペックだ。冷却方式は今回から水冷に改められた。また300Vが採用されているのは、ハイブリッド車の補機バッテリーではなくメインバッテリーをターゲットにしているからである。

 第1世代は最大出力2kW・電圧12Vで、第2世代は5kW・電圧48V。どちらも空冷だった。性能は確実に上がってきており、現在は第3世代のプロトタイプを1000ccエンジンにとりつけて開発が進められている。最大出力はエンジンの排気量の影響を受けるため、プロトタイプでは6kWの出力が確認されたという。

製品化の目標は2022年だが課題も

 製品化の目標として2022年を掲げているが、課題は量産化だ。技術的にはプロトタイプを作れても、製品として量産するにはまた別の技術が必要となる。HKSでは、製品の性能を上げることに加え、量産化のための生産技術も早い段階で開発したいという。同様のコンセプトの製品が他社ではあまり見かけないことから、他社が取り組み出す前に量産化を実現し、自動車メーカーに採用してもらえるようにしたいとした。