2019年11月22日 17:30 掲載

クルマ レクサス、中国で市販EV第1弾「UX300e」を世界初公開。今後のトヨタEV戦略をまとめてみた

レクサスは11月22日から始まった中国・広州モーターショーにおいて、市販EV第1弾「UX300e」を世界初公開した。2019年4月の上海モーターショーでは、コンパクトSUVの兄弟車「C-HR/IZOA」のEVグレードを発表済みで、この3車種は2020年から発売となる。トヨタは今後どのようにEVを展開していくのか、その計画をまとめた。

神林 良輔

画像1。中国・公州モーターショーで発表されたレクサスから2020年に市販されるEV「UX300e」。

画像1。11月22日から始まった中国・広州モーターショーで世界初公開されたレクサスの市販EV「UX300e」。2020年の市販予定だ。

 2010年代半ばから国内ではFCV(燃料電池車)とPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)に力を入れてきた感のあるトヨタだが、2020年からいよいよEVを市場に投入する。最初にEVを投入するのは中国で、11月22日から始まった広州モーターショーではレクサス初の市販EV「UX300e」(画像1)が世界初公開された。

 「UX300e」はTNGAプラットフォーム「GA-C」を採用した都会派のコンパクト・クロスオーバーSUV「UX」のEVグレード。モーターの最高出力は204ps、最大トルクは300N・mで、54.3kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電航続距離は約400kmと発表されている。

レクサスの市販EV第1弾のイメージカット。

画像2。レクサス「UX300e」の側面には「ELECTRIC」の文字。

 トヨタブランドとしては、2019年4月の上海モーターショーでコンパクトSUVの兄弟車「C-HR」(販売は広汽トヨタ)と「IZOA」(販売は一汽トヨタ)のEVグレードを出展(画像3)。こちらも2020年に市販される予定だ。トヨタは、どのような計画に基づいてEVを発表しているのか。従来の公表された資料等をもとに探ってみよう。

中国において、広汽トヨタ自動車販売が販売する「C-HR」EVグレード(左)と、一汽トヨタ自動車販売が販売する「IZOA」EVグレードの(右)の兄弟車種。

画像3。トヨタブランドのEV第1号、「C-HR」(左)と「IZOA」(右・日本未発売)のEVグレード。兄弟車だが、中国国内では発売会社が異なるために別車種扱い。

トヨタはの2015年10月発表の計画からブレていなかった

 2015年10月にトヨタは長期的な目標として「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。そのひとつに、2050年までに新車から排出される走行時のCO2排出量を、2010年と比較して90%削減する「新車CO2ゼロチャレンジ」という目標を掲げた(このほか、製造でのトータルでのCO2排出ゼロを目指す「ライフサイクルCO2チャレンジ」、世界の工場が対象の「工場CO2ゼロチャレンジ」も掲げている)。

 そして2017年12月には、それらを達成するための計画として、まず2025年までに全車種に電動グレード(HV(ハイブリッド)、PHEV、EV、FCV)をラインナップすることを発表。さらに2030年には、新車販売においてHVとPHEVで450万台以上、EVとFCVで100万台以上を販売するというマイルストーンを設定した(画像4)。

 2019年6月7日に開催されたメディア説明会「EVの普及を目指して」での発表によれば、電動車の普及は想定を超える勢いで進んでおり、5年ほど前倒しの状況だという。

トヨタが2017年12月に発表した計画における電動車普及のマイルストーンを表したグラフ。

画像4。2017年12月に発表されたトヨタの電動車普及のマイルストーンを示したグラフ。プレスリリース「EVの普及を目指して」(2019年6月7日発表)より。

EVを中国市場から投入する理由は?

 トヨタがEVを中国市場から投入する理由は、市場として大きく、EVの普及のための補助金(助成金)制度が充実していることなどが挙げられる(ただし、補助金はまもなく打ち切られるとされている)。

 中国でのEVの販売実績は世界で見てダントツだ。2018年に世界で121万台のEVが販売されたが、約6割にあたる70万7800台が中国で購入さている。環境問題などからこれまで中国では、EV、PHV、FCVの「新エネルギー車」(New Energy Vehicle:NEV)の普及に力が入れられてきた。購入時の補助金が後押しして、急速に普及が進んできたのである。最大時に比べれば削減されたものの、それでも2018年の時点でEVについても補助金が設定されていた。1充電航続距離によってクラス分けがされていて、400km以上なら5万元(1元=17円計算で約85万円)の補助金があったのである(画像5)。

トヨタが2019年6月に行ったメディア説明会「EVの普及を目指して」のプレゼン資料。2018年の国別のEV購入台数の割合と、補助金、国別の全車両中のEVの占める割合など。

画像5。2018年の世界全体でのEV購入台数の各国の割合、国別のEV購入台数(青字)、各国における全車両中のEVの占める割合(赤字)、そしてEVの購入補助金など。プレスリリース「EVの普及を目指して」(2019年6月7日発表)より。

 ただし、この補助金制度も間もなく打ち切られるとされる。2019年3月にも削減が行われ、400km以上でも2万5000元(42万5000円)となった。これは、中国ではEVの補助金にメーカーが依存していることが懸念されており、真の競争力を持ったメーカーを育てるためだという。これに対してトヨタも、「補助金がなくても購入してもらえる、ガソリン車にはない魅力を持ったEVを開発する必要がある」としている。

2020年までにEVも含めた電動車を10車種増やす計画

 補助金制度の打ち切りという懸念材料はあるが、それでもメーカーとしては魅力的な市場である中国。同時に、中国では、自動車メーカーは新エネルギー車を発売しなくてはならない規則もあり、そのためトヨタは電動車の拡充を進めている。2020年までに合計10車種の電動車をラインナップする予定で、すでに発売中の車種には、「カローラPHV」(一汽トヨタ・画像6)や「レビンPHV」(広汽トヨタ・画像7)などがある。日本未発売の車種やグレードも少なくない。

※ トヨタはプラグイン・ハイブリッド車をPHVと表記しているが、当記事中では車名以外では一般的なPHEVという表記を採用した。

中国において、一汽トヨタが発売している「カローラPHV」。

画像6「カローラPHV」。画像7の「レビンPHV」とは兄弟車だが、中国では「C-HR/IZOA」と同様に別車種扱い。MEGA WEBにて撮影。

広汽トヨタが中国で販売している「レビンPHV」。

画像7。「レビンPHV」。かつて国内で「レビン」の名は「カローラ」のクーペモデルに与えられた名称だった。MEGA WEBにて撮影。

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日本など他地域でのEV展開は?

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