7月4日、auの地図情報サービス「EZガイドマップ」の海外版がリリースされた。国内版はすでにリリースされていたためか、auのホームページを見ても、大きく紹介された様子はない。筆者も、ケータイなど無線通信の展示会「ワイヤレスジャパン2008」のauブースを訪れて初めて知った。しかしこれはひょっとしたら、潜在ニーズの高いサービスかもしれないと思うのは筆者だけだろうか。
EZガイドマップとは、レストランや観光スポット情報などが地図にインクルードされたサービス。目的地までのルート案内をするナビゲーション機能は持たず、地図とスポットをひとまとめにケータイにダウンロードして、GPSで取得した現在位置をあわせて表示するというもの。この、地図がケータイにダウンロードできる、というのがミソだ。
通常、ケータイで地図を表示しようとすると、現在地周辺の地図だけがダウンロードされる。そして、表示エリア外に出ると、再び通信で地図情報を取りに行く。したがって、エリアが切り替わるたびにパケット通信代が発生する。しかし、EZガイドマップでは地図情報はケータイに保存されているので、いちいち通信で取りに行くことはない。

EZガイドマップでは、現在位置と目的地を直線で結んで方位を示してくれる
このEZガイドマップの特長が、海外版では大きなメリットとなる。あらかじめ出国前に、日本国内で渡航先の地図をダウンロードしておけば、パケット通信代が高額な海外で地図を通信で取りに行く必要はないので、現地でパケット通信代をかけずに地図を読み出せる。しかも、standaloneGPSという技術で、ケータイがGPS衛星と直接通信するので、位置情報の取得も無料。ケータイを現地でGPS端末のように使うことができるわけだ。この方法なら、かかる費用は国内での地図ダウンロードにかかるパケット通信代と情報料105円〜。現地での利用に関しては無料だ。有料サービスに抵抗のある筆者でも、せいぜい年に数度しかない海外旅行で失敗しないためにかける費用としては、とてつもなく安く感じる。
ただし、国内版ではEZナビウォークなどと連携して、ルート案内もしてくれるが、海外版EZガイドマップではそれができない。現在地と選択したスポットを読み出した地図上で、目的地までの直線距離を線で結んで表示するだけだ。ユーザーは方角を確認しながら、人通りが多くて明るくて、安全そうな道を見極めながら歩くことになる。
しかし、治安情報を加味していないなら、海外でのルート案内はかえって身の危険につながることもあるだろうし、現地でパケット通信代がかかると利用しづらい心理的な障壁もある。筆者が海外版EZガイドマップに感じる優位性は、いつでも好きなだけ無料で使えることに感じるのだ。まったく土地勘の利かない海外では、ちょっと油断すれば自分が今どこにいるかがわからなくなってしまうもの。筆者の場合、新婚旅行で行ったスペインで、ホテルへの帰り方がわからなくなったことがあった。どうもガウディの公園だか建物だかが目印になるようだが、そんなものはそこらじゅうにある。どうにも困って、現地人らしい人に思い切って、カタカナが振られたスペイン語で道を尋ねるものの、実はその人もスペイン語のわからない旅行者。ようやく現地人を見つけたと思ったら、今度は相手のスペイン語の返答がわからない。当時はまだ熱き想いを抱いていたカミさんを前に、ほとんどパニックに陥った。
いまなら、何もカミさんの前でカッコつける必要もないので、案外冷静に現地の人とやり取りできるのかもしれないが、EZガイドマップがあれば、迷う前から常に自分の現在地を確認できるから、そんな事態には陥らなかったかもしれない。
…という可能性を秘めているように感じる海外版EZガイドマップだが、あいにく、まだサービスが開始されたばかりで対応機種が1機種のみ。地図もハワイとグアムしか用意されていない。機種と地図が順調に増えれば、成田空港のロビーで「マップ落とした?」が合言葉になりそうな、そんな予感さえしてしまうのだ。
もちろん、道に迷ったからといって、旅の楽しみが損なわれるとも限らない。迷うのもまた旅情、という向きには筆者はお薦めいたしません。
※auによると、08年9月末まで「情報料無料オタメシキャンペーン」実施中。通信料はかかるが、情報料(105円や315円等)が無料で通常と同じ正規版コンテンツがダウンロードできる。この夏、ハワイ、グアムに渡航予定があるなら要チェックだ。

