ニュース・プラス 無音で忍び寄る
中国2億台の電動スクーターが
怖かった

2017年05月13日 10:41 掲載

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真っ暗な闇夜から飛び出してくる電動スクーター。電動だから音もなく走ってくる。これは怖い。

このたび上海モーターショーの取材で18年ぶりに中国を訪れて、街を走る車や高層ビルなど様々な劇的変化に驚かされた。中でも到着した最初の夜、とにかくびっくりしたのが無灯火で走る電動スクーターがやたらと多いことだ。街灯やお店が少ない場所は、繁華街といえどもかなり暗い。そこからいきなり無灯火の電動スクーターがかなりのスピードで、「音もなく」飛び出してくるのだから、この恐怖は相当なものである。

ホテルの向かいのコンビニに行くために横断歩道を渡るのも一苦労。信号があってもよほど大きな交差点以外では信号無視が当たり前なのがここ上海。中国における電動スクーターは運転免許が不要のものがほとんどで、利用者の感覚としては自転車と同様らしい。しかし実際は60‐70km/h以上のスピードが出るし、道路を横断中の歩行者を見つけても急には止まれない。

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ちなみに中国国内で販売された電動スクーターの数は累計2億台超。中国では年間約26万人が交通事故で亡くなっているが、その6割にあたる約15万人が電動スクーターやオートバイと衝突して亡くなる歩行者とのことだから凄まじい(WHO世界保健機関調べ)。

電動スクーターは「無音の殺人機械」という異名もあるそうだが、まさにその通り。無灯火で音もなく走ってくるのは本当に怖い。無灯火なのは、少しでも節電して航続距離を延ばすためなのだろうか。中国で販売されている一般的な電動スクーターの航続距離は50~100km、家庭用電源での充電時間は8~10時間とのこと。「充電インフラは整っている」と何かの記事で読んだが、上海市内の歩道で遭遇した「充電光景」はかなり衝撃的だった。あまりに開放的なムキ出し感がすごい。雨よけなど、なくて大丈夫なんだろうか...。

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電動スクーターを支える充電インフラは完備されているという。

ここまで電動スクーターが増えたのは、中国政府の方針によるもの。大気汚染やバイクを使った強盗を減らす目的で、2009年頃から主要都市では繁華街でエンジン付きのバイクを走らせること自体が禁止となった。その結果、排ガスを出さないクリーンな電動スクーターが急増したのである。

大気汚染には一定の効果はあったようだが、一方で電動スクーターが原因の事故は急増している。また、音もなく接近できて、最高60‐70km/hと結構なスピードが出ることを考えると、電動スクーターこそオートバイよりはるかに「強盗向き」な乗り物といえなくもない。

仕事や観光で上海に行かれる方。電動スクーターが多く走る市街地ではとにかく気を付けて。信号があっても止まらないと思った方が賢明。白や黄色の目立つ色の服を着て「自衛」するのが良いかも。

2017年5月15日(雨輝・加藤久美子)