第31回

免許を持っていない人は、事故に遭いやすい!

JAFMate 2017年10月号掲載

長山先生:パーソントリップ調査(パーソン=人、トリップ=動き)とは、「いつ」「どこから」「どこまで」「どのような人が」「どのような目的で」「どのような交通手段を利用して」移動したのかについて調査し、人の1日のすべての動きをとらえるものです。

編集部:それは細かいですね。

長山先生:本来は一定の地域における人の動きを調べ、電車やバス、乗用車など、どの交通機関がどのような人に使われているのか実態を把握する調査で、交通実態調査とも言われるものです。これを利用して調べたのが、図1と図2になります。図1が64歳以下、図2が65歳以上で、免許保有者と非保有者の各10万人が1時間自転車で移動した場合と歩いて移動した場合の死傷者数を示したものです。

図1 免許有無別10万人1時間移動中死傷者数 64歳以下

図2 免許有無別10万人1時間移動中死傷者数 65歳以上

編集部:いずれも免許を持っていない人のほうが多いですね。とくに自転車の場合、圧倒的ですね。

長山先生:おっしゃるとおりで、免許非保有者が保有者と比べて、交通事故での死傷者が男女ともに極端に多いことがわかります。自転車の場合、64歳以下では男性が4.7倍、女性で6.6倍、65歳以上では男性で7.9倍、女性で4.2倍も多くなります。

編集部:私が免許を取ってから無茶な信号無視をしなくなったのと同じで、免許を取ったことで事故につながる危険な行動がわかり、それをしなくなるのですね。

長山先生:そうですね。運転免許を持つ人は、少なくとも交通ルールに従って行動をしないといけないという基本的態度を持っていて、どのような場合にはどのように行動することが正しいかという認識を持っているのに対して、免許を持っていない人は、そのような基本的な態度を持っていないですし、間違った行動をとりやすく、事故に遭遇する確率が高くなるわけです。また、さらに重要な点もあります。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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