2018年10月24日 00:52 掲載

ニュース・プラス アリアンロケット打ち上げ成功! JAXAと欧州宇宙機関の探査機コンビ「みお」&「MPO」が水星へ向けて出発


JAFメディアワークス IT Media部 日高 保

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水星探査機「みお」と「MPO」の2機を搭載したアリアン5型ロケットの打ち上げの瞬間。アリアンロケットを打ち上げているアリアンスペース社は、衛星市場の打ち上げロケットをビジネスとしてる企業の中で最も成功している。

 現地時間19日(金)22時45分28秒(日本時間20日(土)10時45分28秒)に、水星探査機2機を搭載したアリアン5型ロケットが、中米のフランス領ギアナのギアナ宇宙センター(クールー宇宙基地)から打ち上げられた。この打ち上げを、多くの研究者たちは固唾を飲んで見守ったという。なぜか?

 水星は、太陽の最も近くを回る小さな惑星。直径は約4880kmしかなく、3500km弱の地球の月よりわずかに大きい程度。この小ささのため、水星は長らくすでに中心核まで冷えて固まってしまった"死んだ惑星"と考えられていた。

 ところが、近年になってNASAの探査機「メッセンジャー」が、地球の1/100規模ではあるものの磁場があることを発見。つまり核が冷え切っておらず、地球のような"生きた惑星"であることがわかったのだ。以来、死んだ惑星という見方は大きく変わってきた。

 また水星は現在、ほかの惑星と大規模な衝突をした可能性が示唆されているなど、太陽系の形成初期の記録をとどめる非常に重要な"生き証人"として科学者たちの熱い視線を浴びてもいる。今、太陽系の研究でホットな存在となっているのが水星なのだ。

JAXA最長のプロジェクト、いよいよ探査機打ち上げに!

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水星の周回軌道で観測を行う「みお」(上)と「MPO」(下)のイメージ。「MPO」の背後にあるのが水星で、周辺に広がるのは磁場のイメージ。左は太陽。

 こうして水星に注目が集まる中、JAXAは構想21年という史上最長のプロジェクトである水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ ※1)」を進めてきた。同計画は、観測機能の異なるJAXAの水星磁気圏探査機「みお」とESA(※2)の水星表面探査機「MPO」の2機を同時に送り込んで探査するという、国際共同探査計画で、いよいよ打ち上げとなったのである。

 ロケットは計画通りに飛行し、打ち上げから約26分47秒後に両探査機を正常に分離。2機は合体した状態で水星への長い旅路に入った。2025年12月5日に水星周回軌道に到着して軌道上で2機が分離する計画だ。「みお」は主に水星の磁場・磁気圏の観測を行い、「MPO」は主に同惑星の表面・内部の観測を行うことになる。

 これまでに水星を観測した探査機は、NASAが1970年代に打ち上げた「マリナー10号」と、2011年から15年まで軌道に唯一投入されて大発見を成し遂げた「メッセンジャー」のみ。たどり着くだけでも困難なため、近くに思えても実は探査が進んでいないのが水星なのだ。そうした難度の高いミッションに「みお」と「MPO」は挑んでいるのである。

※1 BepiColombo計画:イタリアの天体力学者、数学者のGiuseppe Colombo(ジュゼッペ・コロンボ:1920-1984)博士にちなんだ名称。Bepiとはコロンボ博士のニックネーム。水星の自転周期約59日と公転周期約88日が2:3の共鳴関係であることなどを発見した
※2 ESA:European Space Agency、欧州宇宙機関

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水星軌道到着時に、探査機などの分離タイミングを示した画像。2025年10月24日にまずイオンエンジンモジュールを切り離し、11月20日に耐熱シールド内から「みお」を放出。同月26日には耐熱シールドを廃棄。2026年3月14日から「みお」と「MPO」は観測をスタート。

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「みお」と「MPO」。上部のお椀型のものが耐熱シールドで、その中に収められているのが「みお」。耐熱シールドの下が「MPO」で、その下がイオンエンジンモジュール。これが、ロケットに搭載する際のすべてが結合された状態。撮影は、2017年6月29日、オランダにあるESAのESTEC試験場にて音響試験や振動試験などが実施されたときの様子。

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「みお」と「MPO」はどんな探査機でどう調べる?