第24回

交差点より予測しづらい施設への左折。

JAFMate 2017年1月号掲載

編集部:今回は左車線に車線変更しようとしている状況です。左側のミラーを見ながら車線変更したところ、2台先を走る車が店舗に左折しようと減速したため、その影響で減速した前の車に追突しそうになる、というものです。私も車線変更の際にミラーばかり見ていて、前車の減速に気づくのが遅れてヒヤッとしたことがあります。

問題写真

結果写真

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長山先生:おっしゃるとおり、よくあるケースです。問題の場面をよく見ると、左ドアミラーに映る四輪車の横に、明るい二輪車のライトらしきものが見えるので、それが気になって見てしまうおそれもあります。

編集部:たしかに、バイクの速度は速いことが多いですし、ミラーでは速度を見誤る可能性がありますね。

長山先生:そうです。二輪車ですと猛烈な速度で近づく危険があるので、気になってじっと見てしまう可能性があります。しかし「じっ」と見ることは「脇見」の原因になります。

編集部:安全を確かめるには「じっと見ること」が重要な気がしますけど、そうすると脇見になってしまうのですね。

長山先生:そうです。後ほど詳しく説明しますが、じっと見るということは、それだけ長い時間その対象を見てしまい、その間、前方を見ていないことになるので、危険な「脇見」になってしまうのです。

編集部:なるほど。ちなみに、今回のように左折車が原因で追突事故になるケースは多いのでしょうか?

長山先生:これまで数多くの事故事例分析を行ってきましたが、左折車両があってそれが追突事故の誘因となったケースをかなり見てきました。それは国道や県道沿いのスーパーやコンビニなどの買い物施設、レストラン、食堂などの食事関連施設、ガソリンスタンドなどの運転関連施設が多い場所です。

編集部:交差点より、そのような施設へ左折する車との事故が多いのですか?

長山先生:そうですね。交差点でしたら、かなり手前から交差点があることに気づき、そこでは左折車があることを想像できますが、施設に入ろうとする左折車の存在は必ずしも予測していないので、気づくのが遅れることになります。特に植え込みや並木などの植樹帯が車道に沿ってある道路では、施設につながる入り口が見えづらく、そこへ入ろうとする車の存在に気づきにくいものです。

編集部:たしかにありますね、そういう場所が。車が左折するのを見て、初めて駐車場の入り口だと分かったことがありました。看板がなかったり、あっても目立たない施設などは、本当に分かりませんね。

長山先生:しかも、そのような施設への出入口は必ずしも広くなく、左折車はスムーズに曲がれずにもたつく場合もあり、後続車から追突される原因となります。

編集部:たとえ入り口が広くても、歩行者や自転車がいることで左折車が一時停止することもありますね。

長山先生:そうです。後続車のドライバーが歩行者や自転車の存在を予測せず、「左折車はすぐ曲がるだろう」と安易に考えていると、急ブレーキを踏むことになります。施設以外でも、目立たない路地などに左折する際にも追突事故の危険性があります。以前、路地を曲がろうとした左折車が原因になった追突事故を目撃したことがあります。

編集部:長山先生が現場にいて見たのですか?  

長山先生:追突した車の後方を走っていました。国道1号線から自宅がある住宅街に入る場所でのことでした。3台先の車が左折することで、その後ろの車が急ブレーキを踏み、3台目の車が追突する現場に遭遇したことがあります。

編集部:長山先生は追突せずに済んだのですね。  

長山先生:私の車は少し車間距離を取っていて、同じように左折するのでスピードも落としていました。また、前の車が追突事故を起こす可能性も予測していたので問題なく停止できました。でも、最初の左折車は自分の車が原因で事故になったことは全然感知していませんでしたので、我関せずで行ってしまいました。

編集部:事故の原因を作っておきながら、なんとも酷い話ですが、やはり車間が短かったり、前方への注意が十分でなかったために追突してしまったのでしょうね?

長山先生:追突事故の事例分析をすると、次のような傾向が認められます。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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