パブリックなパーソナルビークル? 英ヒースロー空港の無人交通システム「PRT」

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これぞ未来の乗り物…今年3月にグランドオープンを予定している英ヒースロー空港ターミナル5の隠れた目玉が、「ULTra PRT SYSTEM」(PRT)だ。“Pod”と呼ばれる宇宙船のような4人乗りの小さな車体は、無人の自動運転で旅客を空港まで運ぶ。英ATS社が準備中の新しい公共交通システムだ。


PRTの車両“Pod”
(Photo by Advanced Transport Systems Ltd. www.atsltd.co.uk)

PRTは、空港ターミナル5と駐車場やバスターミナルとの間の約3.5キロの距離を結ぶ。用意されている“Pod”は全部で18台。各“Pod”は、旅客が待つ乗り場まで自律的に走行する。旅客は“Pod”に乗車、車内に設置されているタッチパネル式の案内板で目的地を選択すると、“Pod”は自動で目的地へと向かう。専用道が用意されているが、必ずしも軌道の上を走るのではなく、駐車場などでは仕切りのない場所をセンサーで感知しながら走行する。


すでに架設された専用道を走行する“Pod”
(Photo by Advanced Transport Systems Ltd. www.atsltd.co.uk)

PRTの利用イメージ
(Photo by Advanced Transport Systems Ltd. www.atsltd.co.uk)

英国において、ターミナル5でのPRTの運行は、将来の公共交通システムのモデルケースとして位置づけられている。この点、PRTのシステムは、おそらくトヨタが愛知万博で運行した「ITMS」とほぼ同じと言えるし、列車の無人運行自体がすでに珍しいものではなくなっている。実は、PRTが注目されるのはITSによる自動運転の側面だけではなく、“パーソナル”なところにある。

これまで、公共交通システムは、「大量輸送」「定時運行」を前提とせざるを得なかった。ところが、PRTの場合は、4人乗りという限られた車内空間で、しかも時刻表が存在しない非定時で運行される。“Pod”の台数が限られているので、実際の運行では利用者が“待つ”状況が生じるだろうが、個人にあわせて運行されるという点では“パーソナルビークル”に極めて近いものがある。すなわち、これまで“パーソナルビークル”はマイカーでしかあり得なかったのが、ここに“パブリックなパーソナルビークル”という、新しい概念がPRTによってもたらされたと言えるのだ。

英国の都市部では、非マイカーの流れが強まっている。マイカーの存在意義である“パーソナルビークル”を実現したとも言えるPRTの登場は、英国における自動車の将来像に少なからぬ影響を及ぼしそうだ。

(2008年2月 8日 eJAFMATE編集部 徳永智)

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