第33回

夜間のカーブミラーで、ハットヒヤリ?

JAFMate 2017年12月号掲載

編集部:今回は夜間コンビニの前を通過する際、対向車線に止まっていた車の陰から自転車が出てきて、ぶつかりそうになるという事例でした。対向車がライトを点けたまま停止していると、ライトが眩しくて車の周囲が見えづらくなりますね。

問題写真

結果写真

長山先生:そうですね。車のライトの光は強いので、ライトのほうを見ると眩惑されて、その後方から来る自転車や歩行者はかなり見えづらくなります。路肩に駐車したり、停止する際は、ハザードランプなどを点灯させ、ヘッドライトは消灯してほしいものです。

編集部:でも、自転車に乗る人はドライバーから見えづらくなっているとは、まったく思ってないですよね。

長山先生:おっしゃるとおりで、自転車からは車のライトは明るく感じるため、まさか自分が見落とされているとは思ってないでしょう。それが危険なのです。状況は違いますが、夜間私も自転車を見落としてしまい、危うく事故を起こしそうになったことがあります。21時頃だったでしょうか。勤務先からの帰路、自宅近くの小さな交差点に差し掛かったときのことです(図参照)。カーブミラーに左から来る車のヘッドライトが映ったので、それが通過するのを待って発進した時に、初めて車の後ろを走ってきた自転車に気づいて「ハットヒヤリ」の体験をしたものでした。

編集部:ハットヒヤリですか?? ヒヤリハットではなく。

長山先生:そうです。私は関西電力や本田技研工業などいくつかの企業から依頼を受けて、事故になりかけた事例などの分析を行ってきましたが、実際に危険を体験した時の心理状態は、事故にならないまでも、ハッと危険に気付いて、危なかったなと汗をかかないまでもヒヤッとするものなので、関西電力で使われている「ハットヒヤリ」という用語を用いています。

編集部:なるほど。時間の流れでいうと、たしかに"ハットヒヤリ"ですね。ちなみに、自転車はライトを点けていたのですか?

長山先生:自転車がライトを点けていたかは定かではありませんが、カーブミラーには自動車のヘッドライトしか映っていませんでした。自転車のライトの光量は小さいですし、ヘッドライトを点けた車の後ろから走ってくるのですから、自転車がたとえライトを点けていても、その存在を確認できなかったと思います。

編集部:たしかに今回のケースと同じで、後ろから来る自転車はライトの有無にかかわらず、車のヘッドライトでかき消されてしまう気がしますね。しかもミラー越しですから。昼間ならともかく、夜間ミラー越しに安全確認するのはかなり酷ですね。

長山先生:昼間の明るい時なら、ミラーで左から来る車が映っていれば、その車が目の前を通過するときに後ろから車などが来ていないかを確認します。その時、自転車が目に入れば、自転車の通過を待ってから進行します。そもそも、その道路は夜間ほとんど通過する自動車はいないので、「車が1台通過したら大丈夫」と思い込んで、それ以上安全確認をする必要性を感じなかったことも確かです。でも、それ以降、夜間ミラーで確認してから発進する際、後ろを走ってくる自転車は見落としやすいことを肝に銘じて運転するようになりました。

編集部:ヒヤッとした度合いが強いほど記憶に残り、それ以後、注意するようになるのかもしれませんね。これも危険予知なのでしょうか?

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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