第24回

「脇見」に注意すれば、追突事故は半減?

JAFMate 2017年1月号掲載

長山先生:おっしゃるとおり、交通事故を事故類型別にみると「追突」が195,105件ともっとも多くなっています。2位は「出会い頭」で120,245件、3位は「右折時衝突」で42,216件となっています(2015年データ)。前車に追従して走る場合にもっとも注意しなければならないのが「追突」で、道路が交差する場所での注意ポイントは交差道路からの車両(自転車も含む)との「出会い頭衝突」なのです。

編集部:追突事故の原因は、やはり「車間距離」になるのでしょうか?

長山先生:いいえ、「車間距離」も原因の1つですが、圧倒的に多いのは「脇見」で107,890件、次に「動静不注視」が46,306件と続きます(2015年データ)。追突事故を起こさないために注意しなければならないのは「脇見」なのです。追突事故195,105件のうち脇見が107,890件なので、脇見が追突事故全体の約55%を占めることになります。

編集部:脇見に注意すれば、追突事故は半減できる計算ですね。そういえば、「脇見」は長山先生の研究テーマで、「脇見運転」に対しても長山先生ならではの心理学的な解釈がありましたね。

長山先生:そうです。脇見運転を辞書で見ると「他のことに気を取られた状態で車両などを運転すること。とくに前方から視線を外して車を運転すること」と書かれていますが、私は脇見とは「見るべき方向以外に目をやること」を意味し、 「今の運転に最も必要な対象・事象・状況以外のことに目をやること」が脇見運転だと考えています。

編集部:長山先生の解釈は安全に運転するためのポイントを踏まえた、より具体的なものですね。

長山先生:脇見は現象としては目線を外すことではありますが、心理学の立場で脇見の事故を分析すると、目線の背後には意識の問題があります。運転以外のことに意識・心が向き、「気がとられて」目線がそちらに向くことなのです。典型的な脇見の一例を挙げてみましょう。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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