2018年10月31日 00:47 掲載

ニュース・プラス 農業に先進IT技術を導入!ドローンやAIを使って効率化だけでなく品質管理も。


JAFメディアワークス IT Media部 大槻 祐士

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JAみやぎ登米管内にて導入試験が実施されているドローン。農薬散布や生育診断を行う。

 株式会社インターネットイニシアティブ(東京都千代田区・以下IIJ)と住友商事株式会社(東京都千代田区)は、先端農業の事業化に関する業務提携を締結した。

農業就業人口は年々減少!65歳以上の就業者が6割。

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資料:農林業センサス、農業構造動態調査 (農林水産省統計部)。「農業就業人口」とは、15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者。「基幹的農業従事者」とは、農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「仕事が主」の者。

 農林水産省の調査による上図をみると、日本の農業就業人口は平成29年に180万人となり、平成22年の260万人と比較すると80万人も減少。そのうち65歳以上の就業人口は約120万人であり、高齢者が6割を超えて就業者の高齢化が進んでいる。また、後継者不足を背景に、生産技術やノウハウの断絶も危惧されている。

 このような労働力不足を背景に、耕地の集約や農業法人の大規模化が進み、1経営体あたりの経営耕地面積は拡大基調にあるという。従来より少ない人数で大きな土地を管理しなければならず、大幅な効率化が求められている。

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IIJと住友商事による先進農業のイメージ。

 例えば、水田のる水管理については日々の見回り作業に多くの時間を要し、作物の品質や収穫量を維持するためにきめ細かな観察・対応が必要となる。現在、そのほとんどを就業者の経験や勘に頼っていて、先進技術の整備はあまり進んでいない。IIJと住友商事はそこに着目し、ロボットやドローン技術、ICT(*1)などを活用した農作業の省力化・軽労化など大幅な効率化に向けて取り組みを開始した。(ドローンの関連記事:空から計測! ドローンを用いた交通量計測システム)

*1 ICT(情報通信技術)とは、PCやスマートフォン、スマートスピーカーなどさまざまな形状のコンピュータを使った情報処理や通信技術の総称。 IT(情報技術)にコミュニケーションの要素を含めたもの。

JAみやぎ登米管内にて検証を開始

 両社は、水稲・小麦・大豆・サトウキビなどを対象に、農作業の効率化やノウハウの可視化を実現するため、製品開発や製造販売に関する取り組みを推進するという。その先駆けとして、住友商事はJAみやぎ登米(宮城県登米市)と提携し、農業生産者にとって使いやすく安価な通信サービスの事業化に向け、LoRaWAN などのLPWA(*2)技術と各種センサーを用いた通信技術の導入試験を実施している。

*2 LPWA(LowPower, Wide Area)は、IoT/M2M(Machine to Machine)に適した低消費電力かつ長距離通信を特徴とする無線通信技術。LoRaWANはLPWAの一種である無線通信プロトコル。

 上の動画では、ドローンによる米作りを紹介している。ドローンは、穂先30cm上空を飛行しながら、センサーやカメラを通じて、AIによる生育診断を一株ごとに実施し、生育状況に応じて農薬を散布できるという。さらに、穂ともみの数を数え、田んぼ全体の収穫量の予想まで全自動で行うそうだ。この米作りは、2018年に2軒の大規模農家で導入試験を実施し、2019年からJAみやぎ登米管内にて本格的に導入される予定だという。(AI技術の関連記事:ナイフなどの危険物や暴力行為をAIが関知して通報。既存の防犯カメラにも組み込めるシステムが登場)

 JAみやぎ登米の担当者は、「近年悪天候が続き、品質や収量にブレが出ているが、農家の経験や勘だけでなく、先進技術によるデータ化・数値化した管理ができれば精度の高い米づくりができると期待している」とコメントしている。

 両社は本提携により、農業の効率化と生産者の利益を追求した新技術や製品、サービスの開発と展開を進め、農業を将来にわたり維持・発展させるための取り組みを推進していくという。

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