第13回

バイクに乗ると、視線は路面中心になる?

JAFMate 2015年12月号掲載

編集部:今回はバイクで右折車線を走行中、停止車両の間から車が出てくるケースです。前方の交差点で止まろうとしているので、あまり速度は出ていない状況ですが、停止車両の間から突然車が出てきたら、ヒヤッとしますね。

問題写真

結果写真

長山先生:そうですね。バイクであろうと四輪車であろうと、先で右折しようと右折車線を走って交差点に近づく場合、前方で停止しているトラックと信号だけ注意するでしょう。

編集部:私もきっとそうすると思います。

長山先生:そうなると、左側の車線に車が連なって止まっていることや対向車が来ていることも、あまり意識しないはずです。

編集部:そうかもしれません。特に左側の車は停止しているので、ヘタをすると動かない壁と同じで、ほとんど意識しないかもしれませんね。

長山先生:それが危険な点です。いったん壁のように思ってしまえば、当然そこから車が出てくることも、壁の一部である車が動き出す可能性も想像できません。もし、左側に危険が生じても、想定外なので対処も遅れます。さらにバイクの運転者の目線は路上や路面など下方向に向かう傾向があるので、それも危険な要素になりますね。

編集部:下ですか?  私もバイクに乗りますが、そんなに道路ばかり見て走っていますかね?

長山先生:以前、バイクのライダーの目線を調べたところ、左右方向にはあまり目線は配られず、手前の路面に集中していました。バイクは四輪車より安定性が劣り、路上の落下物で転倒するおそれがあるため、ライダーは路面状況に最も神経を配るからです。ちなみに、運転席が高いトラックドライバーの視界は広く、近くの路面より遠い周囲の状況をよく見ることができます。

編集部:トラックドライバーはそのぶん周囲の状況がよく確認できるので、安全に走れるのですね。

長山先生:基本的にはそうですが、よく見えるぶん脇見が多いようで、大型トラックは脇見による事故の比率が高いというデータもあります。

編集部:見晴らしがいいからといって、安全とは限らないのですね。

長山先生:もちろん、見晴らしがいいことは基本的に安全ですが、そこに潜む危険を自覚していることが大切です。具体的には、見晴らしがいいぶん「脇見をしたがっている自分」「脇見をしてしまっている自分」に気づいて注意することです。それに気づかず漫然と脇見をしてしまうと事故になるのです。

編集部:なるほど。ちなみに今回の場合、左側から出てきた車のドライバーが手前で停止したので、事故にならずに済みました。もし、こちらが気づくのが遅れても、相手がしっかり安全確認していれば、事故は避けられますね。

長山先生:そうですね。ただ、相手がこちらを見ていても、無理に出てくるケースもあるので注意が必要です。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

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