2020年01月09日 23:00 掲載

クルマ 完全自動運転の車で何がしたい? 世代間の価値観の違いが明らかに。

最近は、まるでSF映画のような完全自動のクルマも考えられているが、はたしてユーザーは、完全自動運転をどう考えているのだろうか。興味深いアンケート結果を紹介しよう。

JAF メディアワークス IT Media部 会田 香菜子

完全自動運転車で何がしたい? 積極層・消極層の価値観の違いに注目。

自動運転車の中でも最も高度なレベル5の完全自動運転車が実現したら、いつでも写真のような運転が可能になる。いや、そもそも完全自動運転ならドライバーもいらないし、運転席も必要なくなる。ただし、レベル5の実現にはまだ相当な時間がかかるといわれている。

近い将来、登場しそうなのは、限られた条件の中で、かついつでも運転に戻れる場合にのみ自動運転ができるレベル3の自動運転車だ(レベル3のクルマもまだ市販されていないので、現在、写真のような運転ができるクルマはない)。©metamorworks - stock.adobe.com

若年層は「エンタメ志向」、ミドル世代は「時間の有効活用」志向。

 株式会社インテージは、全国の男女を対象に実施した調査を元にした、完全自動運転の車に対するニーズなどのデータ分析結果を発表した。

完全自動運転車でやりたいこと:「車窓の風景を見る」が全体のトップ。

出典:株式会社インテージ

 「完全自動運転車でやりたいこと」を質問した結果、全体では「車窓の風景を見る」が約5割を占めトップだった。次いで、「音楽を聴く」「同乗者との会話」はどちらも約3割と同率であった。
 年代別で見ると、20代以下は「音楽を聴く」をはじめ「映画鑑賞(TV、映画、YouTubeなど)」「ゲーム」など、移動時間もアクティブに楽しみたい傾向が目立つ。一方、30代~40代は、他の世代に比べて「仮眠、睡眠」「食事、間食」など、移動中も時間を有効活用したいという意識が窺えた。
 これらは "クルマ" という空間をより広く捉え、各世代が自分の時間に何をしたいのか、ということが表面化されているように思える。30代以上が「車窓の風景を見る」ことや、「同乗者との会話」をすることを若い世代よりも支持していることの背景には、 "家族団らん" を楽しみたいという願いがあるのかもしれない。

 若い世代が音楽や動画鑑賞、ゲームなど個人でも楽しめるものを挙げていることは、親世代からすれば少々寂しくも感じられる結果だ。しかし、クルマも "自分の部屋" として位置付けるのだとすれば、部屋が隣接している家よりも、音などに気兼ねなく思う存分自分の趣味に没頭することができる。
 全体としては、生活者にとって完全自動運転車はくつろげる空間であることが求められているようだ。未来では部屋を選ぶ時と変わらない感覚で、クルマを選ぶ日が来るのかもしれない。

自動運転にはシニア層が最も積極的。

自動運転には女性、シニア層がより積極的。

出典:株式会社インテージ

 さて、消費者の夢が詰まった完全自動運転車だが、利用に対する積極性は性別や世代で異なっていた。
 まず男女別の結果では、「自動運転機能が実現したら利用したい」(積極層)と答えたのは、男女それぞれが約5割で大きな偏りがなかった。対して「自動運転機能が実現しても自分で運転したい」(消極層)では、男性が約6割と自分で運転することへの積極性は男性の方が高いことが分かった。
 実際、クルマを運転したり、カスタム化して楽しむのは男性が多い印象がある。たとえば、普段は完全自動運転車で過ごし、週末などの余暇には自身で運転するというドライバーも出てきそうだ。
 もしかしたら、 "ドライブ" という言葉の意味が、現在のように広くクルマでどこかへ出かけることではなく、自分で運転することのみを指すようになるのかもしれない。ただし、完全自動運転のクルマになると、そもそも運転席がない可能性もあるのだが、、、。

 一方、年代別の結果だと、50代までは積極層と消極層に大きな差はなかった。しかし60代の回答では、積極層が消極層よりも多いことが見て取れた。これは、年齢からくる体力の低下のほかに、近年問題になっている高齢者ドライバーによる事故への不安も反映されていると思われる。
 完全自動運転なら、アクセルやブレーキ操作ミスなどの不安が解消され、いつまでも移動の自由が保障される。そんな未来が期待されているようにみえた。

自動車に対する価値観は、「移動手段」か「楽しみ」志向か。

自動運転の積極層と消極層の価値観:消極層は、車を操る楽しみに価値を感じている。

出典:株式会社インテージ

 次に、完全自動運転車を積極的に利用したいという「積極層」と、そうではない「消極層」の自動車に対する価値観を調査した結果をみてみよう。
 「クルマは目的地までの移動手段である」という価値観は積極層に多く、過半数近くの回答が集まっていた。
 対して、「クルマを運転することは楽しい」「操る歓びを感じられるクルマがよい」などの価値観は、消極層が過半数以上を占めている。
 「自分で運転するなんて、こだわりがあるんだね」。そんな会話が交わされる日も来るかもしれない。

 自動車の完全自動運転化の実現が見えてきた今、モビリティ社会は大きく変化しようとしている。一般の生活者の移動効率の向上はもちろんのこと、高齢者にとっても今以上に生活をサポートする上で欠かせないツールになるだろう。
 完全自動運転が実現し、生活をより充実させてくれる日が来ることが待ち遠しい。

【分析に使用したデータ概要】
「耐久消費財・サービスに関するWebアンケート調査」
調査対象:全国15歳~79歳の男女72,770人
調査時期:2018年6月

「SCI®(全国消費者パネル調査)」
調査対象:全国15歳~69歳の男女50,000人
調査時期:2017年4月(最新)

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