第24回

「急ブレーキの連鎖反応の遅れ」で追突!

JAFMate 2017年1月号掲載

長山先生:数台先の車が追突を防ぐために急ブレーキを踏んだところ、その後ろの車は気付いて急ブレーキを踏み、その車は何とか止まれたが、さらに後ろの車は急ブレーキを踏んだものの間に合わず、追突してしまうというものです。

編集部:後ろの車になればなるほど、どんどん車間が詰まって止まり切れず、追突してしまうようですね。

長山先生:そうです。前車のブレーキに対して後続車が連鎖反応でブレーキを踏みますが、ブレーキに気付いた時の車間距離が次々と短くなって、最後の車で追突してしまうのです。最初から短い車間距離で走っている車が何台も続いていると、次々と多重追突事故になってしまうわけです。でも、1台でも十分な車間距離を取っていると、それが緩衝剤になってその後の追突が防げます。車間距離の取り方はその人の事故防止の運転センス(危険予知能力)になりますが、追突事故を避けるには、車間距離を短くして走ることはぜひとも避けなければなりません。

編集部:ただ、具体的に車間距離はどれくらい取ればいいのか、意外と分からないですよね。高速道路では「時速100kmで100m」なんて言われていますが、そんなに車間距離を空けたらすぐ車に割り込まれてしまい、現実的ではないかと。

長山先生:たしかにそうですね。外国では「2秒の間隔」を空けた運転が推奨されています。前車の最後尾が通過した位置(道路上の白線など)に自分の車の先端が達するまでの時間を2秒間取るものです。時速100kmなら約56mになるので、日本よりだいぶ現実的ですが、個人的にはそれでも十分すぎる車間距離のように思えますね。

編集部:そうですか?  長山先生なら余裕のある車間距離で走っていそうですが、わりと一般ドライバーの感覚に近いのですね。

長山先生:決して交通量の多い高速道路でよく見かけるような短い車間距離を推奨しているわけではありませんが、人の反応時間は体調や意識レベルでかなり変わってくるので、しっかり前を向いて運転に集中している状態なら、もう少し短い車間距離でも対応できると思うからです。逆に前を見ていても、ボーッと意識レベルが低い状態で運転していれば、たとえ100m車間距離を取っていても、前車のブレーキへの対応も遅れて追突しかねません。

編集部:推奨されている車間距離は、そんな反応時間のバラつきや個人差も考慮した余裕のある目安なのでしょうね。追突事故は短い車間距離や注意の欠如など、追突する側に主な原因がありますが、ブレーキの踏み方など追突される側にも注意すべき点はありますよね。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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