2018年01月04日 13:58 掲載

くるナンデス クルマが人を襲う!
B級ホラーの「クリスティーン」を、
今見直してみると面白すぎる!


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不良グループによりボロボロにされたクリスティーンにショックを受けるアーニー(キース・ゴードン)。この時アーニーの心は既にガールフレンドよりもクリスティーンにのめり込んでいる。© 1983 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 クリスティーンとアーニーが狂気の中で愛し合い人を殺めていく過程の中で、クリスティーンはクルマではなくまさに生き物、それも女性となっていく。
 アーニーが不良グループによってこなごなにされたクリスティーンに「さぁ君の力を見せてくれ!」と言うと自分で再生するシーンや、ラジオがひとりでに作動して人を恐怖に陥れるシーンなどは、AIを搭載しドライバーの意志を汲み取って作動する最新技術車のようにも思えてくる。

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アーニーをいじめた同級生を袋小路に追い詰めるクリスティーン。© 1983 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 不良グループのひとりを袋小路に追い詰めて殺す前の、プルプルという震えるようなエンジン音がじわじわと恐怖感を煽ると共にクリスティーンがまるで生きているかのように効果的に使われている。
 またアーニーが死んだ時に、クリスティーンが彼のためにカーラジオから流す「永遠に愛す」という陽気なオールディーズは、アメリカの善良さの裏に潜む闇を浮き彫りにするかのようだ。映画の全編を貫く音の使い方にミュージシャンとしての監督のセンスのよさが光る。

 ホラー映画としてはB級かもしれないが、クルマとそれにとりまくカルチャーを通して、70年代のアメリカの甘く切ない夢の残り香を味わうことができる秀作である。

2017年1月6日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)