第40回

前車に影響する車の動きをチェック!

JAFMate2018年8・9月号掲載

編集部:今回は都市高速道路の右側車線を走っている状況です。合流地点に差し掛かったところ、左前方を走る車が前を走る車の前に車線変更したため、それによって減速した前車に追突しそうになるというものです。合流地点では、合流してくる車を避けて無理な車線変更をする車はいますね。

問題写真

結果写真

長山先生:問題写真を見ると、ポールで区分けされた左側に合流車線があり、タクシーの前方にトラックなど複数の車があり、合流してくるのが見えます。しかも、左側の車線には「右に寄れ」を示す白い矢印の路面標示もあります。これがあると前方で車線が減少するように思えて、よけいに「車線変更をしておかないと」と考えて行動することになるでしょう。

編集部:たしかに。私はこの場所をよく知っていますけど、以前はこのような矢印はありませんでした。合流車との事故を避けるために設置されたのかと思いますが、初めて走る人は車線が減少するのかと思って、合流車がなくても右側に車線変更してしまいそうです。

長山先生:車線が減少する場合は「車線数減少」の警戒標識、一方、今回のように合流してくる車がある場合、「合流交通あり」の警戒標識が手前にあるはずですが、すべてのドライバーが警戒標識をしっかり確認しながら走っているわけではないので、路面の矢印だけ見て「車線が減少するのだろう」と思い込んでしまうでしょう。道路管理者は合流車との事故を防止するために表示したのかと思いますが、正規なものではないのが気になるところです。

編集部:そうですね。慌てて無理な車線変更する車も出てくる可能性がありますから。今回の場合、そんなドライバーの心理を読んでおくことがまず大事なのですね。

長山先生:おっしゃるとおりです。事故を回避するには、直接自分に危険を及ぼす可能性のある車の動静を注視することは重要ですが、その車に影響を及ぼす車の動向を読み取ることも重要です。今回の場合、前車に関係する左前方の車の動向を読み取っておかなければならなかったのです。

編集部:結果的には、前車の減速に対応できれば追突せずに済みますが、左からの合流車に気づいておき、それによって前車が減速することを予測しておけば、余裕をもって減速できますからね。

長山先生:そうです。予測していないとそれだけ急ブレーキを踏むことになり、自分は停止できても後続車は止まれず、追突される危険性があります。危険を予測することは、そういうメリットもあるのです。高速道路の事故で圧倒的に多いのが「追突」です。追突の原因には「脇見」と「動静不注視」によるものが多くなります。このような合流地点では緊張が求められるので脇見は起こしにくいものですが、前方に見えるモノレールに目を奪われる可能性もあります。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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