2018年09月28日 12:24 掲載

ニュース・プラス 運転免許保有者数からみる「若者のクルマ離れ」


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近年車離れしていると言われる若者世代の免許保有率から、若者の心中を考察してみた。

 筆者が運転免許を取得した1980年代、若者たちは18歳になる日を待ちわびて高卒就職組は高校在学中に、大学進学組は大学1年の夏休みに教習所に通って車の運転免許を取得するということが多かったように記憶している。ちなみに車に全く興味がなかった筆者は当時、親に言われてしぶしぶ大学2年で運転免許を取得した。クルマ離れしていると言われる現代の若者はどうなのだろうか?

日本自動車工業会の乗用車市場動向調査

 2018年4月に日本自動車工業会が発表した若者世代1000人に対する調査結果によると、車を保有していない800人は「車を買いたくない」が29%。「あまり買いたくない」の25%と合わせると54%に達したという。

 その理由は「買わなくても生活できる」(33%)、「駐車場代など今まで以上にお金がかかる」(27%)、「お金はクルマ以外に使いたい」(25%)といったところだ。しかし、車を所有することにはあまり関心が無くても、レンタカーやカーシェアリングには関心を示す層が増えている。それゆえ、若者の車の"所有離れ"傾向が強まっても、運転免許取得人数はそれほどまでに減少していないのではないか。

10代および20代の自動車免許率は減少

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年齢階級別運転免許保有率の推移(大型二輪、普通二輪、原付、小型特殊免許を除く)。
警察庁「運転免許統計」のデータを元に作成。

 そこで、警視庁の統計をひも解いてみた。警察庁の「運転免許統計」(運転免許課)から年齢階級別に免許保有率をグラフ化した。グラフから、確かに18~29歳の運転免許の保有率は減少傾向にあるとわかる。しかし20歳以上の免許保有率は常に7割以上であることから、若者全体としての免許保有率は依然として高い水準にあるといえる。つまり現在の若者は運転免許取得を、単に後ろ倒しにしているだけであると考えることができる。

 ただし、車の保有率を見ると少し事情が異なる。内閣府の消費行動調査によると、29歳以下の車の保有率は2005年の67%から2017年の48%へと大きく減少しているのだ。そして30~59歳以下の車の保有率は85%から79%へと減少している。このように、若者の免許保有率は車の保有率ほど大きくは減少していないこと、免許保有率が増加している世代においても車の保有率が減少していることから、「車の所有欲」と「車の利用欲」を別々に考える必要があるだろう。 

 車の保有率が下がっているのは、公共交通機関の発達で、都市部では車を必要としないこともあるだろう。また、スマートフォンやインターネットの普及により、購入すべきモノの優先順位が変化したとも言えるだろう。その一方で、運転免許の取得の必要性までは否定されているものではないと言えそうだ。

レンタカーやカーシェアリングは代替手段

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カーシェアリングの車両台数と会員数の推移。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ。

 近年はレンタカーの利用以外にもカーシェアリングの利用が広く普及している。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると(上グラフ)、カーシェアリングの車両台数、会員数は年々大きく増加している。

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カーシェアリング利用者の車購入意思(2017年)。タイムズ24(株)調べ。

 また、タイムズ24株式会社のアンケート調査によると、カーシェアリング利用者に車の購入意欲を尋ねると、「元々、購入しようと思っていた」が29%となっており、「カーシェアリングを始めてから、自分の車が欲しいと思った」の17%を合わせると、実に半分以上の利用者が自家用車を購入したいと感じていて、その代替手段としてカーシェアリングを利用していることが分かる。

 このように現代の若者は、18歳になったら即免許を取得するのではなく、将来のためや単発的な利用のために取得するという人が増えていると言えそうだ。車の所有欲がレンタカーやカーシェアリングで補えることで、自動車の保有率が下がってるのだろう。つまり若者は車を所有することからは離れたが、運転からは離れていないと言えるのではないだろうか。

2018年8月29日(雨輝・加藤久美子)