第31回

自転車は、赤信号も一時停止も関係ない?

JAFMate 2017年10月号掲載

編集部:今回は左の路地から車道に左折してきた自転車が危険な対象でした。自転車に乗る人の中には、このように車道に出るとき、減速しないで膨らんで曲がってくる人が少なくないですね。

問題写真

結果写真

長山先生:そうですね。今回のように狭い路地から広めの道路に出る場合、たいてい狭い路地には一時停止の規制がかかっているはずで、軽車両の自転車はそれを守らなければいけませんが、自転車を運転する人たちの多くは交通ルールをあまり意識しないで乗っています。信号のない交差点では、一時停止の標識や停止線があっても、どのような行動を取るべきか考えることなく平気で進行してしまいます。

編集部:私も小・中学生の頃はよく自転車に乗っていましたが、一時停止は守っていなかった気がします。基本信号は守っていましたが、交通量が少なく車が来ていないときは時々信号無視もしたかもしれません。

長山先生:大きな交差点では比較的信号を守っていますが、小さな交差点では信号を守らない人が少なくありません。ペダルをひと漕ぎすれば横断できるので、赤信号でも渡ってしまおうと考えるようです。

編集部:そうだったかもしれません。免許を取って自分で車を運転するようになってから、無茶な信号無視はしなくなりましたね。

長山先生:自転車運転者はルールを充分に守ることもなく自転車を利用していますが、それとともにどのような場面に危険があり、どのようにすれば危険が生じて事故になるかについての認識のないまま運転しています。それが免許を取って車を運転するようになると、わかるようになるのです。以前、自転車運転者や歩行者が運転免許を保有しているかどうかによって、どの程度事故を起こしやすいか分析したことがあります。それは大阪府警交通部交通安全調査室長との共同研究で、府警の平成6年の交通事故データと国土交通省が実施したパーソントリップ調査データ(平成5年)に基づいて、免許保有者と非保有者が同じ時間移動した場合にどれだけ事故の可能性があるかを明らかにしたものです。

編集部:パーソントリップ調査ですか? トリップと聞くと旅行をイメージしてしまいますが、「移動」という意味なのですね。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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