2019年11月09日 16:30 掲載

クルマ 電動化へと突き進むドイツメーカーの本気を見た!【フランクフルト・モーターショー2019(VW・ポルシェ・アウディ編)】

東京モーターショーへの出展を見送った海外メーカー勢は、いまどんな車を開発しているのだろうか。去る9月、ドイツで開催されたフランクフルト・モーターショーで話題を集めたニューモデルを一挙ご紹介。今回はフォルクスワーゲン・ポルシェ・アウディの3メーカーをお届けする。

JAF メディアワークス IT Media部 秋月新一郎

フランクフルトでお披露目されたフォルクスワーゲンの新型EV「ID.3」。

フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.3」は未来のゴルフになりえるか?

 2019年のフランクフルト・モーターショーは2019年9月12日から22日まで開催された。それを端的に表せば「EV一色」。その一言に尽きるだろう。今回のショーには市販化済、もしくは市販化目前のモデルがズラリと並んだ。その中でも、ひときわ気を吐くブランドがフォルクスワーゲンだった。2015年のディーゼルゲート事件を契機に、電動化に向けて一気に舵を切った同社だが、その中軸を担う新世代EVがついにお披露目となった。

「ID.3」は、電気自動車専用に開発した新プラットフォーム、「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)」を採用した第1弾のモデル。5人乗りのCセグメント5ドア・ハッチバックで、ボディサイズは全長4261×全幅1809×全高1552mm。バッテリーを床下に配置した分だけ背は高くなったものの、現行ゴルフ(日本仕様:全長4265×全幅1800×全高1480mm)とほぼ同じ。その佇まいは "未来からやって来たゴルフ"そのものだ。

 ボディカラーはまるでキャンディーのようなポップな色合いで、インテリアは2トーンでコーディネート。従来のゴルフが保守的だっただけに、ID.3はより華やかに映る。ダッシュボード中央部には、地図やインフォテイメント類、空調関係を一括管理する10インチのタッチスクリーンを装備。またフロア周りは、シフトレバーをメーターパネルの右横に移動したお陰でスッキリした印象になった。「お、VW変わったな!」と思わせるには十分すぎるほどのインパクトが、このID.3にはある。

ポップで明るい印象のID.3のインテリア。VWのロゴも刷新され、フラットな2次元デザインとなった。

 展示車両は室内の見学も可能だったので運転席に座ってみると、VWの展示スタッフが助手席側から「ヘーイ、ID」とクルマに呼び掛け、音声コマンドで操作するデモを披露してくれた。クルマと人の会話はかなりスムーズ。「なかなか賢いでしょ?」と担当者。ID.3はこの他にも、人とクルマの関係性をより親密にするべく、いろいろな仕掛けが施されているのだという。

 なかでもユニークだったのが、ドライバーが駐車中のID.3に近づくとヘッドライトがまるで人間のように "まばたき" してくれるという機能。ウインクしてくれるクルマだなんて可愛すぎる。先進性の中にも、こうしたユーザーフレンドリーな一面を織り交ぜてきたのが、フォルクスワーゲンの新しいEVの魅力だ。

 ID.3は45kWh、58kWh、77kWhの3つのバッテリーサイズで展開。航続可能距離はWLTP基準でそれぞれ330km、420km、550kmとなる予定だ。100kWの急速充電器を使用した場合、約290kmを走行可能なエネルギーを30分間で充電することができるという。

現行ゴルフとほぼ同サイズのID.3。バッテリーは床面にフラットにレイアウトされている。

10年後は2台に1台がEVになる!?

 ハンドリングに関しては実際にドライブしてみないと分からないものの、なんとこのクルマ、後輪駆動なのだ。バッテリーによる低重心化も含めて、きっと素晴らしい走りを披露してくれることだろう。価格は、45kWhのバッテリーで航続距離330kmのベースグレードを300万ユーロ(約360万円)以下で販売予定。日産リーフの40kWhのSやXグレードが同価格帯のライバルとなる。

 ID.3は、サプライチェーン全体にわたってCO2ニュートラルな方法で生産された世界初の電気自動車であるとフォルクスワーゲンは謳う。バッテリーセルの製造と車両の生産は、グリーン電力のみで可能だと胸を張る。生産は今年11月からドイツ・ツヴァイッカウ工場で行われ、納車は2020年夏の予定だ。「ID.3は、初代ビートルや初代ゴルフと同じくらい、大きな節目となるでしょう」と同社。9月9日に発表されたプレスリリースによれば、すでに3万台以上の予約を受けているというのだから驚きだ。

 フォルクスワーゲンはポルシェやアウディを含むグループ全体で、2028年までに約70車種、2200万台の新しい電気自動車を発売する計画だ。今後10年で、ヨーロッパと中国で販売するグループ会社の車両は、ほぼ2台に1台がEVになるだろうと同社は予測する。

タイプ2や、バギーもEVで復活!? ショー会場には、これまでフォルクスワーゲンが発表してきた電気自動車のコンセプトカーが展示されていた。

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