次世代技術 トヨタの自動運転は守護神で守られる! CESで次世代技術を披露

トヨタは1月8日、アメリカ・ラスベガスで開催中の家電・技術見本市「CES(Consumer Electronic Show)」で、研究・開発を進める自動運転技術について説明を行った。

2019年01月09日 00:02 掲載

JAF メディアワークス IT Media部 秋月新一郎

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CES2019で初披露された、第5世代のレクサス LSをベースとした新型自動運転実験車「TRI-P4」

トヨタの考える自動運転のあり方とは?

 トヨタは1月8日、アメリカ・ラスベガスで開催中の家電・技術見本市「CES(Consumer Electronic Show)」で、研究・開発を進める自動運転技術について説明を行った。

「自動運転のもっとも重要なメリットは、クルマの操作を自動化するということではなく、ヒトの安全と、自由なモビリティを支えるということなのです」。

 トヨタのギル・プラット氏は、8日に開催されたCESの記者発表でそう語った。プラット氏はトヨタがマサチューセッツ州ケンブリッジに設立した、人工知能技術の研究・開発を行う「Toyota Research Institute(TRI)」のCEOで、トヨタの特別研究員も務める自動運転技術のキーマンだ。

 今回のメッセージは、TRIが発足した2016年から提唱する「人とクルマはチームメイトのように協力する関係にある」という思想を汲むものであり、トヨタ独自の自動運転技術に関する考え方に直結する。

ガーディアンって何だ?

 いま、自動運転を研究する会社の多くが、システムが人を運ぶか、人がシステムを監視するかを考えている中で、TRIは設立当初からその2つをブレンドした第3の道を模索している。

 その核となるが「ガーディアン・モード」と「ショーファー・モード」と呼ばれる2つのアプローチだ。

 トヨタが言う「ガーディアン・モード」とは、高度運転支援技術のこと。ドライバーは今まで同様に手動で運転するが、"ガーディアン=守護神"という名の下、システムは"もうひとりのドライバー"として、常に運転状況を見守り、自らどう運転するか考えている。人と同じくらいの運転技能を持つが、必要な時にしか運転には介入しない。

 一方、「ショーファー・モード」とは、完全自動運転技術のことである。クルマ自身が運転操作を全て行うレベル4~5に相当する。

 トヨタでは、この「ガーディアン・モード」と「ショーファー・モード」の二組一対での運用を、自動運転の基本的なルールとして考えている。つまり、ガーディアン(高度運転支援)を一種のフェールセーフ、すなわちショーファー(完全自動運転)の冗長システム(システム障害に備えての予備装置)として位置付けている訳だ。

 しかしながら、クルマの完全自動運転技術は、すばらしい目標としつつも、技術的・社会学的な高いハードルがあり近いうちの達成は困難だ、というのが現時点での見解だ。

 そこでトヨタは、研究開発をまずはガーディアンに集中させた。上記の通り、ガーディアンとは人間と機械のスキルや強みを組み合わせ融合するものだ。今回のCESで披露された新テクノロジーも、まさにその延長線上にある。そのヒントとなったのは、戦闘機の飛行制御方法だった。

ヒントは戦闘機!

 最新の戦闘機では、パイロットは操縦桿を握って操作はしているものの、直接操作をしているのではないそうだ。パイロットの意思が一秒あたり何千回という単位でフライトコントロールシステムに変換され、機体を安定させ、特定の安全なエリア内に維持しているのだという。そしてトヨタはこの制御をガーディアンに組み込んだ。

 公開された上の動画には、その潜在能力を示すワンシーンが収められている。舞台は、ワインディングロードを想定したテストコース。並べられたパイロンに向かってLSが走り出す。すると、ヒラリヒラリと軽快に駆け抜けていくではないか(!)

 トヨタの説明によれば、ガーディアン・モードがオンになっている場合は、ドライバーがどのような入力をしても、車の挙動が破綻したり、パイロンをはねたりすることはないのだという。ドライバーは制御時、クルマを自分の体の延長のように自由にコントロールしているように感じるのだとか。

 いやいや、本当のところ人間が操作しているのでは? と疑いたくなるようなスムーズさだが、実際にはリアルタイムにガーディアンが介入し、ドライバーをフォローしているのだから驚きだ。システムによって、人間とクルマがシームレスな調和を生んだ時、ドライバーはほぼ100%自分でコントロールしていると感じている、とトヨタは言う。

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 また、このガーディアンのシステムは、トヨタ車だけでなく他社製の自動運転システムにも追加できるのだという。トヨタでは、"Guardian for all"(ガーディアンを全ての方に)という哲学とともに、クルマをシェアリングして利用する「Mobility as a Service(MaaS)」時代に向けての、キーテクノロジーと位置付けている。

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 同社は、2020年の東京五輪でガーディアン・モードを搭載した次世代EV「e-Palette」のデモを披露する予定だ。クルマの未来がどんどんリアルになっていく。