第14回

駐輪の無秩序さが危険を生み出す

JAFMate 2016年1・2月号掲載

編集部:たしかに半端じゃない数ですね、ここの自転車は。

長山先生:自転車の止め方があまりに無秩序で驚きます。自転車でスーパーに買い物に来る人が多いためと思いますが、最近は駐輪場や道路上に設置された駐輪用のスタンドなどが整備され、道路がすっきりしている地域が多いものですが、このスーパーは未整備なのでしょう。

編集部:自転車が道路にはみ出しているため、小学生が車道に出ざるを得ず、危険ですね。

長山先生:歩行者だけでなく、自転車が通行するべき空間も自転車によって侵されてしまっています。公共の空間である道路がこのように無秩序になると、歩行者や自転車、自動車など交通参加者の行動を不自由にし、不快なことにし、危険発生の誘因ともなります。

編集部:それが今回の事例と言えますね。この商店街では当たり前の光景なのかもしれませんが、小学生が道路にはみ出しながら歩き、右側通行の自転車がそれを避けてさらにはみ出してくるなんて、道路環境としてかなり問題がありますね。車の違法駐車は取り締まりの対象になりますが、自転車については免許制度がないせいか、取り締まりが行われませんね。

長山先生:駅前の不法駐輪などは撤去されますが、それは市区町村などの行政が行うのであって、警察官が取り締まることはないですね。そもそも道路交通法には自転車の駐車に当たる条項は見当たりません。『交通の教則』の基になる交通の方法に関する教則には、「自転車を駐車するときは、歩行者や車の通行の妨げにならないようにしなければなりません。また、点字ブロックの上や近くには駐車しないようにしましょう。近くに自転車駐車場がある場合は、自転車をそこに置くようにしましょう」とあります。

編集部:語尾がソフトで、ルールというよりマナーのような感じですね。

長山先生:そうですね。厳格な規則ではなく、あくまでもモラルに基づいた行動を期待する事柄と言えましょう。自転車の場合には、交通モラルに関しての認識を強固なものにする必要が求められますね。

編集部:モラルですか?  

長山先生:そうです。ルールやマナーは現実の行動や行為に関連する規範ですが、それらを実行できる背景にモラルがあります。モラルは主として倫理に関する価値観、すなわち意識を身に着けているかの問題です。「ここでは、このようにしなければならない」といった社会的規範を身に着け、実践するかどうかの問題です。

編集部:ルールを守るには、モラルがないとダメなのですね。逆に言えば、モラルがない人ばかりだと、交通そのものが成り立たないですね?

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

バックナンバー

トップに
戻るで