2018年06月28日 16:23 掲載

くるナンデス 横内信弘の「だってジャーナリストなんだもん!」
臭いがしないガソリンスタンド!?
ガソリンベーパー問題の最前線を特集。(1/4)


年間で「満タン給油約260万回分のガソリン」が大気に拡散されている。

 その前に、まず、気になるのは、どのようにして、どのくらいの量のガソリンベーパーが、ガソリンスタンドから大気に拡散しているのかという点です。

 環境省の報告書によると全国のガソリンスタンドから年間約10万トンものガソリンが気化し、大気に拡散されているというのです。ガソリンが、ガソリンスタンドに運ばれてきて、まず、タンクローリーから地下のガソリン貯蔵タンクに移されます。このガソリンの荷卸し時に発生するガソリンベーパーの占める割合が全体の約35%、約3万5000トン分です。そして残りの約6万5000トン分約65%が、クルマのガソリンタンクの給油時に気化拡散しています。

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ガソリンスタンドにおけるガソリンベーパー排出量(環境省「平成28年度揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会」報告書より、平成27年度のVOC排出量推計結果)

 10万トンという量が、ちょっとピンと来ないので、単位を給油の際におなじみの「リットル」に換算してみましょう。石油連盟のホームページによると、自動車用ガソリンの比重は「0.72~0.76」とのことなので、仮に0.75で計算してみます。比重が1の水なら10万トンは10万キロリットル。水より軽いガソリンの場合は、およそ1.3倍の13万キロリットルとなります。これを給油1回の満タンの量、仮に50リットルとして割ってみると、なんと満タン給油約260万回分! 年間この量のガソリンが大気に拡散しているのです。なんだかもったいない気もします。

ガソリンベーパーは、PM2.5や光化学オキシダントとなって環境を破壊する。

 もったいないだけではありません。これだけのガソリンが大気中に排出されていることは、環境面、そして人体の健康面から考えても問題があります。そういえば、「なんちゃってエジソン」でも暑い日のロケで、お昼すぎから光化学スモッグ警報が発令され、ロケを中止したことがありました。モニター実験に協力してくれた小学生の健康被害を懸念したからです。

 空気中を漂うガソリンベーパーは大気汚染物質のひとつであるVOC(揮発性有機化合物)であり、太陽光と反応すると、PM2.5(微小粒子状物質)となったり、光化学オキシダントの原因物質となります。

 社会問題化している「PM2.5」とは、粒子が非常に小さい汚染物質のことで、肺の奥深くにまで入り込みやすく、呼吸器系や循環器系などの疾患リスクを上昇させると考えられています。特にお年寄りや子どもなどは影響を受けやすいそうです。

 「光化学オキシダント」は大気中の濃度が高まると、白くモヤがかかったような状態になります。これがいわゆる「光化学スモッグ」です。

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PM2.5や光化学スモッグ発生のメカニズム。イメージ図(資料提供:神奈川県)

 さらにガソリンベーパーは、ガソリンスタンドから排出される年間10万トンに加えて、走行中の車や駐車中の車からも排出されているんです。

 ガソリンベーパーの問題は、世の中に知られていない割には、あまりに大きすぎる問題ではないでしょうか??

 ということで、全国の自治体の中でもガソリンベーパー問題に積極的に取り組んでいる、神奈川県を取材することにしました。

何が問題なのかお分かりいただけたところでその2へ続きます。

2018年6月28日(ライター 横内信弘)