第38回

最も危険な要因は「車道にはみ出した電柱」

JAFMate2018年6月号掲載

編集部:今回は夜間住宅街の交差点を通過する状況で、右側通行してきた自転車と正面衝突しそうになるというケースでした。右側通行に加えて無灯火と、自転車側の違反度がかなり高いケースです。しかも今回の場合、対向車は来ていますし、右側の道路から曲がってくる車もいて、そっちに意識がいってしまいそうですね。

問題写真

結果写真

長山先生:そうですね。夜間、このような道路状況で運転者がまず認知するのは、対向車のヘッドライトではないでしょうか。とくに右の脇道から左折してきた車のヘッドライトは上向きライトのように眩しく見えるので、曲がってくる際、ヘッドライトが直接目に入り視覚障害の原因になると考えられます。

編集部:たしかにそうですね。タイミング的に左折車のライトに眩惑させられる危険性がありますね。

長山先生:おっしゃるとおり左折車のライトに注意が必要ですが、道路照明に少し偏りがあるのも気になります。右側の電柱には照明があるうえ、左折車や対向直進車のヘッドライトの影響で路面はかなり明るく照らされていますが、よく見ると道路の左側には照明がなく、右側に比べて少し暗めになっています。明るい部分と暗い部分の差があると、暗い部分の自転車や歩行者が見えづらくなるので注意が必要です。

編集部:なるほど。それでなくても電柱が死角をつくっているので、ライトを点けていない自転車は見落とす可能性がかなり高そうですね。

長山先生:電柱が車道にはみ出したところに設置されている点は最も気になる点です。左側の歩行者がもう少し前を歩いていれば、こちらが近づく前に電柱の右側を通ろうとして右側にはみ出してくる可能性があります。何らかの理由があってこの歩行者は道路の左側を歩いていると思いますが、道路の右側には歩道がきっちりと整備されガードレールもあるので、安全を考えたら右側の歩道内を歩いたほうがいいですね。

編集部:たしかにそうですね。自宅や目的地が道路の左側にあれば、左側を歩くことが多いでしょうけど、片側1車線の狭い道なので、夜間は見落とされたりして接触事故などの可能性もありますからね。しかし、問題の場所は歩道がないうえ、電柱や標識のポールが路肩にあって車道を歩かざるを得ない酷い状況と言えますね。

長山先生:おっしゃるとおりです。電柱が車道に出っ張って設置されていることが大きな危険要因ですので、そのような条件を道路管理者は取り除き、良き運転環境を整備しておかなければなりません。改めて自宅周辺など電柱の設置場所を確認すると、歩道がある道路では一般的に電柱は歩道上に設置されており、路側帯がある所では路側帯に設置されているようです。新しく整備された住宅街では電柱は路側帯の内側に設置されていて、歩行者はそれほど車道にはみ出すことはなさそうでしたが、非整備の道路になると電柱は車道にあって歩行者はもちろん、自動車もそれを避けるのに苦労するような所がありますね。

編集部:たしかに、区画が古い道路だと歩道がなかったり、路側帯が狭くて歩きにくい所が少なくないですね。でも、道路環境が悪ければ悪いほど、自転車側も交通ルールを守って慎重に走ることが重要になりますね。今回の場合、ライトを点けて左側通行をしていれば、事故の危険性はかなり低くなるでしょうから。

長山先生:もちろん、自転車のルール違反は事故原因として軽視できません。今回のケースでは「自転車の右側通行」が大きな問題となります。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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