ライフスタイル 「ホットコーヒーが買える自動販売機」の誕生秘話。発祥の地は養老SA!? 

ロングドライブでリフレッシュしたい時、寒い時期にはとくに温かい缶コーヒーが恋しくなるドライバーは少なくないだろう。さまざまな種類の飲料が並ぶ自動販売機でホットが生まれた発端は高速道路SAの「冷めたコーヒー」にあった。今回は、温かい缶コーヒーとホット自動販売機の誕生秘話を紹介する。

2018年12月28日 00:04 掲載

 ロングドライブでリフレッシュしたい時、寒い時期には特に温かい缶コーヒーが恋しくなるドライバーは少なくないだろう。さまざまな種類の飲料が並ぶ自動販売機でホットが生まれた発端は、高速道路SAの「冷めたコーヒー」にあった。

日本独特の自販機文化が形成された経緯とは?

養老SAに1号機のホットが販売できる自動販売機が置かれた

世界初の「自販機で買える温かい缶コーヒー」は養老SAで生まれ、1号機もこちらに設置された。(写真提供:中日本エクシス株式会社)

 温かい缶コーヒーを自動販売機(以下 自販機)で販売するという素晴らしいアイデアを思い付いたのは、ポッカコーポレーション(現ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社)の創業者・谷田利景さん。1970年頃、休憩のために養老SA(岐阜県養老郡)に入った際、売店がとても混んでいて頼んだコーヒーが出てきた時にはすっかり冷めていたことから、「いつでも温かいコーヒーが飲める方法はないか? 缶に詰めて温めてみるのはどうか?」と開発に着手したのが始まりだった。

 1972年に、190g缶入りの本格コーヒー飲料を発売し、翌1973年には自販機メーカー三共電器(現サンデン)と共同で試行錯誤の末、連続して加温&販売が可能な自販機の製造に成功した。その後、温かい缶コーヒーが出てくる自販機は爆発的人気となり、多くの飲料メーカーが缶コーヒーの製造や自販機製造に参入。日本独特の自販機文化を形成するに至っている。

当初は『HOT or COLD』の切り替え式

ポッカサッポロの自動販売機(1970年代後半)

温かい飲み物が出てくる自販機は1973年に登場。コーヒーだけではなく、紅茶やチョコレートドリンクなども販売された。(写真提供:ポッカサッポロ)

 現在、自動販売機の多くは1台の中にホットとコールドが混在している。例えば3列ある自販機の場合、暑い時期は全部コールドだけだが、寒くなって来ると2列がホット、1列がコールド、自販機によっては3列全部がホットの自販機も出てくる。このように、ホットとコールドを1台の自販機内で自在に切り替えられる機種が登場したのは1977年のことである。それまでは、平均気温や利用者の要望などを踏まえて1台まるごとホットまたはコールドいずれかにしか扱えない自販機だった。

自販機が多いのは日本の治安がいいから?

アメリカのSAにあった自動販売機

アメリカのフリーウェイにあるSAの自販機。商品も見えづらく、日本のようにユーザーフレンドリーとは対極にある仕様だ。2018年11月頃に、I-15号線バレーウェルスレストエリア(米国カリフォルニア州)にて撮影。

 海外を旅していると、街中の自販機がとても少ないことに気づく。なぜ海外では自販機があまり広まらないのだろう。たとえばアメリカのフリーウェイにあるSAも同様で、SA自体の数からして少ないがそこに置かれる自販機もコーヒー(カップ)自販機とスナック類の自販機が各1台のみと少ない。しかも、いずれも鉄製の頑丈な柵で囲われており、お金を入れるところと商品を取り出すところだけ開いている。街中でも屋外には自販機は存在せず、ホテルの客室フロアなど屋内の管理された場所に設置されているケースがほとんどだ。

 考えてみれば自販機は「金庫」のようなもの。監視の目が届かない場所では、破壊され、中のお金が盗まれる危険性も十分にある。海外に自販機が少ないのは景観保護の観点からかと思っていたが、それに加えて日本ほどの治安の良さが望めないということも大きな理由なのだろうと、この頑丈に守られた自販機を見て思うのだった。

2018年12月26日(水)雨輝・加藤久美子