第19回

左車線こそ、Uターン車に注意が必要

JAFMate 2016年7月号掲載

編集部:今回は交差点直進時に対向車がUターンして曲がり切れずに停止したため、衝突しそうになるというものです。1台目の対向車が右折していると、つい「2台目も右折だろう」と思い込んでしまいますね。

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長山先生:そうですね。右折に比べるとUターンはあまり見られない運転行動なので、「想定外」となりがちです。特に私が住む大阪では、Uターンができる交差点が少ないので、交差点で対向車がUターンすること自体、かなり特異な印象です。

編集部:大阪ではUターン禁止の交差点が多いのですか?  東京でも交通量の多い幹線道路などはUターン禁止になっている交差点が多いですが、Uターン可能な交差点も少なくないですね。

長山先生:交通規制については各都道府県の公安委員会が地域の特性などを考えて決めているので、場所によって違うのでしょう。以前、Uターンによる事故がどのような場所で起きているのか調べた際、「交差点」では1,892件発生していたのに対して、直線道路などの「単路」は2,681件発生と、「単路」のほうが約1.4倍多く起きていました。これもUターン禁止の交差点が多いためかもしれませんね。

編集部:長山先生のようにUターン禁止の交差点が多い地域に住む人には、今回の問題は難しかったかもしれませんね。

長山先生:そうだと思います。交差点までの距離も離れているので、車体や前輪の向きもよく見えないため、よりUターンの可能性が予測しづらかったのではないでしょうか。ただ、どんな地域に住んでいてもUターンできる交差点は存在するので、右折途中や右折待ちの車がある交差点を通過する際は、右折車の中にUターン車が混入していることを考えに入れる必要があります。

編集部:誌面でも触れていますが、たとえUターンでなくても、曲がった先の横断歩道に歩行者や自転車がいれば、右折車が横断歩道の手前で停止する可能性があるので、その点にも注意が必要ですね。

長山先生:そうです。特に走行している車線が左側の車線なので、走行位置の関係からUターン車が1回で転回できずに停止したり、曲がり切れず切り返しのためにバックしたりすると危険が及ぶことを認識しておかなければなりません。

編集部:なるほど。走っている車線によって注意すべき点も変わってくるのですね。

長山先生:そのとおりです。今回のようなUターン以外でも、左車線の場合、道路の左側に路地や駐車場があれば、そこから車が出てきたとき、直接危険が及びます。また、路肩を走る自転車がふらついた場合なども、左車線を走っていれば、すぐに影響してくるので注意が必要です。なお、結果の場面で気になるのは、曲がり切れずに停止している車の動きです。バックランプが点灯しているので、切り返すため、このままバックしてくる可能性があります。

編集部:直進車がすぐ近くにいるのにバックしてくるでしょうか?

長山先生:車体が斜めになっているので、ドアミラーやルームミラーだけで安全確認すると、こちらの車を見落としている可能性があります。右側の車が通過したからと、自分も右側車線に進路変更して通過しようとするとバックしてきた車と衝突する危険が生じます。

編集部:たしかに、Uターンしたものの曲がり切れないと焦るので、慌てて安全確認がおろそかになりそうですね。

長山先生:まさにそのとおりで、慌てるといつもできている安全確認も不十分になるので、Uターン車が不用意な動きをする可能性が高くなります。Uターン車にバックする空間を作って先に行かすことが必要です。

編集部:しかし、そもそも今回のような片側2車線の道路で、Uターンをしようと思うこと自体が無理な気がしますが……。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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