第16回

人は急ぐと何をするか分からない!?

JAFMate 2016年4月号掲載

編集部:今回は朝の通勤時間帯に片側1車線の道を走っている状況です。渋滞で停止している対向車の間から歩行者が飛び出してくるケースです。横断歩道でない所で車の陰から急に飛び出されたら、ドライバーは対処できませんね。

問題写真

結果写真

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長山先生:そうですね。問題の場面で停車車両の間に人の顔が見えていますが、背景との関係もあって見えづらいので、運転しながらこれに気づくのは難しいかもしれませんね。ただ、今回のように停止中の車の陰から人が横断してくる状況は、一般的にとてもよく遭遇する場面で、ドライバーとしては注意して運転しなければならない状況です。

編集部:私も同じような渡り方をしてしまったことがあります。つい最短距離で渡ろうと、横断歩道を使わずに車の間から渡っていました。

長山先生:人は急いだ状況の下ではかなり危険な行動をとってしまいます。特に朝の通勤時間帯は人は急いでいるので、何をするかしれません。ドライバーはそのことを十分認識しておく必要があります。

編集部:実際に人の顔や頭が見えるかどうかはともかく、「車の陰から飛び出す歩行者がいるかもしれない」と思っているだけで、すばやく対処できますね。

長山先生:そうです。前回のときに触れた「知らないことほど危険なことはない」という言葉どおり、状況に合わせてどのような危険があるかをよく知って、よく考えて運転する必要があります。今回のような朝の通勤時間帯では、自動車はもちろん、歩行者・自転車も急いでいるので、かなり危険な行動を取りかねず、渋滞車両の間を無理して渡ろうとすることもある点を覚えておきましょう。

編集部:状況に合わせた危険というと、天気も関係ありそうですね。雨だったら、止まりづらいので、そのぶん車間距離を取らなければいけないとか。

長山先生:もちろんそうですが、路面の滑りやすさ以外にも注意すべき点があります。たとえば、雨が降ればワイパーを使いますが、ワイパーで拭き取れる部分は限られるので、視野が狭まります。それに加えて歩行者も傘を差しているので、前の状況が良く見えない状態で歩いています。お互いに見えづらい状況であることをしっかり認識する必要があります。

編集部:なるほど。滑りやすさだけが雨天時の危険じゃないのですね。

長山先生:そうです。また、天候以外には乗車人数による危険もあります。1人で運転しているときと、家族など人を多く乗せているときでは危険度は違いますから。

編集部:車が重くなり、そのぶん止まりづらくなりますね。

長山先生:止まりづらくなるのに加えて、車重が重くなるとカーブでは遠心力が強く働き、外側に膨らんで路外に逸脱したり、ガードレールに接触してハンドルを取られたりする危険性もあります。

編集部:走る場所によって、いろいろな危険があるのですね。

長山先生:事故形態も道路によって特徴があり、広い道路では追突したり追突されることが多いのに対して、中程度の幅員や狭い道路では出会い頭事故が圧倒的に多くなります。また、横断歩道も一見安全そうですが、実は横断者との事故が多く発生しているのです。ちなみに、横断歩道に近づく際のルールは把握していますか?

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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