2019年07月07日 15:38 掲載

クルマ バスづくりは今でも手作業ってホント? 路線バス製造工場を見学してきた。

乗用車の製造工場はなんとなく想像できても、巨大なバスがどのように作られているかは意外と知られていない。そこで日本のトップシェアを誇る会社の工場を取材。驚きの現場を報告しよう。ちなみに、取材を行ったジェイ・バス株式会社では、10~30人の参加者を対象に一般向け工場見学を実施している。

JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典

ジェイ・バスでは国内の路線バス6割以上が生産されているという。

東京ドーム約2.3個分の敷地面積を誇るバス製造工場

ジェイ・バス宇都宮工場の敷地面積は東京ドーム約2.3個分。

 ジェイ・バス株式会社とは、日野自動車といすゞ自動車が合弁で設立した会社で、日本国内向けバスの製造を行っている。2004年にいすゞバス製造株式会社と日野車体工業株式会社の部門・事業統合により誕生した。日野の生産拠点であった小松工場と、いすゞの生産施設であった宇都宮工場の2工場があり、小松工場では主に観光バスを、今回紹介する宇都宮工場では路線バスを中心に製造を行っている。

工場入口には、バスの前面をかたどった受付ブースがある。

 宇都宮工場は、東京ドーム2.3個分の敷地で400人の従業員が働いている。主に製造しているのは大型・中型の路線バスで、国内路線バスの6割以上がここで生産されている。

バスの製造工程は、ほぼハンドメイド

 自動車工場といえば、オートメーション化され多くのロボットが稼働する生産ラインをイメージする人も多いことだろう。

 だが、バスの製造工場は意外にもほとんどがハンドメイドだという。乗用車の場合は、大量生産を目的とし標準化された規格部品を組み込むことが多い。しかし、バスは完全受注生産。発注するバス会社の要望によって仕様が1台1台変わってくるため、シートやガラス、フロアマットなどに至るまで細かいオーダーに対処すべく、ほぼ全ての作業が人の手で行われているという。

まるで町工場のような溶接作業もバスの製造現場ではあたりまえの光景だ。

バスは3つのステージに分けて製造される

 バスの製造工程は大きく3つのステージに分けられている。ひとつはバス全体の骨組みを形成する「機体組立」。次が「ボディー塗装」。そして内装を手掛ける「艤装(ぎそう)組立」となる。以下に順を追って紹介していこう。

【ステージ1】バス全体の骨組みを形成する「機体組立」

 乗用車の製造においてはボンネットや天井、ドアなどは金型でプレスして量産される。だが、バスの外装品にはプレス部品はほぼ使われていない。その代わりに板を曲げたり穴をあける板金技術や、バスならではの大きなパーツをつなぎ合わせる高度な溶接の技術が必要となってくる。

【ステージ2】職人の手で仕上げられる「ボディー塗装」

 車体のデザイン塗装もロボットが行うのは下地まで。本番塗装はすべて人の手で行われているという。かつてデザイン塗装をコンピューターで自動化したところ、近くで見ると見分けがつかなかったものの、遠目から見るとコンピューターでプログラム制御した塗装は境界がぼやけてしまったという。こうした経緯を踏まえ、ジェイ・バスでは今もデザイン塗装やラッピング作業は職人たちの手で行われている。

【ステージ3】内装を手掛ける「艤装(ぎそう)組立」

 もちろん内装も重要だ。「高品質・低コスト・短納期」があたりまえの昨今。クライアントからの要望は増加傾向にあり、近年ではIT化への対処も踏まえた施工技術が必要となっている。バスの部品は全部で約25,000点。全国800社におよぶ協力企業から宇都宮工場に供給されてくるという。ちなみに1日で生産可能なバスは平均して8台前後だという。

バスの納車は「自走」で

 通常、乗用車はトレーラー(車載専用車)による陸送が行われ、ディーラーなどから納車される。しかし、サイズの大きなバスの納車は自走で行われる。通常の道路を走行するためのバスであれば、自走での納車でも問題はないが、ジェイ・バスでは空港内を走るような特殊サイズの車両も製造している。これらは通常のバスより一回り大きく、本来なら一般の公道を走ることができない。こうした場合には法令遵守に則った上で安全に配慮しつつ、警察に許可申請を行った上で深夜の自走による納車を行っているという。

 乗用車の製造工程と大きく異なるバスの製造過程には、知られざる側面が多数あり興味深いものだった。なお、これらのを実際に生で見てみたいという人のために、ジェイ・バスでは一般向けの工場見学も受け付けている。※10~30人の団体が対象。事前予約制。詳細は以下のリンクにて

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