第28回

左折前の“幅寄せ”で安全性がアップ!

JAFMate 2017年6月号掲載

編集部:今回は交通量の多い幹線道路で左折しようとしている状況です。左ドアミラーで安全確認をしてから曲がろうとしたところ、側方からバイクがすり抜けてきて巻き込みそうになりました。ミラーにはバイクは映っていなかったので、ミラーの死角に入っていたということですね。

問題写真

結果写真

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長山先生:そうですね。自動車学校では、技能教習の運転教本の中でミラーに映る部分と映らない部分を教えています。最近ではミラーに映らない部分にバイクなどを置いて、頭を回して直接目視して確かめることの必要性を実体験させています。問題写真のミラーには映っていなかったので、バイクはこの死角部分を走行していたことになります。

編集部:私も何度か経験していますが、ミラーの死角は意外と大きいですよね。とくに相手が車体の小さなバイクですと、完全に隠れてしまう可能性が高いですし。

長山先生:そうですね。実際に運転していて側方の死角に入っている四輪・二輪などを見落としてヒヤッとするような経験は、多くの方が体験していると思います。また、このような危険性は左折時だけでなく、進路変更の際、左右に車線を変える場合にも同様に生じることを認識しておかなければなりません。

編集部:高速道路で合流するときにもヒヤッとしたことがあります。本線を走ってきた車がちょうどミラーの死角に入り続けていたようで、いざ合流しようとしたら真横に車がいて危なかったです。目視しなかったのがいけないのですけど、誌面で紹介している「死角を確認する補助システム」があれば、よかったかもしれません。

長山先生:私はそのようなシステムが付いた車に乗ったことがないので、死角部分の車がミラーの中にどのように映るのかピンと来ませんが、多くのメーカーが同じ機能のものを装備し始めているようですね。

編集部:そのようです。マツダのCMでも紹介していますが、国内・海外メーカーを問わず、採用車種が増えているようです。誌面の写真はトヨタの「ブラインドスポットモニター」で、死角部分に車両が併走している場合、ドアミラーにオレンジ色のインジケーターが点灯し、さらにその状態でウインカーを操作するとインジケーターが点滅して注意を促すようになっています。メーカーによって車両を検知する範囲は異なるようですが、トヨタの車に乗った印象では割と広めになっていました。

長山先生:ドアミラーの死角は運転者の体格やシートポジション、ミラーの調整の仕方で変わってくるので、安全マージンを取って広めにしているのでしょうね。

編集部:そのようです。ただ、自動車メーカーのホームページなどを見ると、このような安全装備は進路変更時に死角に入った四輪車の存在を知らせてくれるもので、小型の二輪車や自転車などは検知できないこともあるそうです。あくまでもドライバーの安全確認を補助するもので、やはり目視はしないといけないようです。

長山先生:もちろん目視は重要ですね。ただし、左折時にはもっと大事なことがあります。左側への幅寄せです。

編集部:“幅寄せ”ですか?  幅寄せと聞くと、ちょっと悪いイメージがありますが、バイクや自転車が車の左側に入らないように車を寄せることですね。教習所でみっちり教わった覚えがありますが、実際の道路でちゃんと実践しているドライバーは少ないような気がします。

長山先生:たしかに実践しているドライバーは少ないですが、これは道路交通法34条第1項で「左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつできる限り道路の左側端に沿って徐行しなければならない」とされています。

編集部:道交法で決まっているルールなのですね。では、これを実践していないと、取り締まりの対象になるのでしょうか?

長山先生:“できる限り”という文言なので、それをどう判断するのか難しそうですが、左折巻き込み事故になりかねないほど明らかに左側を空けたまま左折すれば、道交法違反に問われるかもしれません。

編集部:逆に言えば、“左折時に左に寄せる”のは、それほど大事なことなのですね。

長山先生:そのとおりです。左に寄せることは、左側に二輪車や自転車が入る余地をなくすだけでなく、後続する車両に左折する意思を明確に伝える目的もあります。これをしっかり実践すれば、左折巻き込み事故はかなり減らすことができるでしょう。今回の結果写真でも、左側方をバイクが通過して来ているのですから、あらかじめ左に幅寄せしていなかったことになります。

編集部:幅寄せをする際にすでに死角部分にバイクがいたり、ある程度幅寄せしても、狭い隙間をバイクや自転車が無理にすり抜けてくることがあります。そんなときはどうしたらいいのでしょう?

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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