ニュース・プラス 緊急時に生活を守ってくれる石油備蓄基地。その大切さを菊間国家石油備蓄基地の総合防災訓練から考える。

2018年11月02日 01:09 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、国から委託を受けて管理している菊間国家石油備蓄基地(愛媛県今治市、以下「菊間基地」)において、10月16日、平成30年度総合防災訓練が実施された。

 本訓練は、平成30年度の菊間基地防災訓練計画に基づき、災害発生時における被害を最小限にとどめるために実施された。訓練を通じて自衛防災組織の迅速かつ適切な防災活動に加え、関係機関との連携体制の再確認と協力体制の充実・強化ならびに基地関係職員の防災意識の高揚を図ることを目的とする。

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菊間国家石油備蓄基地は1994年3月に完成。水封式地下岩盤タンク方式の石油備蓄基地で、現在約133万キロリットルの原油を備蓄している。なお画像上の彩色は、菊間基地の地下岩盤タンクを示している。(出典・JOGMEC)

そもそも石油備蓄基地とは?

 石油備蓄基地とは、石油の供給途絶などの事態に備えるため、国が保有する石油(原油)備蓄を貯蔵するための施設。国内では、第一次オイル・ショック後の1975年に石油備蓄法が制定され、90日分の民間石油備蓄が義務づけられている。国家備蓄がスタートした76年時点では、まずタンカーを用いて備蓄したが、1983年からは備蓄基地における保管がスタート。5000万キロリットルの国家石油備蓄保有を目標とし、1998年2月に同目標を達成した。

  2018年現在、備蓄基地として、苫小牧東部(北海道)、むつ小川原(青森)、久慈(岩手)、秋田、福井、菊間(愛媛)、白島(福岡)、上五島(長崎)、串木野(鹿児島)、志布志(鹿児島)の10基地が稼働中。菊間国家石油備蓄基地は、1994年3月に完成した、水封式地下岩盤タンク方式の石油備蓄基地。現在約133万キロリットルの原油を備蓄している。

巨大地震発生を想定した訓練

 このたびの訓練では、「南海トラフを震源とする南海トラフ巨大地震(今治市菊間町は震度6弱)発生」を想定して実施された。

陸上訓練
 陸上タンクの付属配管から原油約100リットルが漏洩したという想定のもと行われた。配管の応急処置、防油堤亀裂箇所への土のうの構築、サービストンネル内で負傷した所員の救出活動、原因不明の火源によるタンクのリング火災(タンク内の浮き屋根外縁部でのリング状の火災)の消火活動を実施。さらに、鎮火後の津波警報発表により全員避難するなどの訓練を行った。

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タンク内の浮き屋根外縁部が燃える「リング火災」の消火訓練。右手前は、地元住民に対する災害広報を行っている広報車。(出典・JOGMEC)

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所員が瓦礫に挟まれたことを想定した救出訓練なども行われた。(出典・JOGMEC)

海上訓練
 地震で陸上タンクの付属配管から漏洩した原油が、雨水排水溝・ガードベースン(排水処理系統の最終段階に設置される貯留池)を経由して、海上流出したという想定のもとで実施。オイルフェンスの展張、流出油の拡散防止と回収、浮流油の拡散処理を行う訓練を行った。

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流出油は油回収船によりできる限り回収。浮流油は防災船や海上保安庁の巡視艇などに搭載されている放水銃から海面に放水したり、油処理剤(油を海中に微粒子状に分散させる薬剤)を散布することで拡散処理を行う。実際の災害時には、地理的状況や油の性状等を踏まえて使い分けている。(出典・JOGMEC)

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原油が海に漏洩・流出した場合にその拡散を防止するオイルフェンスを展張(延ばして拡げる)している様子。(出典・JOGMEC)

 今回の防災訓練に参加した防災関係機関は7機関。参加車両は大型化学高所放水車など13台。参加船舶は巡視艇・多目的防災船等8隻、参加人員は約100人となった。