2018年08月20日 14:00 掲載

ニュース・プラス 中央大学、藻に由来するバイオディーゼル燃料の生産性アップに成功! 遺伝子組み換えの新技術を用いて世界初の成果


JAFメディアワークス IT Media部 日高 保


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藻「コッコミクサ(Coccomyxa)」の野生のものと、今回の新技術で改良された「Coccomyxa」の油脂生産量の違い。左は「コッコミクサ」の細胞がわかる顕微鏡画像で、右の油滴を蛍光色素で染色した画像。上段が野生のもの、中段は途中段階の1.1倍の生産性を持つ改良型、そして下段が1.4倍のもの。

 CO2の増加を防ぐためにさまざまな手段が考えられているが、バイオディーゼル燃料もそのひとつだ。バイオディーゼル燃料にはさまざまな生産方法があり、そのひとつが藻(も)が生産する油脂を原料とするというもの。ただしこの方法は生産コストが高いため、現在のところ商業化が難しいとされる。油脂の生産性をもっと高めた改良型の藻を生み出し、生産コストを下げる必要性があるのだ。

 こうした中、中央大学研究開発機構の笠井由紀専任研究員および原山重明教授らの研究グループは、微細藻「コッコミクサ(Coccomyxa)」の油脂生産性の改良に成功。改良された「コッコミクサ」は、野生のものの1.4倍の油脂生産性を持っていることが確認された。

危険性のない遺伝子組み換え技術「セルフクローニング」で実現

 今回の改良で大きなポイントとなったのが、ほかの生物に由来する遺伝子(外来遺伝子)を一切用いない「セルフクローニング」と呼ばれる遺伝子組み換え技術で実現したこと。

 遺伝子組み換え技術に対しては、生物の多様性に影響を与える(生態系の破壊などを招いてしまう)ことのないよう、組み換えを無制限に行えないことを国際的に取り決め、日本もそれに従っている通称「カルタヘナ法」と呼ばれる法律が存在する。そのため、いくら生産性アップのためとはいえ、ほかの生物が持つ有用な遺伝子を無制限に「コッコミクサ」の遺伝子中に組み込んだり入れ替えたりといったことはできない。

 そこで今回の研究で用いられたのが、「セルフクローニング」と呼ばれる技術だ。セルフクローニングはその生物の遺伝子だけを用いる技術であり、作物などの品種改良のために行われている掛け合わせと同等と考えられている。また自然界でも遺伝子の入れ替わりなどは普通に発生しており、「セルフクローニング」は安全性の高い遺伝子組み換え技術とされている。今回はこのセルフクローニングを用いて、「コッコミクサ」自身のふたつの遺伝子が組み込まれた。

 ただし安全性が高い反面、セルフクローニングで行うには技術的にクリアすべき課題があった。今回はそれを新たな手法で解決し、生産性を1.4倍にまですることに成功したというわけだ。

さらに生産性を高めることも可能!

 新技術をさらに連続的に用いることで、「コッコミクサ」の生産性を今回以上に高めることもできるという。またほかの藻にも適用できるそうで、「コッコミクサ」よりも生産性がもっと高い藻に用いることも考えられる。それにより生産コストを削減できれば、藻に由来するバイオディーゼル燃料の商業化実現の道も見えてくるかも知れない。

 今回の研究成果は中央大学が8月8日に発表。詳細な論文は、英国時間8月6日に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」のオンライン速報版に掲載された。