第14回

米国では、ルールを守ることが市民の責務?

JAFMate 2016年1・2月号掲載

長山先生:そのとおりです。交通ルールの基になる道路交通法は「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的」と定められています。

編集部:言わんとしていることは分かりますが、堅い表現ですね。

長山先生:法律なので、どうしても難解な文章になります。そこで、交通に参加する人が従わなければならない法規を分かりやすい文章で示したものとして『交通の教則』(※)があります。※2012年4月からは『わかる 身につく 交通教本』

編集部:免許の更新時にもらう、あの冊子ですね。

長山先生:そうです。『交通の教則』では、以下のように分かりやすい文章で書かれています。「道路は、多数の人や車が通行するところです。運転者や歩行者がひとりでも自分勝手に通行すると、交通が混乱したり、交通事故が起きたりします。また、自分だけはよくても、ほかの人に迷惑を掛けたりすることがあります。交通規則は、このようなことから、みんなが道路を安全、円滑に通行するうえで守るべき共通の約束ごととして決められているものです。言い換えれば、交通規則を守ることは、社会人としての基本的な責務なのです」

編集部:たしかにそうですけど、“社会人としての基本的な責務”という表現はちょっと大げさな感じですね。

長山先生:初めて聞くと大げさに思えるかもしれませんが、これが安全でスムーズな交通を可能にする原点で、外国でも同じような表現がされています。米国の交通安全教育の教科書には「良き交通市民としては、われわれの交通システムを安全で、効率よく機能できるようにするための個々人の責任がある」と書かれています。ルールを守り違反を起こさないことは、交通システムを正常に保つためのすべての市民(Citizen)の責任であると、子供の頃から教えているのです。

編集部:子供の頃から教えるとは、ルールを守ることをとても重要視しているのですね。

長山先生:そうです。ドイツの交通規則には「交通参加者は他者を傷つけたり、脅威を与えたり、妨げたり、煩わしたりするような行動をとってはならない」と、さらに厳しい表現で書かれています。要するに「私たちは事故を起こすことはもちろん許されないし、ルールに従わないで人様に迷惑をかけるようなことは許されません」と言うことです。

編集部:いかにもドイツらしい表現ですね。以前からドイツのアウトバーンを走りたいと思っていますが、ドイツで違反をしたら、たいへんなことになりそうですね。

長山先生:かなり昔の話ですが、そのアウトバーンで捕まったことがあります。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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