第17回

青信号に従っていても起きる交差点事故

JAFMate 2016年5月号掲載

編集部:今回は住宅街の交差点を渡ろうとしている歩行者側からの問題です。手前から斜め横断する動きになりますが、よくあるケースです。でも、青信号で渡っていて、車に轢かれそうになるなんて、想定外ですね。

問題写真

結果写真

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長山先生:そこが今回の問題のポイントで、横断歩道を青信号に従って横断していれば歩行者の安全も確保されていると思いがちですが、残念ながら歩行者の安全が完全に守られているとは言えません。歩行者用信号が青でも、同じ向きの車用信号も青なので、青信号で右左折してくる車のドライバーが歩行者を見落としてはねたり、接触することがあるからです。

編集部:それが今回のケースですね。

長山先生:そうです。今回のように歩行者が交差点の左側を横断する場合、右前方から右折してくる車、さらに右後方から左折してくる車との関係が問題です。今回とは逆に交差点の右側を横断する場合、左前方から左折してくる車と左後方から右折してくる車に注意する必要があります。

編集部:要するに、交差点を渡る際は横断歩道上で絡む可能性がある右左折してくる車に注意しておく必要があるということですね。でも、今回のように正面から曲がってくる車は見えますが、後方から曲がってくる車に注意するのは難しいですね。

長山先生:そのとおりで、右前方あるいは左前方から右左折する車は視界に入りやすいので、歩行者としては対処しやすいと考えられますが、右後方または左後方から来る車については、視界に入りづらいうえ、その存在を考えに入れて横断している人は少ないので、よけいにドライバーのミスが事故に直結してしまいます。

編集部:逆に今回のように正面から曲がってくる車はお互いに視界に入りやすいぶん、まさかドライバーから見落とされているとは思わないかもしれません。

長山先生:そうですね。そこが落とし穴と言えます。高齢者のように足元を気にして下を向いて横断している人は、曲がってくる車に気づかない可能性がありますが、正常に前方に目を向けて横断している歩行者には、車の存在は視界に入って気づいているはずです。しかし、問題は車のドライバーも歩行者の存在に気づいているかどうかです。両者が気づき、相手の行動に適した行動を自分も取らなければ事故になってしまいます。

編集部:なるほど。自分が気づいているからと言って、必ずしも相手も気づいているとは限らないということですね。でも、今回のように車にはピラーの死角があることを歩行者で知っている人は少ないでしょうね。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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