2020年05月20日 17:30 掲載

ライフスタイル 全国の都道府県道1号はどんな道路? 西日本編(中国・四国・九州・沖縄)


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神林 良輔

九州地方・沖縄県の県道1号・8路線(1路線欠番)

【福岡県】豊前万田線
1.3kmという最短の都道府県道1号

読み方:ぶぜんまんだせん
起点所在地:築上郡上毛町大字吉岡(ちくじょうぐんこうげまちおおあざよしおか)
起点交差点名:
八ツ並(やつなみ)
終点所在地:築上郡上毛町大字垂水(ちくじょうぐんこうげまちたるみ)
終点交差点:なし(大分県との県境、市場橋上)
延長(福岡県内):1.3km
総延長(福岡・大分):2.8km

 豊前万田線は、福岡県築上郡上毛町(ちくじょうぐんこうげまち)から、大分県中津市(なかつし)までをつなぐ総延長2.8kmの県道1号。福岡県内の区間は1.3kmで、東日本から西日本まで全国都道府県道1号の中で最短だ。

 路線名に豊前とあるのに、その南東側の隣町である上毛町が起点となっている。なぜ豊前市が起点でないのか、それとも起点は国道10号と重複しているのでわからないのか、福岡県に確認してみた。すると、かつては豊前市に起点があったが、豊前万田線の多くの区間が国道10号の指定を受けたことから、1996年4月1日に起点を現在の上毛町垂水(たるみ)の八ツ並交差点に移したとのことであった。

 豊前万田線は八ツ並交差点から東の大分県との県境へと向かっていく。県境は、両県の間を流れる一級河川の山国川(やまくにがわ)だ。豊前万田線は垂水にある市場橋(いちばばし)を渡っていき、その中間地点が福岡県区間の終点となる。

【大分県】豊前万田線
延長は福岡区間に次いで全国2位の短さ

読み方:ぶぜんまんだせん
起点所在地:中津市高瀬(なかつしたかせ)
起点交差点名:
なし(福岡県との県境、市場橋上)
終点所在地:中津市大字万田(なかつしおおあざまんだ)
終点交差点:新万田(しんまんだ)
延長(大分県内):1.5km
総延長(福岡・大分):2.8km

 福岡県築上郡上毛町(ちくじょうぐんこうげまち)から大分県中津市大字万田(なかつしおおあざまんだ)までをつなぐ豊前万田線の大分県区間。福岡県区間の1.3kmに次いで、大分県区間も1.5kmと、都道府県道1号の中で第2位となる短い延長だ。総延長2.8kmも、2県にまたがる都道府県道1号の中では最も短い。

 県境を流れる山国川(やまくにがわ)に架かる市場橋(いちばばし)の中間地点を起点とし、所在地は中津市高瀬(なかつしたかせ)。そこから南東に向かい、国道212号に接続する新万田交差点で終点となる。

 福岡県区間も大分県区間も、豊前万田線の沿線には田園風景が広がる。夏の青空の下で走ればさぞかし爽快に感じることだろう。

【長崎県】佐世保嬉野線
日本最西端の都道府県道1号

読み方:させぼうれしのせん
本線
 起点所在地:
佐世保市三川内本町(させぼしみかわちほんまち ※11)
 起点交差点名:
三河内駅前(みかわちえきまえ ※11)
 終点所在地:東彼杵郡波佐見町永尾郷(ひがしそのぎぐんはさみちょうながおごう)
 終点交差点:なし(佐賀県との県境)
支線

 起点所在地:佐世保市三川内本町(※11)
 起点交差点名:
三河内駅入口(※11)
 終点所在地:佐世保市三川内本町(※11)
 終点交差点:なし(佐世保嬉野線本線との合流交差点、牛石橋西詰の交差点)
別線
 起点所在地:東彼杵郡波佐見町村木郷(ひがしそのぎぐんはさみちょうむらきごう)
 起点交差点名:なし(県道107号との交差点)
 終点所在地:東彼杵郡波佐見町宿郷(ひがしそのぎぐんはさみちょうしゅくごう)
 終点交差点:なし(県道4号との交差点)
延長(長崎県内):16.0km
総延長(長崎・佐賀):
20.4km

※11 三川内と三河内の表記について:地名は三川内と書くが、駅名は三河内。読み方は同じ「みかわち」だ。

 長崎県佐世保市(させぼし)から佐賀県嬉野市(うれしのし)までをつなぐ佐世保嬉野線は、日本で最も西に位置する都道府県道1号だ。総延長は20.4kmで、長崎県区間は16.0km。およそ4分の3を占める。

 起点はふたつあり、本線と支線、どちらも佐世保市三川内本町(させぼしみかわちほんまち)からだ。本線の起点は、JR佐世保線の三河内駅前交差点(みかわちえきまえこうさてん)からで、いったん西側に向かうが半円を描いて東へ向かい、JR佐世保線と、それと並走する国道35号兼202号(重複区間で、国道2路線の道路標識が掲げられている)をオーバーパスする。そのまま東へ向かい、東彼杵郡波佐見町永尾郷(ひがしそのぎぐんはさみちょうながおごう)で佐賀県との県境となり、長崎県区間は終点となる。

 一方の支線の起点は、国道35号兼202号の三河内駅前交差点のひとつ南側に位置する三河内駅入口交差点だ。眼前のJR佐世保線の踏切を渡って駅の東側に出て、小森川(こもりがわ)の手前で本線と合流する。佐世保嬉野線の本来のルートはこちらだったと思われるが、交通の円滑化のために踏切をオーバーパスする新ルートを設けたと推測される。

 そして佐世保嬉野線の長崎県区間には、本線から離れた別線があるのも特徴のひとつ。東彼杵郡波佐見町(ひがしそのぎぐんはさみちょう)の村木郷(むらきごう)にある県道107号との交差点から、宿郷(しゅくごう)にある県道4号との交差点まで、本線と並走する直線路がその区間だけ佐世保嬉野線となっている。長崎県に確認したが、今となってはなぜこの区間が唐突に佐世保嬉野線なのかは、不明とのことだ。

【佐賀県】佐世保嬉野線
直線的で走りやすい区間が多い

読み方:させぼうれしのせん
起点所在地:武雄市西川登町大字神六(たけおしにしかわのぼりちょうおおあざじんろく)
起点交差点名:
なし(長崎県との県境)
終点所在地:
嬉野市嬉野町大字下宿乙(うれしのしうれしのまちおおあざしもじゅくおつ)
終点交差点:
嬉野総合支所前
延長(佐賀県内):4.4km
総延長(長崎・佐賀):
20.4km

 長崎県佐世保市から佐賀県嬉野市までをつなぐ佐世保嬉野線の佐賀県区間。佐賀県内の起点は、県境の武雄市西川登町大字神六(たけおしにしかわのぼりちょうおおあざじんろく)。そこから4.4kmで終点の嬉野市嬉野町大字下宿乙(うれしのしうれしのまちおおあざしもじゅくおつ)の嬉野総合支所前交差点となる。総延長20.4kmのうちのおよそ4分の1が佐賀県区間だ。

 佐世保嬉野線は、山や丘、森林などを切り開いて通したようで、長崎県区間も佐賀県区間も町中など一部を除くと、比較的直線的である点が特徴だ。長い直線を大きなRのカーブでつないでいるところが多く、走りやすい道といえる。若干ながら佐賀県区間の方が市街地を抜ける際にカーブが多いようだ。

【熊本県】熊本玉名線
九州で最も延長のある県道1号

読み方:くまもとたまなせん
起点所在地:熊本市中央区南坪井町(くまもとしちゅうおうくみなみつぼいまち)
起点交差点名:
藤崎宮前(ふじさきぐうまえ)
終点所在地:玉名市大倉(たまなしおおくら)
終点交差点:玉名市桃田(たまなしももだ)
総延長:30.5km

 熊本玉名線は、熊本市中央区の藤崎宮前交差点(ふじざきぐうまえこうさてん)から、熊本市の北に位置する玉名市大倉(たまなしおおくら)の玉名市桃田交差点までをつなぐ路線だ。九州の県道1号の中で最も総延長がある。

 熊本玉名線は、ひとつの県内の路線ではあるが、所有と管理が大きくふたつに分かれている点が特徴だ。熊本市区間は政令指定都市である熊本市が担当しており、玉名市区間は熊本県の担当である。

 基本的には1本道で構成されているが、玉名市に向かう途中、熊本市の北西部にある金峰山(きんぼうざん、きんぽうざんとも)などの山岳部を抜ける辺りでは、ところどころに現1号から離れては戻る旧1号区間がいくつか残されている。旧1号の曲がりくねった部分をショートカットする形でより直線的につないで誕生したのが現1号というわけである。熊本市に確認したところ、それら残されている旧1号の延長は、合計すると1.9kmになるという。現道だけだと熊本玉名線の総延長は28.6kmだが、そこに1.9kmが追加されるので、道路台帳上では30.5kmとなる。それら現在も残っている旧1号については、熊本市が運営する地図情報サービスで確認することが可能だ。

【宮崎県】小林えびの高原牧園線
日本初の国立公園を抜ける山道

読み方:こばやしえびのこうげんまきぞのせん
起点所在地:小林市細野(こばやししほその)
起点交差点名:
西町(にしまち)
終点所在地:えびの市末永(えびのしすえなが)
終点交差点:なし(鹿児島県との県境)
延長(宮崎県内):24.1km
総延長(宮崎・鹿児島):35.6km

 宮崎県小林市細野から、えびの市のえびの高原を経由し、鹿児島県霧島市までをつなぐ、総延長35.6kmの路線が小林えびの高原牧園線だ。宮崎県内の延長は24.1kmである。九州内の県道1号の中では、路線名に唯一経由地の入る路線だが、その経由地が市町村名ではない点も特徴的といえるだろう。えびの高原とは、霧島山地の最高峰・韓国岳(からくにだけ)の裾野に広がる標高1200mの高原のことで、日本初の国立公園である。都道府県道1号の中では、このような観光地の名称を入れているのは小林えびの高原牧園線のみである。

 起点は、小林市細野(こばやしほその)において、国道221号と接続する西町交差点(にしまちこうさてん)だ。沿線は緑がとても多く、途中からは住宅もまばらとなり、山中を切り開いた道路となっていく。道中、E10宮崎道の小林IC入口交差点から終点側は、「えびのスカイライン」の愛称がつけられており、進むにつれて標高も上がり、その名の通り山々の稜線が見渡せるようになってくる。そして、小林市とえびの市の市境が近づく頃には右に左にカーブが連続し、本格的な山道に突入。ただしセンターラインのある2車線道路なので圧迫感もなく、比較的走りやすい山道といえるだろう。

 なお2020年5月現在、小林えびの高原牧園線は一部の区間が通行禁止区間のため、鹿児島県まで行くことはできない。理由は、霧島連山は火山帯であり、そのひとつである硫黄山から人体に有害な火山ガスが噴出しているためである。それにより、甑岳(こしきだけ)の登山道入口付近から県道30号との交差点(名称不明)までの約2kmは、車両の通行禁止区間となっている。県道30号との交差点からさらに350mほど小林えびの高原牧園線を進むと、鹿児島県との県境である。

【鹿児島県】小林えびの高原牧園線
温泉地へと誘う紅葉も鮮やかな道

読み方:こばやしえびのこうげんまきぞのせん
起点所在地:霧島市牧園町高千穂(きりしましまきぞのちょうたかちほ)
起点交差点名:
なし(宮崎県との県境)
終点所在地:霧島市牧園町高千穂
終点交差点:霧島温泉丸尾(きりしまおんせんまるお)
延長(鹿児島県内):11.5km
総延長(宮崎・鹿児島):35.6km

 宮崎県小林市細野から鹿児島県霧島市までをつなぐ、小林えびの高原牧園線。鹿児島県区間の延長は11.5kmで、総延長の3分の1にあたる。鹿児島県区間は起点も終点も霧島市牧園町高千穂(きりしましまきぞのちょうたかちほ)にあり、起点は宮崎県との県境、終点は霧島温泉丸尾交差点(きりしまおんせんまるおこうさてん)だ。温泉地へと向かう県道なのである。

 小林えびの高原牧園線の「牧園」(まきぞの)とは、現在は霧島市内に地域名として残る、かつて存在していた町名だ。霧島市は2005年11月7日、国分市(こくぶし)、溝辺町(みぞべちょう)、横川町(よこがわちょう)、霧島町(きりしまちょう)、隼人町(はやとちょう)、福山町(ふくやまちょう)に、牧園町を加えた1市6町が合併して誕生。牧園町は現在の霧島市においては北部に位置し、宮崎県と接していた。

 なお、小林えびの高原牧園線の鹿児島県区間も「えびのスカイライン」の愛称のまま終点まで続く。えびのスカイラインは紅葉も見所として知られている。

【沖縄県】欠番
かつての軍用道路「合衆国一号線」との混同を避けるため

 沖縄県道1号は欠番だ。その理由について沖縄県に確認したところ、太平洋戦争後に米国の統治下に置かれた時代まで遡る話を聞かせてもらった。沖縄に侵攻した米軍がまず実施したのが、軍用車両の通行が可能な幅員を備えた「軍道路」の建設。そして最初に設けられたのが、西海岸南部を走る「合衆国一号線」で、それは徐々に延伸されていった。日本から切り離された沖縄には、1952年(昭和27)4月に琉球政府が設けられ、道路の管理も行うことに。琉球政府時代は、米国にならって右側通行、制限速度の表示などはマイルだったという。

 そして1972年(昭和47)5月15日、27年ぶりに日本に復帰して沖縄県となると、それまで琉球政府が行ってきた道路管理は、日本国政府と沖縄県庁に引き継がれることになった。琉球政府時代は、琉球政府道、市町村道、軍道の3種類の道路があったが、それらは整理され、国道、県道、市町村道の道路体系に改められたのである(そのまま軍道となっている道路もある)。その中で軍道区間と琉球政府道区間を併せ持っていた合衆国一号線は国道58号として指定を受ける。合衆国一号線で使われていたことから同じ番号は使用せず、県道1号を欠番としたそうである。混同してしまうことを避けたようだ。

 ちなみにこの国道58号は、沖縄の日本復帰を象徴するもののひとつとされている。それは、国道58号は海を越えて鹿児島県に起点があるからだ。鹿児島市山下町の、国道10号との中央公民館前交差点を起点として東へ向かい、海に当たってそこで一度終了。次はJAXAのロケット打ち上げ施設があることで知られた種子島を縦断し、さらにその次は奄美大島を通過。そして沖縄本島には北部の国頭村(くにがみそん)に上陸し、西部の海岸沿いを南下して南部の那覇市内の久茂地交差点(くもじこうさてん)で分岐。内陸ルートは明治橋交差点で、海側の那覇西道路は国道332号空港通りと接続してそれぞれ終点となる。国道58号の沖縄県内の延長は146.8km、鹿児島県も含めた総延長は274.9km。洋上を含めると約800kmにおよぶ、唯一無二といっていい国道である。


 都道府県道1号の西日本編をお届けした。西日本の県道1号もさまざまな特徴があることを知っていただけたことと思う。また、県道1号の欠番理由も多岐にわたっていることも、興味深く読んでもらえたのではないだろうか。道には歴史があるのである。

 

【道路法第7条の都道府県に関する6つの条件】 
1.市または人口5000人以上の町(以下、これらを「主要地」という)と、これらと密接な関係にある主要地、港湾法第2条第2項に規定する国際戦略港湾、国際拠点港湾、重要港湾、もしくは地方港湾、漁港漁場整備法第5条に規定する第2種漁港、第3種漁港もしくは飛行場(以下、これらを「主要港」という)、鉄道もしくは軌道の主要な停車場もしくは停留場(以下、これらを「主要停車場」という)または主要な観光地とを連絡する道路
2.主要港とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
3.主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
4.ふたつ以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港または主要停車場とを連絡する道路
5.主要地、主要港、主要停車場または主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、国道または前各号のいずれかに該当する都道府県道とを連絡する道路
6.前各号に掲げるもののほか、地方開発のため特に必要な道路

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